2009年8月7日
『こころを動かすマーケティング』魚谷雅彦・著 vol.1845
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【魚谷氏処女作!感動のマーケティング書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447800868X
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「一日に約五〇〇〇万人」。
みなさんはこの数字が何を表しているか、ご存知ですか?
あまりの数に驚くのですが、じつはこれ、日本コカ・コーラの製品を一日に買う人の数なんです。
内訳は、自動販売機が約二〇〇〇万人、スーパーやコンビニが一六〇〇万人、フードサービス、レストランなどが九〇〇万人、その他五〇〇万人。
ここまで大きくなった組織の社長をやれと言われたら、ほとんどの人は尻込みするか、あるいは「もはや成長の余地なし」として受けないでしょう。
しかし、そんな挑戦をあえて受け、大成功した人物がいます。
「男のやすらぎキャンペーン」で缶コーヒー市場における「ジョージア」のシェアを四三%から五三%に高め、「爽健美茶」「紅茶花伝」などのヒット商品を手掛けた、日本コカ・コーラ会長の魚谷雅彦さんです。
本日の一冊『こころを動かすマーケティング』は、そんな魚谷さんがコカ・コーラで何を仕掛けたのか、そのマーケティングの全貌を明かした、貴重な一冊です。
ご存じの通り、コカ・コーラ社は秘密主義の会社ですから、そのマーケティング手法について明かされることは滅多にありません。
そのマーケティングの全貌が明らかになったというだけでも「買い」の一冊なのですが、本書ではさらに、グローバルカンパニーにおける日本発のヒット商品の作り方、巨大企業がシェアを高めるためになすべきことなど、数多くの経営のトピックに触れています。
六〇〇人のボトラー社幹部を巻き込むために行ったプレゼンテーション、大手コンビニに断られながらも大ヒットにつなげた「爽健美茶」のキャンペーン、「紅茶花伝」のパッケージを作った際の逆転の発想…。
考えに考え、自ら動くことで人のこころを動かす。そんな著者の熱い姿勢に、感動のあまり思わず涙してしまいました。
外資系企業をわたり歩いた氏の仕事哲学も読み応え十分。
いま、もっともおすすめしたいマーケティングの名著です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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巨大な組織やシステムは、自分の味方になってくれるときには、途方もない力になりますが、逆になれば大変厄介な存在になります
消費者の購買行動は徐々に変わり始めていました。大きく売上げを伸ばしていたのがコンビニでした。問題はコンビニでジョージアとBOSSが一緒に並べられていたときに、お客さまはどちらを買うか。並んで選択されるようになったときに勝てるか、ということです。実際、それが数字に出たのが、売上げの低下ではないのか、と僕は気づきました
全米に展開していったコカ・コーラが、ボトラー社として契約を結ぶ際に重視したのは、その土地土地の資本家をパートナーに選ぶこと
ボトラー社は自ら製造設備、つまり工場を持っています。そして定められた地域で、独占的にコカ・コーラを販売することができます。逆に言えば、その地域では他にコカ・コーラを扱える会社はありません
コカ・コーラという製品に関して言えば、「intrinsic value」=基本的な価値は一〇〇年以上変わっていないということになります。しかし、「extrinsic value」=付帯的情緒的な価値はどうか。コカ・コーラはまさにこれを時代に合わせて大きく変えてきた
いきなりCMの演出家に仕事をお願いしてしまう、という方法が浮かんだ
「そういえば、最近は減ってきたけど、昔は営業の外回りから帰ってきたとき、“お疲れさま”って、若い女性社員がお茶とかコーヒーを出してくれて。あのときは、やすらげて、ホッとしましたよねぇ」スタッフ全員の頭にピーンとアンテナが立っていました。男性向けの商品だから、男性が語ることばかり考えていたのです。しかし、男性の心に届く女性の声というものがあるのではないか……。逆転の発想でした
女性向けに「美」を入れて、「爽健美茶」にしよう(中略)今でこそ、商品の情緒的ベネフィットをネーミングに込めるのは当たり前になっていますが、当時ではまだ大胆かつ、先進的なネーミングだった
なんとも幸運なことに、会議の前日、そんな事件(ゴルフコンペでホールインワン)がありました。この事件をプレゼンテーションに使わない手はない、と僕は考えていました。これもマーケティングです
あまりにターゲットを絞り込むことは、一見売る対象が狭くなっていくように思えます。しかし、それは実は「今日」の話です。マーケティングというのは「明日」のために行うものです
ミルクティーとなれば、違う魅力があることがわかったのです。小さなスイーツを食べるような、小腹を満たしてくれる飲み物です。おやつ代わりのような存在。キャンパスやオフィスで、ちょっとお腹が空いた時間に気軽に飲める紅茶(中略)リッチなロイヤルミルクティー、しかも女性向け、というところから、高級な陶器の器で飲む、というイメージが浮かびました(中略)当時の缶飲料の流れは、二五〇ミリリットル缶から三五〇ミリリットル缶へと、大容量化していました。しかし、このときは、あえてこの流れに逆行することを考えました。なぜなら、高級なロイヤルミルクティーなのです
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『こころを動かすマーケティング』ダイヤモンド社 魚谷雅彦・著
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◆目次◆
はじめに
序章 予想もしなかった日本コカ・コーラへの入社
第1章 コカ・コーラのマーケティングシステム
第2章 原点は人に喜んでもらうこと
第3章 顧客は見えているか
第4章 現場に足を運んでいるか
第5章 飛び抜けた商品を提供できているか
第6章 最後までやり抜いているか
第7章 人の心を動かしているか
第8章 関係者を巻き込んでいるか
第9章 常識にチャレンジできるか
終章 マーケティングとは経営そのものである
おわりに
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