『こんな言葉で叱られたい』清武英利・著 vol.2250


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【一流選手を育てた叱る技術とは?】
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本日の一冊は、30年間の記者生活を経て、2004年から読売巨人軍の球団代表を務める著者が、監督、コーチ、ベテラン選手たちの「叱る技術」をまとめた一冊。

最近は、ストレス社会のせいか、「叱る」ことが忌み嫌われ、「ほめる」ことばかりがクローズアップされていますが、「叱る」には、「ほめる」にはない、持続的モチベーションの源が含まれています。

それは、ひと言で言うと、「期待」。

土井は、かつて中学校の担任になぐられ、社会人になってからは、セガの上司に怒鳴られ、雑誌の仕事では、編集担当になぐられましたが、彼らをうらんだことは、一度だってありません。

むしろ、期待に応えられない自分に腹が立ち、死に物狂いで頑張った記憶があります。

本書は、プロ野球の現場の話を主体に、監督やコーチは選手をどう叱るべきか、まとめたものですが、それぞれエピソード単位でまとめられているのが心憎い。

ときおり、監督、コーチたちの選手を見つめるあたたかい眼差しにぐっとくる、そんな内容です。

上司としての心構えについても言及されているので、ジャンルは違えど、マネジメントの参考となるに違いありません。

ぜひ、読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「どんな強気に見える選手でも弱いものです。強気と弱気と、すれすれのところで選手は勝負の世界に生きているんですよ」(原辰徳)

<最初に危機感をあおるとか「こういうことをしなさい」といって人が動いた経験はない>(ダイキン工業 井上礼之会長)

若者の可能性はどんな目利きにも計ることができない。だから、ひたむきでありさえすれば、いいかげんな部分やそんな時があってもよいのだ。私たちに必要なものは、山口のような異能異才、一芸卓越の人材をひとりでも多く受け入れる態勢と育成システムの整備、そして我慢ごころだ。それが組織を強くする

「ボールなんかどこに行ってもいいから、腕を振れ」(東尾修)

ひとは満ち足りた人間と、満足できない人間の二種類に分けられる

選手の闘志に酔っているようでは、監督は務まらない

「人生は他動的である」(中西太)

「コーチの仕事は待つことだ」(内田順三)

一流の選手は、やる気を自分で維持できるような仕組み、活性のシステムを持っていることが多い。システムと言ってもそれほど難しいことではない。例えば、「ああ、もういいや」と思うときに限って、「さて今日もひと踏ん張りだぞ」と言ってくれる親身なコーチや監督を持つことである

見守ってくれる人がなければ、自分の内外に活性の仕組みを自身で築き上げるしかない

上に立つ人間がしてはならないことは、部下の前で愚痴ることと、ため息をつくことだ

落合監督は、抑えの岩瀬仁紀が打たれるたびに、「あいつで負けるならしゃあない」と漏らす。クローザ─を出して負け、平静でいられるはずがないのだが、岩瀬という中日ドラゴンズの功労者に対する期待と気くばりを表現する言葉の技術を持っている

原監督はレストランなどでおいしい料理に出会うと、お店の人に三度、「おいしかったよ」ということにしているという

「上原、おれには弱音を吐いてもいいんだぞ」(原辰徳)

「人間性を深める要素は、満ち足りた幸福の中によりもむしろ逆境の中にある。その逆境の中で人間を失わないのは愛の力なのである」(曽野綾子)

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『こんな言葉で叱られたい』清武英利・著 文藝春秋
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◆目次◆

I 「下を向くな!」
II 「全力でやったものは心に残る」
III 「我々は戦う武士であり、勝負師だ」

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