2007年9月11日
『人生論ノート』
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本日の一冊は、ハイデッガーに師事し、哲学者、社会評論家、文学者として活躍した三木清の名著、『人生論ノート』です。
昔、幼かった土井が幽霊に脅えていた時、母は「本当に怖いのは人間だ」と諭してくれましたが、本書には、まさにその人間の怖ろしさ、哀しさ、因果がつづられています。
なぜ人は死を怖れるのか、なぜ現代人は幸福から遠ざかってしまうのか、個性や知の追求はどんな結果につながっているのか…。
何冊自己啓発書を読んでも得られない答えが、ズバリこのコンパク
トな一冊の中に書かれています。
また、人の嫉妬を避けるにはどうしたらよいのか、どんな人と付き
合えばいいのかなど、処世のヒントとなる事柄も多く書かれています。
50年以上の間、読み継がれてきた不朽のロングセラーですが、その
理由が納得できる、珠玉の論文集です。
これを読まずに生きるのはもったいない、と思わせるほどの名著です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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仮に誰も死なないものとする。そうすれば、俺だけは死んでみせる
ぞといって死を企てる者がきっと出てくるに違いないと思う。人間
の虚栄心は死をも対象とすることができるまでに大きい
深く執着するものがある者は、死後自分の帰ってゆくべきところを
もっている。それだから死に対する準備というのは、どこまでも執
着するものを作るということである。私に真に愛するものがあるな
ら、そのことが私の永生を約束する
今日の人間は自意識の過剰に苦しむともいわれている。その極めて
自意識的な人間が幸福については殆ど考えないのである。これが現
代の精神的状況の性格であり、これが現代人の不幸を特徴附けている
愛するもののために死んだ故に彼らは幸福であったのでなく、反対
に、彼らは幸福であった故に愛するもののために死ぬる力を有した
のである
生と同じく幸福が想像であるということは、個性が幸福であること
を意味している
幸福は人格である。ひとが外套を脱ぎすてるようにいつでも気楽に
ほかの幸福は脱ぎすてることのできる者が最も幸福な人である
人間的な知性の自由はさしあたり懐疑のうちにある
懐疑が知性の徳であるためには節度がなければならぬ
文明の進歩というのは人間の生活がより多くフィクションの上に築
かれることであるとすれば、文明の進歩と共に虚栄は日常茶飯事と
なる。そして英雄的な悲劇もまた少くなる
個人であろうとすること、それが人間の最深の、また最高の名誉心である
個性的な人間ほど嫉妬的でない。個性を離れて幸福が存在しないこ
とはこの事実からも理解されるであろう
他人の幸福を嫉妬する者は、幸福を成功と同じに見ている場合が多い
ひとは愛において純粋な創造的活動のうちに没するとき、自己を独
自の或物として即ち自己の個性を見出す
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『人生論ノート』
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┃▼目次▼
┃
┃ 死について
┃ 幸福について
┃ 懐疑について
┃ 習慣について
┃ 虚栄について
┃ 名誉心について
┃ 怒について
┃ 人間の条件について
┃ 孤独について
┃ 嫉妬について
┃ 成功について
┃ 瞑想について
┃ 噂について
┃ 利己主義について
┃ 健康について
┃ 秩序について
┃ 感傷について
┃ 仮説について
┃ 偽善について
┃ 娯楽について
┃ 希望について
┃ 旅について
┃ 個性について
┃ 後記
┃
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