2006年7月5日

『富の未来』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062134527

『富の未来 下』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062134535

以前にも少し書きましたが、ギリシャに行ってから現在の社会の矛
盾に関心を寄せるようになっています。

それは分かりやすく言うと、本当の豊かさとは何か? これから世
界はどうなってしまうのか? ということです。

これまでとは変わった富のルール、進歩しているはずなのに忙しさ
だけが増していく現代人の生活、そして揺らぐ既存の権威に対する信用
…。

こういったことが、社会にさまざまな弊害を及ぼしてきている、そ
んな気がしてならないのです。

本日ご紹介するトフラー15年ぶりの大作、『富の未来』は、まさ
にそんな混迷の21世紀を読み解く、手引書です。

ちょっと書き方が冗長だったり、既知の情報を分析してお茶を濁し
ている部分があったりと、気になる部分もありますが、根気強く読
めば、いくつもの気づきがあります。

これからの富の源泉となる「時間」「空間」「知識」のとらえ方、
情報があふれる中、どうやって真実を見極めていけばいいのかなど、
21世紀を読み解くためのヒントが満載です。

ほかにも、これから勢力を増してくる地域の分析、それにともなっ
て世界の勢力図がどう書き換わるかなど、興味深いトピックがいく
つも盛り込まれています。

上下分冊でちょっと量は多いですが、ぜひ挑戦してみてください。

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■ 本日の赤ペンチェック
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明日の先進的な経済では「非マス化」が進んでいく。多様化が進み、
大衆ではなく、個人に焦点をあてるようになる

基礎的条件の深部を理解すれば、いまですら、新しいニーズがあり、
気づかなかった産業があることが分かる。たとえば「同時化産業」
があり、「孤独産業」がある

同じ国のなかですら、たとえば同じインドでも、ビハールの農民、
ムンバイの工場労働者、バンガロールのプログラマーをくらべてみ
るといい。違った富の体制のもとで活動していれば、違った世界に
住んでいるのである

アダム・スミスは1776年に、分業が「労働の生産性の飛躍的な向上」
の厳選だと論じた。それ以降、スミスが論じた通りになってきた。
だが、作業の細分化と専門化が進むとともに、それらを統合するの
がむずかしくなり、コスト高になってきた(中略)どこかの段階で、
統合のコストが超専門化の利点を上回るようになる

いまでは時間の調整がきわめて複雑になり、重要にもなっているた
め、これを扱う「同時化産業」が成長し、大規模になっている

今後、地政学的な不安定さが高まり、軍事衝突が頻発する時期にな
る可能性が高い

◆知識の性格 ※一部紹介
1.知識はその性格上、非競合財である
7.知識はシンボルや抽象的な概念に圧縮できる
10.知識は秘密にしておくのがむずかしい。かならず広まっていく

◆何が真実かを判断する6つのフィルター
1.常識 2.一貫性 3.権威 4.啓示 5.時の試練 6.自然
科学

◆現在の富の革命の原動力になっている3つの主要な要因
1.時間 2.空間 3.知識

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『富の未来 上』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062134527

『富の未来 下』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062134535
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■目次■

【上巻】
第1部 革命
第2部 基礎的条件の深部
第3部 時間の再編
第4部 空間の拡張
第5部 知識への信頼
第6部 生産消費者

【下巻】
第7部 頽廃
第8部 資本主義の将来
第9部 貧困
第10部 地殻変動

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