2015年10月19日

『一流の男になる松平家の教え』松平洋史子・著 vol.4108

【人を大切にするために】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4537261293

先日、出版講座の生徒さんの懇親会での食事マナーが悪く、将来のことを考えて、いくつか指摘させていただきました。

人前に出る人は、最低限の作法を心得ていなければなりません。

とはいえ、本気で一流を目指すなら、自分もまだまだ至らないのが事実。

そこで、これを機にきちんと学ぼうと思い、手に取ったのが、本日ご紹介する一冊『一流の男になる松平家の教え』です。

著者の松平洋史子(まつだいら・よしこ)さんは、水戸徳川家の流れを汲む讃岐国高松藩松平家の末裔で、高祖父が井伊直弼、曽祖父が旧佐賀藩主の鍋島直大、祖母が昭和女子大学の校長を務めた松平俊子という、由緒正しい家系のご出身。

現在は、大日本茶道協会会長として、ご活躍されています。

この『一流の男になる松平家の教え』は、そんな著者が書いた、一流を目指す男のための心得書。

一流の心構えからマナー、所作、人とのコミュニケーションにいたるまで、細かな指摘がなされており、一流のリーダーを目指す方には、うってつけの一冊です。

今の自分にとっては、耳が痛い指摘もなされており、とても良い勉強になりました。

本書を読めば、ビジネス誌で「成功者」と崇められている方も、人間的にはまだまだと理解できるはず。

それではさっそく、その耳に痛い教えを見て行きましょう。

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松平家の男性は、「腹八分目」の精神を身につけています。「腹八分目」は、暴飲暴食に対する戒めであると同時に、「自分の人生の二分を人のために役立てなさい」という献身性を説いた教えです。一流の男性は、地位も名誉も富も、独り占めすることはありません

「一番」を目指す人生は、他人と自分を比較する“常に足りていない”人生です

私が幼いころ、祖母の姪である秩父宮妃殿下のご自宅で、おせち料理をいただいたことがあります。箸がうまく使えなかった私は、厳かな雰囲気の中で、粗相をしました。里芋をつまみ損ね、じゅうたんの上に転がしてしまったのです。すると、妃殿下が「あらあら、この里芋さん、ころころ転がって元気ね」といって、場をやわらげてくださいました。妃殿下が私を責めず、私がしたことをなごやかな笑いに変えてくださったから、幼かった私の心は救われました

一流の人は、どのような相手であっても、ミスをとがめたりせずに「やり過ごす」ことがあります。なぜなら、恥をかかせないことは、一流の思いやりだからです

二流は仕事を「作業」と捉え、一流は仕事を「夢」と捉える

茶道では、相手を敬い、思いやりの心を残すことを「残心」といいます。何をするときも「最後まで気を抜かず、清らかな余韻を残せる」人は一流です。ドアは、静かに閉める。電話は、相手が切ったことをたしかめてからそっと切る。お客様に書類をお渡しするときは、両手で差し出す。相手が書類をきちんと受け取るまで、自分の手を少しだけ留めておく……。ほんのわずかなことですが、思いやりの心を残そうとする所作は相手に伝わります

「語尾」は崩さずに、はっきり伝える。「語尾」の「ます」に思いを込めるのが、一流の挨拶です

会話の基本は、聞く。人の話を最後まで聞かず、自分の話ばかりするようでは、一流とはいえません。「相手の気持ちを吐き出させる」ことに徹してこそ、一流です

会話中は相手の「目」よりも、相手の「心」を見る

貧乏とは、お金がないことをいうのではありません。「人のために何もできない(しない)こと」です

隣の人が困っていたなら、手を差し伸べる。知らないふりをしない。通り過ぎない。踏みつけない。その人のために労を惜しまない。一流の人の心根にあるのは、「隣人へのやさしさ」なのです

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月並みな表現で恐縮ですが、本当に背筋が伸びる一冊で、良いタイミングで良い本に出合ったと感謝しています。

部下に指導する時でも、子どもに指導する時でも、なぜこのマナーが大切なのか、所作が大切なのか、その本来の意味を知らなければ説得力に欠けるものです。

その点本書は、人を大切にするための根本的な考え方が示されており、いつでも応用可能な心構えとなっています。

タイトルに偽りなし。

これは読み応えのある一冊です。

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『一流の男になる松平家の教え』松平洋史子・著 日本文芸社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4537261293

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◆目次◆

第1章 一流の男の「心得」
第2章 一流の男の「仕事」
第3章 一流の男の「時間」
第4章 一流の男の「所作」
第5章 一流の男の「会話」
第6章 一流の男の「社交」

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