『なぜビジネス書は間違うのか』フィル・ローゼンツワイグ・著


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【ビジネス書の嘘?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822246663

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以前、J-WAVEに出演した時に、ビジネス書は使い方を間違うと官能小説になる、というお話をしました(妄想・自己満足に陥る、という意味)。

本日ご紹介する一冊は、まさにビジネス書のそんな側面を指摘した一冊です。

それも、『エクセレント・カンパニー』『ビジョナリー・カンパニー』といったいわゆる名著の問題点を指摘し、その弊害を説いたという点で、注目の内容。

※参考:『エクセレント・カンパニー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901234331/

※参考:『ビジョナリー・カンパニー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822740315/

具体的には、多くのビジネス書が陥っている「ハロー効果」や「相関関係と因果関係の混同」「成功例だけのサンプル」などを指摘し、逆に、触れられていない競争環境の話や、戦略リスクの話を説いています。

科学的に考えることの重要性を説いた良心的な内容だと思いますが、過激なタイトルや既存のビジネス書攻撃にはあまり意味がないかな、と正直思っています。

というのは、いわゆるビジネス書ベストセラーを書いたコンサルタントが、これらの問題に気づいていなかったわけはないし、受け手である経営者も、永遠不変の原則だけを信じて経営などしていないからです。

経営に戦略と実行があるのは当たり前ですし、常に競合やテクノロジーをウォッチすることも日々の経営では当たり前です。

こうした点をふまえて建設的な議論をすれば、もっと売れる本になったのに、とても残念でなりません。

とはいえ、科学的思考を身につける、という意味ではなかなか興味深い内容。ビジネス書ファンなら一度は読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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これさえすれば成功が約束されると思うのは、まったくの考え違い

「打たれにくいところをねらっていけ。ただし、フォアボールはや
めてくれよ」

キャスターは黙っているわけにはいかない。カメラを見つめ、ダウ
平均が〇・五パーセント下がったのはブラウン運動のせいだという
わけにはいかないのである

データの有効性や調査の手法、統計や確率について長々と書かれた
論文など、おおかたの企業マネジャーはじれったくて読む気になら
ないのである。それよりも、こうだからこうしろと明快に答えてく
れるものをほしがる。レゴの今後について、手っとり早く簡潔で、
魅力的なストーリーのある説明がほしいのだ

一流のビジネス誌でさえ、企業の絶頂期と低迷期を誇張して表現し、
企業パフォーマンスを単純な言葉で説明しようとする傾向がある

私たちはどうしても企業の成功を特定の人物に結びつけたくなる

ハロー効果とは、認知的不協和を解消するために、一貫したイメー
ジをつくり上げて維持しようとする心理的傾向

気をつけたいのは、信用できると思われる手がかりをもとに、それ
以外の面も評価してしまう人間の自然な傾向

相手をレディと思うか花売り娘と思うかで、私たちの評価は変わる

ビジネスに関する調査には、相関関係から因果関係を導いて失敗し
ているものが多い

難しいのは、どちらが原因でどちらが結果かを判断することである

因果関係をより正確に説明したいなら、複数回にわたって異なる時
期にデータを収集すれば、一つの変数がその後の結果にあたえた影
響をもっと明確に分離できる

成功はつねに他社の動きに影響される。ライバルが多いほど、新し
い競合企業が市場に参入しやすいほど、そしてまたテクノロジーの
進歩が急速なほど、成功しつづけるのは難しくなる

ストーリーを語り、はっきりとした筋道をあたえたいと思えば、あ
りもしない傾向やまちがった因果関係を見出そうとすることになる。
ストーリーに合わない事実を無視するかもしれない

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『なぜビジネス書は間違うのか』フィル・ローゼンツワイグ・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822246663
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◆目次◆

第一章 わかるのはほんの少し
第二章 シスコ・ストーリー
第三章 ABBの栄光と転落
第四章 ハロー効果のまばゆい光
第五章 企業調査は答えを教えてくれるのか?
第六章 星を探し、ハローを見つける
第七章 積み重ねられる妄想
第八章 ストーリー、科学、多重人格的超大作
第九章 ふたたびビジネスの最大の疑問
第一〇章 エセ科学に惑わされないマネジメント

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