2009年6月26日
『凡人起業』多田正幸・著 vol.1803
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【凡人のための起業アドバイス】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106103192
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本日ご紹介する一冊は、大手総合商社の丸紅や中小企業、税理士事務所などを経て、税理士として活躍する著者が、自らの苦い起業経験をもとに、経営者に求められる資質、行動を明らかにした一冊。
著者は、子供のころから貿易商人になり自分の会社を持つことが夢。そのための修業の場として商社を選んだようですが、結果的に配属されたのは「ニット部」。
「ニット部」は、大阪・船場の繊維業者を相手に商売をする部署で、著者はこのニット部で、数多くの経営者に会って、成功する経営者、失敗する経営者をじかに見てきました。
しかも、自分自身が数年間学習塾をやって失敗しているので、かなり体験に根ざした主張がなされています。
ただ、中小企業の創業者のことを「少し“ずれた感覚”をもち“少し変わった人”」と読んでみたり、「少し疲れるのです」と言ってみたり、自分の執筆のネタにしておいてリスペクトが欠けているのはあまり好感の持てる文章ではありません。
また、自身が参加した起業セミナーをこれほどまでに批判しておきながら、自分の本も感覚的な記述が多く、実用の書としてはあまりおすすめできません。
しかしながら、これか起業する人にとっては、サラリーマンと起業家の肌感覚の違い、考え方の違いなどは参考になると思います。
不況の影響で、先行きの不透明感が広がっていますが、だからといって勢いだけで進むのはあまりに危険です。
起業を考える前に、自分が起業に向いているのかどうか、本書で確認してみるといいでしょう。
起業家、経営者の息抜きとしても、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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バランスの欠けた少し変わった人なのに社長が務まっているのではなく、バランスの欠けた少し変わった人だから社長が務まっているケースが実際には多い
脱サラ、起業、独立開業などでは「何をどう売るかという具体的な情報」が最も重要であり、それが無いと何も始まらない
事業を起こすという不確実性を伴う作業においては、よほどの天才でない限り、重要度の低い項目はばっさり切り捨てて「どうやったら儲かるねん?」という重要度の高い項目に全精力を集中することが成功の秘訣
会社を設立し節税をするためには、税理士などのコストが最低でも年間50万円程度今までより余分にかかるようになる
もしあなたが脱サラ・起業を考えており、扶養家族がいるのであれば、給料は自分で管理して、必要な生活費を奥様に渡すスタイルをとるほうがいい
自分の財布から生活費を出すことで脱サラにおける2つの重要な情報を得ることができます。1つ目は、1年間に生活するだけでどれだけのお金がなくなるかという情報2つ目は、いまいくらの貯金があるかという情報
地方税は前年の所得に対して課税されるため、脱サラ後無収入でも地方税の支払いが発生します。サラリーマン時代の所得が多いと、その支出が結構な負担になることがあるので注意が必要
事業には、頭の中で考え理性を働かせばできる事業と、理屈だけではうまくいかない事業とがあります。そして、理屈でできる事業では大資本が絶対的に有利です
脱サラのための情報を収集するという観点に立てば、情報を収集する場所、つまり勤める会社としては、大企業よりも中小企業のほうが適切です
「月間これくらいの売上を、この決済条件で上げていくと、最大これくらいの債権があの得意先には発生する」といった数値上の計算をし、その得意先の信用度と最大予想債権額とを把握した上で、信用度に適した債権額に抑える必要があります
中小企業が大企業の経営システムを闇雲に導入すると、最も重要な武器であるスピードを失うこととなる
商才のない“若旦那”に下手に商売に興味を持たれて誤った商店経営をされては、いくら財力のある商家でもすぐに没落してしまいます。それくらいなら、“若旦那”が商売に興味を持たないように、わざと遊びほうけるよう“店の主人”が仕向けているというのです。それでは、誰が“船場の商家”の後継者となるのでしょうか?“店の主人”が使用人の中から、商才のある者を番頭格に引き上げ、英才教育を施し、自分の娘の婿養子に迎え商家を引き継がせるというのです
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『凡人起業』新潮社 多田正幸・著
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◆目次◆
序 章 嫌がる社員を慰安旅行に連れて行く
第一章 「独立開業本」に、必要な情報はない
第二章 必要な情報へのたどり着き方
第三章 「業界の不思議」を見極める
第四章 「経営」という言葉に酔うな!
第五章 税理士に経営指導を仰がない
第六章 実際の社長さんはこんな人たち
終 章 私の反省
あとがき
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