『ピエール・カルダン』シルヴァナ・ロレンツ・著 vol.2305


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【ファッションをビジネスに変えた男】
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妻と2人、早稲田大学で行われたピエール・カルダン氏の講演会に参加してきました。

氏は、現在88歳とのことでしたが、そんなことは微塵も感じさせないエネルギッシュな方で、そのモチベーションの源泉を探りたいと思い、本を探してみたところ、一冊だけ評伝が見つかりました。

本日ご紹介するのは、エスパス・カルダンの芸術部長を長年務め、カルダン氏とともにファッション界で25年にわたり活躍してきたシルヴァナ・ロレンズ氏によるカルダン伝。

カルダン氏が率直な方ということもあって、過去のスキャンダルから悪評、そして彼自身の感情や本音まで、包み隠さず書かれています。

サンタンドレア・ディ・バルバラーナという貧しい村に生まれ、南フランスに渡った少年が、やがてお針子から始めて、経理を経験し、オートクチュールの世界へ。

当時最大級だったパカンの店を出て、クリスチャン・ディオールと出会うことから、彼の才能が開花するのです。

洋服のデザイナーとして初めてネクタイを手掛け、そこからプレタポルテという概念を生み出したり、コートや小物類に人工皮革を取り入れたり、はたまたライセンスビジネスをファッション界にもたらしたり…。

数々の革新を行い、常に批判と賞賛にさらされてきたピエール・カルダン。

本書から読み取れる氏の思想は、まさに優秀な事業家のそれであり、われわれビジネスパーソンは、本書から数多くのビジネスのヒントを学ぶことができます。

常識を破壊できるスケール感の大きな人間になりたい、そう思うなら、ぜひ本書を入手して読んでみてください。

これはおすすめの一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「私の両親は息子の度が過ぎる希望や野望を妨げるようなことはいっさい何もしませんでした。私はそのことをとてもありがたいと今も感謝しています。両親は互いに愛し合い、自分たちの家族をいつも安心できる場所にしようと心がけていました。それが、子供にとって唯一最良の教育だと思うのです。そんな環境で、彼らは私に重要な道徳と幸福とは何かということを教え込んでくれたのです」

彼は二年間、その店で、縁縫いやボタンの穴を縫ったりして仕事を覚えた。彼の手掛ける仕事があまりに完璧だったので、チーフは彼にカットの仕事も任せることにした

<<私の不幸はいつも幸運となるのさ>>という彼の言葉通り、夜八時からの外出禁止令まで、簿記会計の学校にまで通うことが出来て、その経理経験が、後に事業家としてのカルダン帝国に大いに役に立つことにもなる

「もし、私が俳優になる道にこだわっていたならば、今頃、食うや食わずで、ひねくれた、よくある老いぼれ役者になっていたことでしょうね。私にはいつもナンバーワンにならないといけないという強迫観念があったのですよ、その性格のおかげで私は俳優にならなかったのです」

「いつか自分の店を持とうと考えていた私は、老舗の大手の店で大勢の人間に埋もれてしまうよりも、新しいブランドで右腕になるほうがよいと考えたのです」

「舞台衣装の制作はクリスチャン・ディオールのしたいことではなかったので、私に直接、依頼し、リシュパンス通りの十番地にあるパスコーという舞台衣装専門店に連れて行かれたのです」

一九五〇年、ピエール・カルダンは演劇衣装制作専門として、彼の最初の会社を立ち上げた

◆ギリシアを訪問した感想
「こうした遺跡に彷徨う古代の驚くべき創造者たちの霊のようなものを感じて、今度は私自身が、こうした神がかり的なまでの仕事をしなくてはならないと強く感じたのです」

女性がますます解放される時代を迎えて、矛盾するようだが、華美なパーティの日々は消滅するのではないかと彼は感じていたのだ。近い将来、女性は誰もが仕事をするようになるからだ

「どうして香水業者が上品で、イワシを売れば下品と言われるのでしょうか。そんな考えをする社会こそ、変えなくてはならないのですよ。私はこういう考え方をすることによって、地球規模の事業を手掛けられる人間になれたと思っています」

「私は、ある日、友人に<<あなたは一人ぼっちですね>>と言われましたよ。でも、それは栄光の代償なのです。それは私が創造するために支払う対価なのです」

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『ピエール・カルダン』シルヴァナ・ロレンツ・著 駿河台出版社
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◆目次◆

第1章 移民列車
第2章 天職の邂逅
第3章 ヴィシーに立ち寄って
第4章 二人のためのパリ!
第5章 愛と栄光とモダニズム
第6章 文化スペース<<エスパス・カルダン>>
第7章 マキシム、あるいは食宴の伝統
第8章 地球制覇
第9章 カルダン帝国の総帥

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