【一流の人材を生み出す具体的方法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4760138382
本日の一冊は、先日紹介した『最高の人材を見いだす技術』同様、天才が生まれる理由を論じた内容。
※参考:『最高の人材を見いだす技術』
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著者のマシュー・サイドは、英タイムズ紙のコラムニストで、BBCのコメンテーターでもありますが、じつは95年にイギリス人として初めて卓球チャンピオンに輝きました。
著者によれば、その理由は、実家がたまたま正式試合用の卓球台を持っており、それを常時ガレージに据え付けてあったこと、一緒に練習してくれる兄がいたこと(兄は全国タイトルを3つ制覇した)、全英トップクラスのコーチが地元小学校にいたこと、さらに24時間オープンのクラブが近くにあったことなど、恵まれた環境にあったからです。
著者が主張するのは、<成功の鍵を握るのは才能ではなく練習なのだ>ということ。
既に有名になった「一万時間の法則」や、実際にそれで有名になったスポーツ選手たちの例を挙げ、どのような努力をするべきか、どのように練習をすれば効果的か、コーチは選手をどうほめれば良いかを論じており、じつに参考になります。
読んでいて新鮮だったのは、知能をほめると、人は失敗を恐れ保守的になるということ。逆に、努力をほめると人は難易度の高い課題に挑戦するようになるということです。
本書には、一流選手の例として、ゴルフのタイガー・ウッズの例が出てくるのですが、彼は、<バンカーショットを打つさいにボールを踏みつけて砂に埋め、できるだけ難易度を高くしておいて、なんどもくり返し打つ>練習をしているそうです。
経営者であれば部下を、親であれば子どもを、それぞれ一流にしたいと思うものですが、本書には、そんな読者の夢をかなえる方法が書かれています。
くれぐれも、間違ったやり方で、部下や子どもの可能性の芽を摘まないように。
ぜひ本書を読んで、一流の条件を研究してみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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成功の鍵を握るのは才能ではなく練習なのだ
才能という幻想があると、人びとははじめのうちに急速な進歩が見られない場合、あきらめてしまいがちになる
「ふつうの人が練習するときには、楽にできることに集中したがる。エキスパートの練習はちがう。それはうまくできないこと──あるいはぜんぜんできないこと──をやろうとして、相当量の集中した継続的な努力をおこなうのだ」(エリクソン)
一万時間ルールは傑出性の指標としては不じゅうぶんであるようだ。求められるのは一万時間の目的性訓練だ
一流選手たちはまったくちがうアプローチをする。積極的な措置を講じて、練習ごとにみずからの限界をさらに広げようとするのだ。たとえばタイガー・ウッズは、バンカーショットを打つさいにボールを踏みつけて砂に埋め、できるだけ難易度を高くしておいて、なんどもくり返し打つ
最初のテストを終えてから、生徒たちには難易度の高いテストか低いテストを受ける選択肢が与えられた。知能をほめられた生徒たちのまるまる三分の二が簡単な課題を選んだ。むずかしいテストで失敗する可能性を負って「頭が良い」レッテルを失う危険をおかしたくなかったのだ。だが努力をほめられた生徒たちの九〇パーセントはむずかしいテストを選んだ。成功ではなく、実りある挑戦の可能性を追求することに関心があったからだ。この生徒たちは、自分がどれだけがんばれるか示したかったのである
ドゥエックの「称賛」実験で、才能ではなく努力をほめることが生徒を成長の気がまえに向かわせ、めざましい効果をもたらすことはわかった。問題なのは、さらなる実験によって、これらの結果がどちらかといえば短命であるとわかった点だ(中略)成長の気がまえを根づかせる唯一の方法は、努力志向のほめ言葉をつねにくり返すことだ
「身体的に恵まれていないなら、精神面で挑めばいいと思ったんだ」(タイガー・ウッズ)
一流のスポーツマンは望ましくない証拠を取りのぞいて、自分の能力にたいする過大な信念を維持する方法を身につけている
その後のできごとが、最終的に史上最大の民間航空機事故を引き起こすことになった。乗務員たちは故障したライトに気を取られてしまったのだ
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『非才!』マシュー・サイド・著 柏書房
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◆目次◆
第1部 才能という幻想(成功の隠れた論理
第2部 心のパラドックス
第3部 深い考察
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