『なぜ、日本企業は「グローバル化」でつまずくのか』 ドミニク・テュルパン・著 Vol.2816


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【IMD学長が語る】
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本日の一冊は、知る人ぞ知る、スイスの世界的ビジネススクール「IMD」の学長が語る、グローバルリーダー育成法。

IMD日本代表であり、日本興業銀行やBCG、リクルートのOBでもある高津尚志さんとの共著という形で、日本がグローバル化に遅れた理由、そしてそこから抜け出す方法を指南しています。

著者らによると、日本企業が陥っている状況は、以下の通り。

1.日本企業は、すでに大きく成長著しい新興国市場での展開に立ち遅れている
2.元気な新興国企業が、日本企業にとってかわりつつある
3.しかし、日本市場だけを見ていると、このことにはなかなか気付かない

実際に、日本がグローバル化に遅れている証拠がこれでもかというぐらいに紹介され、また数字的にも裏付けられています。

たとえば、以下の記述。

<現時点では、旧G7が世界のGDPに占める割合は約四〇パーセントとなった一方で、G20全体で八五パーセントを占めるという構造に変わったのです。G20は世界の貿易(EUの域内貿易も含む)の八〇パーセントを占め、世界の人口の三分の二を占めています>

統計というのは、学んだ時点で人の記憶に刻まれ、気づいた頃には大きく変化しているものですが、まさに日本企業も、その罠に陥ったと言えるでしょう。

そう、世界のビジネス環境は日本人が気づかぬうちに様変わりし、日本企業は、変化を余儀なくされているのです。

では、日本企業はどう変わって行くべきなのか。本書では、ネスレやGEといったグローバル企業、そして新興国の事例も入れつつ、彼らがどうやってグローバル人材を育成しているのか、そのポイントを示しています。

個人のキャリア開発のヒントになるのはもちろん、企業の幹部にとっても、戦略を改める良いきっかけになるでしょう。

IMDの宣伝めいた表現を差し引いても、読む価値のある一冊だと思います。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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目立つのは、「政府の効率性」の評価の低さです(中略)「政府部門の債務比率」は五九カ国中最下位。「法人税率」の高さも同様です

一定品質のコモディティ化―。この波に巻き込まれていくのは、テレビだけではありません

iPodが発売になった時に、あるソニーの幹部の方が、「音質はたいしたことがないな。ウチのほうが上だ。まだ脅威にならない」と言っていた、という話を聞いたことがあります。AVメーカーとして音や画像の質に強いこだわりを持つソニーならではのエピソードかもしれません。実は「土俵はそこではなかった」のです

マッキンゼーのレポートによれば、日本の売上高八〇〇億円以上の大企業でCMOを置いている企業はわずか一パーセント

IMDのレーマン教授は、「これからのビジネスを考える上で大切なのは、人口統計(Demography)である。一にも二にも三にも、人口統計である」と言っています

◆ネスレの国際研修センター「リブレイン」
講義は大きく分けて、「マネジメントとリーダーシップ」「人事」「マーケティングとセールス」「イノベーション・テクノロジー・R&D」「オペレーション」「ファイナンス」という六つのテーマ別に用意されています(中略)講義の目的として共通するのは、社内業務への理解を高めること、ネスレの企業理念や企業価値をより深く理解すること、ビジネスの方法論を叩き込むこと。ネスレの価値観を的確に示しながら社内外の人々と働く上で必要な能力を開発すること。業界分析にも重きを置いており、「もしあなたが競合の立場だったらどうしますか」といった問いが頻繁になげかけられることも特徴です

「インドやブラジルでナンバーワンになりたい」と考えていても、新興国ではとても勝てません。どの地域のどの分野でどのように一位をめざすのかという具体的な目標と戦略が求められます

調達先としても販売先としても、事業のかなりの部分を中国はじめとするアジアが占めているメーカーなどで役員会のメンバーにアジア人が入っていることはほとんどありません

場数を踏むこと、しっかりとした軸を持つこと

とりわけグローバル・リーダー候補に意識していただきたいことがあります。それは「好奇心」と「問う力」を持つということです

研修以前にもっと人事異動を効果的に使え

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『なぜ、日本企業は「グローバル化」でつまずくのか』ドミニク・テュルパン・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆

第1章×新しい世界、立ちすくむ日本
第2章×なぜ、日本企業は「グローバル化」でつまずくのか
第3章×先進企業は、どのように人材に投資しているのか
第4章×地球規模で活躍するリーダーに求められる能力
第5章×グローバル人材育成のために日本企業ができること

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