【読み応えあります。】
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「教養としての」と言われると、つい読んでしまう性格ですが(笑)、本日ご紹介する一冊は、一連の「教養」もののなかでも、かなり読み応えのある一冊です。
『教養としてのコーヒー』は、アジアで初めてワールド・バリスタ・チャンピオンに輝いたコーヒーコンサルタントの著者が、ビジネスパーソンが知っておきたいコーヒーの教養をまとめて紹介した、注目の読み物です。
コーヒーの起源から、それがどうやってヨーロッパに広まり、イギリスのコーヒーハウスに結実したか。
コーヒーハウスがイノベーションの場となった歴史も、じつに興味深く読むことができます。
民主的な議論の場がどうやって生まれたか、ロイズのコーヒーハウスが発行していた「ロイズ・ニュース」がなぜ人気を博したかなど、ビジネスのヒントが数多く得られると思います。
もちろん、コーヒーを本業にする著者が書いているだけに、コーヒーそのものに関する知識も半端ではありません。
コーヒーがどこで栽培され、それぞれどんな特徴があるのか、マーケットでの評価や今後のトレンド、コーヒービジネスのこれからなど、情報がびっしり詰まっています。
個人的に知りたかった豆の違いや焙煎度合いによる味の違い、デカフェの仕組み、味に影響を与える全ファクターが明らかになり、長年の疑問が一気に解消しました。
著者は、世界中でコーヒービジネスに関するアドバイスをしており、コーヒー関連のビジネスや、投資を考える人、新業態の店舗ビジネスを考えたい人にも、ヒントとなる一冊だと思います。(創業時からコンサルティングしている「ラッキンコーヒー」は、2022年12月時点で店舗数8000を超え、中国最大のコーヒーチェーンに)
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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コーヒーの原産地はエチオピアのアビシニア高原
当時のイギリスのコーヒーハウスは、入店料1ペニー、コーヒー一杯2ペニーを払いさえすれば、身分・職業に関係なく、富める者も貧しい者も、誰でも入店してそこで交わされている会話に加わることができました
世界最大と言われる保険市場のロイズも、コーヒーハウスと関係しています。発祥は、エドワード・ロイドがロンドンのタワー街にオープンしたコーヒーハウス。この店の特徴は海運関係の情報を載せた新聞「ロイズ・ニュース」を店で発行していたことです。そのニュースを目当てに船乗りや貿易商がよく集まっていました
コーヒーハウスごとに特定の人たちが集まるようになったことで、一方ではその分野の成長につながったのですが、他方ではコーヒーハウスのグループ化が進んでしまった
1930年頃にはさらにカフェーが増え、サービスがエスカレートしていくうちに、「特殊喫茶」「純喫茶」という区分ができます。お酒と女給のサービスメインのカフェーは「特殊喫茶」、純粋にコーヒーを楽しむカフェが「純喫茶」と呼ばれるようになります
三大栽培原種
「アラビカ種」「カネフォラ種」「リベリカ種」
実はこの3種以外にコーヒー業界で大きな話題になっている種があります。それが「ユーゲニオイデス」という種です。ワールド・バリスタ・チャピオンシップ(WBC)2021年大会では、3位までに入賞した競技者全員がユーゲニオイデスを使っており、「これからのスペシャルティコーヒーのトレンドになるのでは」と注目が集まっている
これまではそれほど評価が高くなかったエクアドルのコーヒーだが、近年は期待が高まっている。これから注目されるかもしれないのが「シードラ」。ブルボンの変異種で、ストロベリーのような果実味とフルーツガムのような甘い香りを放つ
スペシャルティコーヒーの世界では、「COE受賞豆」が大きな売り
これまでロースターが時間をかけて磨いていた焙煎レシピの開発も、個人で加速度的に行うことができる
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コーヒーの起源から、栽培条件、人類の歴史にコーヒーが与えた影響、これからのコーヒービジネスの可能性までが丁寧に書かれており、『教養としてのコーヒー』の名にふさわしい一冊です。
訪れたいお店のガイド、美味しいコーヒー豆の選び方、コーヒーの淹れ方まで書かれているので、コーヒー好きにとっても興味深い内容ではないでしょうか。
ぜひ読んでみてください。
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『教養としてのコーヒー』井崎英典・著 SBクリエイティブ
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◆目次◆
はじめに できる人はなぜコーヒーなのか
第1章 コーヒーをたどると世界史が見える
第2章 コーヒーの飲み方の奥深い歴史
第3章 コーヒーが届くまでの裏側
第4章 知る人ぞ知るコーヒーの現在
第5章 コーヒーが教えてくれるビジネスの心得
おわりに コーヒーの未来
付 章 コーヒーの嗜み、まずはここから
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