2011年10月20日
『「上から目線」の構造』榎本博明・著 Vol.2647
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【若者の「上から目線」を心理学者が徹底分析】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532261392
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以前、某国立大学の女子学生がエリエスの面接に来たときのこと。
「御社の経営理念は何ですか?」というお決まりの質問に、「人類の英知を後世に伝えることです」と熱く語ったところ、「へえ、偉いですね」と、上から目線でご評価いただきました(笑)。
また、最近ではひさしぶりに会った後輩にキャリアのアドバイスをしたら、ご飯までおごったのに、「ごちそうさま」の一言もなく、
後から猛烈な反論のメールが。
「その場で反論すればいいのに」と言いたいのをこらえつつ、無難なメールで関係を終了しました(苦笑)。
そう、既に多くの読者がお気づきのように、最近の若者はなぜか、「上から目線」なのです。
本日ご紹介する一冊は、そんな「上から目線」の構造を、心理学者が徹底分析したもの。
「劣等コンプレックス」「偽物のプライド」「見下され不安」「誇大自己」「自己愛パーソナリティ障害」などのキーワードを説明しながら、「上から目線」の正体を明らかにしており、なるほどと納得することができました。
こういうトピックは、抽象的な概念だけを説明されても理解できませんが、本書では、相手が発する言葉のパターンから、その人が陥っている心理構造を明らかにしているため、自らの問題にも気づくことが可能です。
たとえば、失敗して落ち込む人と、失敗を生かして伸びる人とでは、イヤなこと、思い通りにならない現実に直面したとき、感情的に反応するか認知的に反応するかという違いが見られるようですが、それは、こんなセリフから判断できます。
「なんでダメなんだ、あんなに頑張ったのに、どうして」
「どうしてこんな目にあわないといけないの」
「こんなミスをするなんて、もうおしまいだ」
「ガックリくるなあ、今回はうまくいくと思ったのに」
著者曰く、「このような言葉を発しがちな人は、感情的に反応するタイプ」で、イコール「成長しにくい」とのこと。
本書では、このように、情報発信者の言動から、その人の精神を分析し、解決のヒントまでを示しています。
「上から目線」の理由を明らかにし、若者を批判したところで、本当に人付き合いの苦手な若者が変われるかどうかわかりませんが、上司、先輩が部下や後輩を理解するのには、役立つ内容だと思います。
上司、先輩のみなさんは、これを若者を揶揄する道具として使うのではなく、「自分たちも若い頃はそうだったかも」と昔を思い出しながら読んでいただきたいと思います。
コミュニケーション不全が売れる理由というのも皮肉な話ですが、この新書は、売れそうです。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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フロムは、現代の市場経済の原理が個人の人間的価値にまで及んでいるとした。市場経済の発展により、モノの価値は、それがどれだけ役に立つかという使用価値によって決まるのではなく、それがいくらで売れるかという交換価値で決まるようになった
落ち込みやすい人は成長しにくい
プロテウス的人間は生き残りに強い
自分がずっといるような場所じゃない、自分が一生をかけてする仕事じゃない。そう思うこと自体、何の問題もない。人それぞれに能力も違えば、求めるものも違う。ただし、考えてみる必要があるのは、その「上から目線」が、現実の自分から目を背けるための装置になってはいないかということだ
輝いているカッコイイ自分、称賛されたい自分というものと、現実には冴えない自分、どうもパッとしない自分。そのギャップを埋めるための動きが取れればよいのだが、惰性に流されるばかりで気力が湧いてこないという人も少なくない。そんなとき、現実の情けない自分を受け入れる辛さから逃れるために、「誇大自己」が築かれる
けっして本気にならなければ、いつまでも幻想を維持しながら、今のままの自分でいられる
パーソナルで自分勝手な自己愛を否定し、思想のため、信念のため、組織のために身を捧げる自分という理想像に一致した生き方を貫くことによって自己愛を満たす。それがアイデンティティ人間の自己愛の満たし方と言える。それに対して、自己愛人間は、自分勝手な自己愛を直接的に満たすことを生きがいとする。自分の属する組織・集団の利益よりも自分自身の利益を優先し、国家・社会の繁栄や栄光よりも自分自身の美化と栄光を優先させるのが、自己愛人間の自己愛の満たし方である
一人で学食に行けないため、トイレで弁当を食べる大学生が増えている
自己像を組み立てるのは他人である
クマの母子は、子グマが幼いうちは密着して過ごすけれども、子グマがひとりで獲物をとって食べていけるようになると、一緒に木に登って、そのまま置き去りにするという
今の自分の未熟さや至らなさを実感することが、成長の原動力となるというのは、いつの時代も変わらないはずだ。今の自分の未熟さや至らなさに対して、「まあ、いいか」「これも自分の個性だ」と開き直り、気にしないことにしたら、何の成長も期待できない
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『「上から目線」の構造』榎本博明・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
プロローグ 「上から目線」とは何か
第1章 なぜ「上から目線」が気になるのか
第2章 「上から」に陥りがちな心理構造
第3章 空気読み社会のジレンマ
第4章 目線に敏感な日本人
第5章 「上から目線」の正体
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