『ヤバい統計学』カイザー・ファング・著 Vol.2496


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【統計的思考を磨く】
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本日の一冊は、スティーヴン・D・レヴィットと、スティーヴン・J・ダブナーによるベストセラー『ヤバい経済学』に似ていますが、実際にはまったくの別物。

※参考:『ヤバい経済学』

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ただ、物事の知られざる側面、ダークサイドにフォーカスしたという点では、似ている部分があるかもしれません。

著者のカイザー・ファングは、統計的手法を広告やマーケティング、消費者行動に適用する統計のプロフェッショナルで、マスメディアに登場するデータやグラフィックの批判的検証という新しい研究領域を拓いた人物。

ディズニーランドの行列と交通渋滞を緩和する方法、食中毒の原因がホウレン草だと特定するための手順、相次ぐハリケーンで破産した保険会社の話、検査の精度が悪いと冤罪が発生するという話など、身近な例で説明してくれるので、じつにわかりやすいです。

事実を正しく認識することは、ビジネスマンにとって基本中の基本。

この機会に、事実をつかむ力=統計思考をバッチリ身につけたいと思うなら、ぜひ読んでみてください。

読み物としても、楽しく読める本だと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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平均は多様性を一掃し、あらゆるものを最も単純なかたちに置き換える。その過程で単純化しすぎたり、平均の周りにある「ばらつき」に気がつかないというリスクを冒す。平均ではなくばらつきに注目することは、統計的思考が発達している確かな証しだ

待ち時間を生む真犯人は、設計ではなく「ばらつき」なのだ。ディズニーのテーマパークは基本的に需要の最大90パーセンタイルを満たすように設計されている

感覚的な待ち時間と実際の待ち時間は同じではない―は、数多くの研究で実証されている。たとえば、エレベーターホールに鏡を設置すると、待ち時間の感覚がぶれる。鏡に映った自分の姿を見ている時間は、待ち時間に加えないという傾向があるからだ

フードネットは、さまざまな食品を食べる人の割合を調べる大規模な調査を定期的に行っていた。そのデータによると、1週間に1回はホウレン草を食べるオレゴン州の住民は5人に1人。これと比較して、感染者の80%がホウレン草を食べていたという数字は突出している

自然災害は局地的に起こるため、自動車保険に比べてリスクプールが空間的に分散しない

スポーツ界では毎年数多くのドーピング検査が行われ、サンプルのだいたい1%が陽性と判定される。したがって、アスリートの10%
が禁止薬物を使っているとしたら、そのうち大多数―少なくとも9%―は陰性と判定される。これが「間違った陰性反応」だ

PCASSのようなポリグラフをスクリーニング検査に取り入れると、治安上の重大な危険人物を1人正しく特定するごとに数百人、あるいは数千人を間違ってクロと判定することになる

統計学者によるとアンコールくじに当選する確率は1000万分の1で、飛行機の墜落事故で死亡する確率とほぼ同じ。これほど確率が低いと、アンコールくじに当選したり、あるいは飛行機の墜落事故で命を落とすほど長生きする人はほとんどいない。しかし、アメリカ人の50%は州営のロトくじを買い、少なくとも30%は飛行機事故を恐れている

研究によれば、飛行機事故は死者1000人につき138本の記事が1面に掲載されるのに対し、殺人事件は死者1000人につき2本、癌による死者はわずか0・02本だ

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『ヤバい統計学』カイザー・ファング・著 阪急コミュニケーションズ

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◆目次◆

第1章 ファストパスと交通渋滞
第2章 ホウレン草とクレジットカード
第3章 大学入試とハリケーン保険
第4章 ドーピング検査とテロ対策
第5章 飛行機事故と宝くじ

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