『あの映画は何人見れば儲かるのか?』松尾里央・著


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【映画、音楽、出版…ヒット商品の儲けの仕組みは?】
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本日の一冊は、出版・映像制作会社の取締役であり、税理士としても活躍する著者が、映画、音楽、出版それぞれのビジネスモデルと収益構造を明らかにした一冊。

ジブリ映画、オーシャンズ13、ハリー・ポッター、宇多田ヒカル『First Love』など、コンテンツ業界のさまざまな作品を「お金」という面で論じ、それぞれどれぐらい儲かったのか、どれぐらいの費用がかかっているのかを、ズバリ書いています。

本書のポイントは、それぞれの作品の成否をお金で論じながら、会計のポイントが学べてしまう点。

実務に沿った文脈で、固定費と変動費の違い、損益分岐点、限界利益の考え方を学べるのは、じつに有用。

電卓片手に計算しながら読んでいけば、会計センスが身につくという、ありそうでなかった一冊です。

また、それぞれの業界のビジネスモデルを学ぶことで、事業のリスクを減らす考え方や資産を有効活用する方法を学ぶこともできます。

コンテンツビジネスに関わる人はもちろん、そうでない人も、うんちく本として、また会計のトレーニング本として、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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(『オーシャンズ13』は)人数が増えているにもかかわらず、前作よりも製作費が下がっていた

実は、出演料はいろいろな要素で大きく変動する。たとえば、脚本。いい脚本には、安いギャラでも出演したいということがあり、アル
・パチーノ自身、ある雑誌インタビューで「脚本が悪いほど、ギャラが高い」と語っている

限界利益で固定費を全額回収できれば赤字にはならない

劇場上映から、DVD、そしてテレビ放映というように、それぞれの映し出す窓を移し、その窓ごとに最大の収入が出るよう時期をずらしながら順を追って公開する。これを「ウィンドー戦略」という

DVD、DVDレンタル、有料放送、無料放送、キャラクターグッズ、ゲーム化、出版化など、劇場でヒットすると、2次利用でもヒットするので大きな儲けとなる

興行収入だけで、リクープすることはめったにない。興行収入だけでは赤字になることの方が多いのである。そのため、2次利用による収入などによって、カバーして製作費を回収するわけだ

製作委員会とは、先にも触れたが映画へ実際に出資する会社のことだ。実質的に映画のリスクを負担する会社であり、興行会社や配給会社、テレビ局などがメンバー候補である。映画自体は赤字なのに、製作委員会のそれぞれの出資企業自体は黒字になるのである

JASRACが管理するのは、あくまで楽曲の著作権であり、それを歌う人の権利を扱っているわけではないのである。歌手や演奏家
などの実演家は、自分の演奏を録音する権利を持っており、レコード会社にその権利を売り渡すことで歌唱印税をもらうのだ

作詞家や作曲家などに代わって、徴収漏れのチェックや、楽曲の売り込みをしているのが音楽出版社だ。徴収した使用料の50%を手数料として受け取り、残りを作詞家や作曲家に分配するのが一般的

特に”ビジュアル”をウリにしているアーティストのライブであれば、生写真は最も割りがいいグッズ

◆『ホットペッパー』の収益構造
回収するためには、固定費合計9000万円÷限界利益61万円=147ページ分を埋めるだけの広告依頼を受注する必要がある(中略)500ページで発行していることからすると、大分余裕がある。かなり手堅い商売だ

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 『あの映画は何人見れば儲かるのか?』 TAC出版 松尾里央・著
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◆目次◆

第1章 映画業界編1 『オーシャンズ13』の製作費を賄う損益分岐点
第2章 映画業界編2 “ジブリ映画”は何回も儲かる。マルチユース
第3章 映画業界編3 『猿の惑星』の舞台を砂漠に変更。リスク回避
第4章 映画業界編4 『続・冬のソナタ』の製作費を費用配分する
第5章 音楽業界編1 宇多田ヒカルはいくら手にした? 印税の計算
第6章 音楽業界編2 新人は大物と抱き合わせで。広告宣伝費の管理
第7章 音楽業界編3 ライブは儲かる? ハコモノビジネスとノルマ
第8章 出版業界編1 ベストセラーなのに倒産する謎。在庫リスク
第9章 出版業界編2 広告収入モデルのフリーペーパーで儲けるには

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