『ウェブ人間論』


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本日の一冊は、芥川賞作家、平野啓一郎さんと、ベストセラー『ウェブ進化論』の著者、梅田望夫さんの夢の対談により作られた、注目の新書です。

※参考:『ウェブ進化論』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480062858/

議論のテーマは、「ウェブ進化によって、人間はどう変わるのか?」。

最初は、予定調和的な議論になるのでは、という危惧を抱いていたのですが、いい意味で期待が思いっきり裏切られています。

テクノロジーの進化や、それに伴う人間の変化、社会との関わり方などに、お互いのインターネット体験の違いや立場の違いが見え隠れして、じつに刺激的な議論になっています。

「おわりに」の梅田さんの言葉を借りれば、

「社会がよりよき方向に向かうために、個は何ができるか、何をすべきか」と思考する平野さんと、「社会変化とは否応もなく巨大であるゆえ、変化は不可避との前提で、個はいかにサバイバルすべきか」を最優先に考える梅田さんとの違いが、明確に出ています。

人間や社会、メディアがこれからどのように変容していくのか、われわれはその中でどうやって生きていけばいいのか。

生き方や自己研鑽のヒントをくれる、貴重な一冊だと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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利便性というのは、基本的には一人の人間が、たった一つの身体に
物理的に拘束されているという条件からの解放なんだと思う(平野)

テクノロジーの進歩は人間の本質を変えることは出来ない、人の
「心」は変わらないんだ、という考え方を表明する人が、特に保守
的な思想の持ち主の中に見受けられますが、やっぱり、変わるでし
ょう(平野)

自分がやってること、面白いと思っていることの専門性とか固有性
を、リアル世界で制約された環境では誰もわかってくれないし話す
相手もない。でもそれがネットにのった瞬間に変わる。オープンソ
ースの原動力って、結局そういう個々の承認感動にある(梅田)

人間のアイデンティティは一つに固定されたものではなくて、他者
との関係によって色々と変わるものだとは考えつつも、現実的には、
顔の同一性がどうしても人格の複数性を抑制してきた(平野)

「膨大=ゼロ」と考えてみる(中略)全部オープンになっていると、
逆に誰も全部は読まない(梅田)

言葉による自己類型化には、安堵感と窮屈さの両方がある(平野)

今の世の中は、他者に対して極端に無関心だし、不寛容になってし
まっている。そうした時に、島宇宙的な世界に属していることの安
住感というのは、その外側を存在させなくなってしまうんじゃない
か。僕はやっぱり、現実が嫌な時には、改善する努力をすべきじゃ
ないかと思いますけど(平野)

たまたまリアル世界で充実していて幸福な人はいいですよ。でもそ
うでない環境にいたら、そこに留まっていてはいけない。新しい情
報によって動いて、行動して、自分の居場所を見つけていく人だけ
が幸せに生きることが出来る。だってネットは、働きかければいろ
んなことが返ってきて、それによって変化できるんですから(梅田)

「教養って何?」という問いの答えは、やっぱり若い時に身につけ
るべき記憶とその処理をめぐる力ということで、人脈だろうが、情
報だろうが、そういうものはネット上で全員にほぼ共通に開かれて
いて、それらを、若い時に身につけた「教養」という力で情報処理
する仕方で、個人差が決まってくる(梅田)

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『ウェブ人間論』

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■目次■

はじめに 平野啓一郎
第一章 ウェブ世界で生きる
第二章 匿名社会のサバイバル術
第三章 本、iPod、グーグル、そしてユーチューブ
第四章 人間はどう「進化」するのか
おわりに 梅田望夫

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