2011年1月9日
『お金の流れが変わった!』大前研一・著 vol.2363
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【大前研一が考える、日本の大発展戦略とは?】
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今日は、家族みんなで15時頃、新宿御苑に向かいました。
御苑の閉園時間は16時30分(最終入園16時)。閉園時間が近づき、ぞろぞろと門へ向かう人々を見て、妻がこう言いました。
「みんな同じ行動を取るんだよねえ」。
そう。人間は、一見自由なようでいて、実際は、何か制約条件に従って生きているもの。
ギリシャ人が朝早いのは、お店が早くから開いているからで、タクシー運転手が25日の金曜日に忙しいのは、給料日の直後だからです。
ビジネスの世界では、この制約条件やしくみを理解しないことには、成果は望めません。
だから、できるビジネスマンは、この「制約条件」や「しくみ」に敏感なのです。
本日ご紹介する一冊は、経営コンサルタントの大前研一さんが、現在の世界経済の「しくみ」を解き明かし、そこからもたらされる「お金の流れ」を明らかにした一冊。
中国の人件費高騰で、トルコやタイにチャンスが巡ってきたという事実、日本やアメリカで金利を下げても効果がない理由、四〇〇〇兆円と言われる「ホームレス・マネー」を引き込む方法…。
現在の世界経済のなかで、日本がどう振舞えば、今後成長できるのか、具体的に示されている点が画期的です。
日本が国際競争力を持つための税制改革から、集中的に人材を投入すべき分野、今後有望なビジネスモデルまで、じつに参考になる意見・アイデアが示されています。
とくに、減価償却の年数を縮めることで産業を振興できるという話や、小分けにすることでBOP(貧困)市場を狙う話は、目からウロコでした。
アジア市場において、今後のビジネスチャンスを伺う経営者には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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現在の中国人の人件費はヴェトナムの三倍、ミャンマーの一〇倍くらいに跳ね上がってしまった。これではヨーロッパの企業はわざわざ中国で生産しなくても、ルーマニアやトルコでつくっても変わらないことになる
時価総額は「他社を買収できる力」でもある。一九八〇年代には日本企業にも巨額の時価総額がつき、「世界のバンカー」と呼ばれていた。そのような時代もあったのだ。ところが日本企業がそのお金を何に使ったかというと、ニューヨークのロックフェラーセンターや、ハワイ・ワイキキのホテルを買い漁った(中略)中国は違った。鉱山や農業関連の企業に積極的に買収を仕掛けた。彼らは自分たちの弱みや、何が成長の阻害要因になるかを十分に理解しているので、そういうものを補うために、集めたお金を戦略的に使おうとしているのだ
すでに中国では新築物件(多くは投機で買ったマンション)の空室が七〇〇〇万戸もあるといわれている
インデックスにお金が流れ込めば、そのお金はODAのように相手政府の手を経由せず、直接、企業の資金になる。おそらくこれは、民から民へと国境を跨ぐ、人類がはじめて経験するカネの動きだ。そのような資金によって新興国の企業が栄えれば、雇用が生まれ、働き口がないために外国で就業していた経営能力のあるエリートが戻ってくる。そうすれば、さらに企業業績は伸びる
成熟経済では金利を下げて資金供給をしても、経済自体が資金を必要としていないから、それを吸収しない
信用のある国が景気を引き締めようと金利を上げたとしよう。これまではお金の借り手が減って景気は減速したが、いまは高金利と見るや海外からホームレス・マネーが流れ込んでくるので、景気はいっそう過熱してしまうのである
日本にまかせれば三十年早く先進国にキャッチアップできる。都市からスラムがなくなる。鉄道が生活インフラの一部になる。ケータイが電子財布になる。公害が解消される―そのような興奮を新興国の人々に与えることができれば、官公需ビジネスにおいて日本の一人勝ちはまちがいない
いまこそ日本は原子力を「国技」として、そこに人材を優先的に投入すべき
インドやインドネシアでは、綿棒やバンドエイドを一つずつ販売するのが当たり前で、シャンプーも一回ぶんずつ売っている。価格は一つ一?五円くらいと安いが、週に一度、一億人に売れば月商四億円になる。この流れに乗って成功している数少ない日本企業の一つが、男性化粧品のマンダム。調髪料を小分けして屋台で売っている
一九八〇年代に日本が人手不足に陥ったとき、それまで八年だったロボットの減価償却期間を二年にした。それからわずか二年後、日本は世界一のロボット大国になってしまったのだ
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『お金の流れが変わった!』大前研一・著 PHP研究所
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◆目次◆
第1章 超大国「G2」の黄昏
第2章 お金の流れが変わった!
第3章 二十一世紀の新パラダイムと日本
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
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