2010年3月5日
『コカ・コーラに学ぶビッグ・ウォレット戦略』古谷文太・著Vol.2055
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【また注目の戦略本登場!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521771
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最近は『フリー』や『新・プラットフォーム思考』など、戦略に関する本が次々ベストセラーとなっていますが、本日ご紹介する本も、企業に新たなビジネスのヒントを与えてくれる一冊。
※参考:『フリー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814047
※参考:『新・プラットフォーム思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023304778
ここでいう「ビッグ・ウォレット戦略」というのは、複数企業が集まって全体最適を実現するために、「大きな財布」を考えることであり、そのベースはコカ・コーラ社の戦略がもとになっています。
著者は、かつてコカ・コーラナショナルビバレッジで財務担当バイスプレジデントを務め、グループ中核企業のCFOとして「割り勘モデル」を構築した人物で、同グループは、これにより1000億円の戦略効果(主にコスト削減)を実現したそうです。
この「ビッグ・ウォレット戦略」を用いれば、投資回収が早くなり、かつ全体最適を実現できる。
しかし、ともすれば競合関係にある複数の企業が協業するのは、そう簡単なことではありません。
そこで本書では、この「ビッグ・ウォレット戦略」を実現するために必要な手続きや会計の方法、そして実行上のヒントを示しています。
さすが元CFOだけあって、「協業利益」の測定、コンサルタントを介して各社の数字を吸い上げる方法など、実務的な視点が満載。
他社との協業を考えているけれど、なかなか実行に移せない、という方には、ぜひおすすめしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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規模の経済性を追求しつつ、自社の独自性も保持したい。二律背反する命題を自らに課して悩む経営者とその戦略スタッフは多いので
はないか。「ビッグ・ウォレット戦略」は、それに対する一つの解を示すものである
「全体最適」のためには「部分最適」を避け、全体を見ることが重要
ゴールドラットが『ザ・ゴール』の中で書いた「全体最適」とは、ある工場内での「全体最適」だった。今回私が提唱したい「ビッグ・ウォレット戦略」は、「全体最適」の外延と言ったらいいだろうか。工場や企業を一つの部分と見て、それを外につなげてさらに大きな全体を作る。そこで「全体最適」を追求するのである
◆「ビッグ・ウォレット戦略」の五つの成功要件
1.協業利益が十分に期待できること
2.経済合理的な意思決定基準を共有すること
3.「割り勘会計」のルールにあらかじめ合意していること
4.戦略を推進するための独立した機能統合組織を持つこと
5.全体と個のウィン-ウィン関係を築くこと
ブランドは、ある意味で結果として得られた価値であり、当然ながらブランドだけで売れているわけではない。なぜ、そのようなブランド価値を作ることができたのか。その背景にブランドを支えているものがあるはずである
協業利益は、比較で測るものである。協業を行った場合と行わなかった場合と、それぞれのケースにおける利益を算定する。両者の差異が協業利益である
「将来入ってくるキャッシュフロー」と「将来出ていくキャッシュフロー」とを差し引きして「将来のネットキャッシュフロー」を算出する。複数の選択肢(協業をした場合としなかった場合)の間に生じる「将来のネットキャッシュフロー」の差異が、協業利益である
意思決定によって変えられるのは、将来だけである。過去を変えることはできない。つまり、意思決定によって変わるのは、将来動くおカネの額=将来キャッシュフローだけである
解決策としては、コンサルタントなど第三者にデータのとりまとめと協業利益の算定を依頼するという方法がある。参加企業は、外部コンサルタントに対して財務データを開示し、当該コンサルタントが算定した結果をみんなでシェアする。これであれば相互に見せ合うデータは必要最小限にとどまる。当然のことながら、外部コンサルタントとは守秘義務契約を締結した上である
いわゆる“いい所取り”を防ぐため、契約範囲も「製品供給ルール」「生産投資・廃棄ルール」「委託加工ルール」など取引すべてを含めた一体の包括的な契約とした。したがって一部損するところは契約せず得をするところだけ契約するといったことが、できないような契約になっている
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『コカ・コーラに学ぶビッグ・ウォレット戦略』
東洋経済新報社 古谷文太・著
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◆目次◆
第1章 「ビッグ・ウォレット戦略」=「ウィン-ウィン」モデル
第2章 コカ・コーラのビジネスモデルの強みと弱み
第3章 コカ・コーラが実現した「ビッグ・ウォレット戦略」
第4章 「協業利益」の見極め─成功要件1
第5章 経済合理性に基づく意思決定基準─成功要件2
第6章 「割り勘会計」のルール─成功要件3
第7章 独立した機能統合組織─成功要件4
第8章 全体と個のウィン-ウィン関係─成功要件5
第9章 「ビッグ・ウォレット戦略」の限界
第10章 「ビッグ・ウォレット戦略」の可能性
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