『仕事を通して人が成長する会社』中沢孝夫・著 vol.2266


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【ノンエリートに学ぶ仕事の本質とは?】
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本日の一冊は、数多くの新聞や雑誌に20年以上書評を寄稿している書評の名手、中沢孝夫さんによる、注目の新刊です。

著者は、高校卒業後、郵便局勤務から全逓本部を経て、立教大学法学部を卒業したという、いわばノンエリート。

本書は、そんなノンエリートの著者が、「無名の会社の普通の人たち」を紹介しながら、仕事の意義や本質を述べた一冊です。

長年、たくさんの本を読んでいると、著者がテーマやターゲットにどれだけ愛情を持って書いているか、自ずとわかるようになるものですが、本書はそういう意味でじつに「あたたかい」一冊。

「雇用問題の責任の半分は社員にある」と厳しいことを言いながらも、その社員が希望を持って働けるように、社員から中小企業の社長になった人物を紹介。

彼らの事例を読み、言葉に触れることで、「仕事を通して人が成長する」とはどういうことなのか、それを実現させるために会社は何をなすべきか、おぼろげながら見えてくるはずです。

創業200年の老舗企業から、海外進出して成功した企業、リーマン・ショック後も二桁の売上上昇を記録している蒲鉾会社まで、さまざまな企業が取り上げられています。

中小企業の経営者は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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筆者は日本は良い国だと思っている。なぜなら本書に登場する人たちのように、努力をする人たちが幸せになれるからである

「昔はよかった」と断言できる人は、例外的なエリートである。十年前も二十年前も、そして三十年前も多数派は恵まれてはいなかった

仕事というものは、「信頼」によって成り立っている。特に「取引(先)」という、長期にわたって築かれる「顔の見える関係」は、「強欲」とは異なった「倫理性」が育てられるといってもよい。相手の期待を裏切ってはならないのだ

「一〇代・二〇代で名を残す名アーティスト、名選手は多い。しかし一〇代、二〇代で名を馳せた経営者はいない」(江副浩正氏)

これまでできなかったことができるようになると、人は新しい領域に立つことになる

職場には「困った人」がたくさんいるのである。成長意欲がない。人の足を引っ張る。人を苛める。みんなでもう少し頑張れば終わる仕事なのに、いつも一人だけ先に帰ってしまう。突然休む……

「人を大切にする」ということが、「どんな人間の存在も肯定する」ということであるなら、企業は存続できないだろう

経営者たちと話しているとき、筆者は「経営とは心のなかで鬼を一匹飼うことである」といつも思っている。九九%の人間を助けるために、一%の人間を「斬る」ことがやはりある。そうでなければ経営は継続できない

自分の職業人生を好運だったと語れる人間は幸福である

「空洞化」は事実ではなかった。海外への進出を早く進めた企業ほど、日本国内での成長をもたらしたのである

「位の小さな商い」は、まず第一に大資本が参入しない。手っ取り早く利益につながらないからである

ヒットするものは、これまで世の中になかったもの

時代の変化に対応して、次々と社会に必要とされるものを送り出すということは、「企業として生命力をもっている」ということである

良い職場というのは、異質な人間でもいられるところである

取引先が一社あるいは数社だと営業は楽だし開発の対象も決まりやすい。しかし崩れるときも一蓮托生である

人が働く上で最も大切なことは、「達成感」と「他者による評価」

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『仕事を通して人が成長する会社』中沢孝夫・著 PHP研究所
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◆目次◆
はじめに 仕事を通して成長すること
序 章 普通の人の物語から学ぶ
第一章 「あと五年、タイにいたい」─ソーデナガノ
第二章 なぜ工場では険悪な顔に出会わないのか─江崎工業
第三章 目標は社長を一〇人生むこと─横浜商工
第四章 世界発信に必要なのは地域性─ボストンクラブ
第五章 海外進出が日本の雇用を守る─東海化成
第六章 地場産業×趣味=高付加価値─シアターハウス
第七章 「頼まれた人」を雇って、みんな辞めない─安田蒲鉾
第八章 本当に社員が幸せな会社─幸伸食品
第九章 技術革新の荒波を、常に乗り越えてゆく─IAM電子
第十章 八ミクロンの紙に型抜きする技術力─丸伸製作所
第十一章 中小企業で働くということ

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