『勝手に絶望する若者たち』


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突然ですが、みなさんは「産業医」という仕事についてご存知でしょうか?

土井もつい最近、産業医の方の出版コンサルティングをさせていただくまで、その実態がわからなかったのですが、この産業医という職業、じつは日本経済の闇の部分を知っている恐ろしい存在です。

土井がコンサルティングをした産業医は、某有名自動車メーカーの産業医を務める方でした。産業医は、企業内の人々のカウンセリングをしたり、心の悩みを解消したりするのが仕事なのだそうですが、その方のいらっしゃった自動車メーカーは、じつは社内に「うつ」の方がたくさんいて、自殺者も出ているとか。

決して表には出ない職場の病、恐ろしい事実を知っているのがこの
「産業医」なのです。

ちょっと前ふりが長くなりましたが、本日ご紹介する一冊は、この
産業医が書いた注目の一冊。

すぐに辞めてしまう今時の20代に苦しめられている経営者が、若手
ビジネスパーソンの本音、そしてそこに企業がどう対処していくべ
きかを学べる、絶好の一冊なのです。

若手社員が述べた退職理由、今の若い人たちにウケるコンテンツの
つくり方など、興味深い内容が満載で、じつに読み応えがあります。

とくに、「技術の伝承とはトップダウンで行われるものではなく、
ボトムアップによってのみ可能」と喝破した一節は、いち経営者と
してじつに参考になりました。

魅力ある職場づくりのヒントとして、また部下を成長させるマネジ
メントのヒントとして、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆離職していった若手社員たちが述べた理由 ※一部紹介
A.仕事を教えてくれなかった
B.即戦力になれなかった
C.意見を聞いてもらえなかった。すべてが一方的だった
D.したいことをやらせてもらえなかった

「教え合う環境のなかで一人ひとりが育成されてゆく」という概念
が、現代の職場では希薄になった

採用側や上司から目的なり理由がその都度しっかり語られないと、
新卒者は騙されたという印象を抱く

「もっと収入を増やしたい」と考える者の割合が低下しており、最
近の雇用不安から、安定志向が高まっている

二〇〇一年から二〇〇四年にかけての社会経済は、バブルとはほど
遠い状況にあったと思っています。にもかかわらず、楽しい生活を
するために働くといった志向がバブル絶頂期に匹敵するほど強まっ
ている理由は、「欠けているものを求める」姿勢、つまり反動にあ
るものと想像されます

ある編集長は、代弁するのでも解決策を示すのでもなく、不安を共
有するだけの企画が読者に支持される、と語っています

「仕事に必要な知識や技術、態度」が、具体的に特定しづらい時代

技術の伝承とはトップダウンで行われるものではなく、ボトムアッ
プによってのみ可能なのかもしれない。そんな気持ちにさえさせら
れました。「必要な技量だ」と上からいわれても、本人がそうした
必要性を感じていなければ、真の意味での伝承はありません

仕事というものは、やってみなければわかりません。しかも、これ
だけやれば向き不向きがわかるといったような判断基準さえないは
ずです。若い人たちが抱く仕事のイメージは、インターネットやメ
ール、あるいはリクルーターなど間接媒体から得られた情報のみに
よって組み立てられるようです

自己溺愛は成長の過程で誰にも見られる普遍的な事象ですが、それ
がいつまで経っても消えないと、内なる自分にしか興味が向かなく
なり、外界との交流がうまくいかなくなってゆきます

自分と他人、主観と客観がひとつになって融合した無なる場所にお
いてのみ、人間は存在する

若いうちからやりたいことを規定してしまうことほどつまらなく、
またもったいないことはない

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『勝手に絶望する若者たち』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344980506
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┃▼目次▼
┃ 
┃ はしがき
┃ 第一章 若い人たちの離職理由と「世代」
┃ 第二章 バブルに翻弄された世代
┃ 第三章 働くことと人材育成教育
┃ 第四章 未来を夢想するより、現在の直視を
┃ 付章 産業医からのメッセージ
┃ あとがき
┃ 資料
┃ 著者略歴
┃ 
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