【ジョン・マエダ、未来のリーダーシップを語る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492533222
本日の一冊は、名著『シンプリシティの法則』の著者であり、アメリカ有数の芸術大学であるRhode Island School of Design(RISD)の学長である、ジョン・マエダ氏による一冊。
※参考:『シンプリシティの法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492556079
アーティストである著者がなぜリーダーシップを? といぶかしがる向きもあると思いますが、多くのアーティスト同様、著者も自らにマネジメントの才能がないことを認めています。
<短い間ながら大学の運営に携わる役職を兼任したとき、自分には一人以上の組織を運営する知識がないことが判明した>
だから、本書で示されるリーダーシップというのは、いわゆる「マネジメント」ではなく、あくまでアーティストに求められる「リーダーシップ」です。
世界中のアーティストにインスピレーションを与え、RISDの学長として生徒たちを導いてきた著者の、未来志向のリーダーシップが語られているのが、本書の最大の特長でしょう。
なかでも注目は、個性派ぞろいのアーティストを束ねて仕事する際の注意点です。
ちょっと長くなりますが、引用してみましょう。
<どんなチームであれ、チーム作りの最初の一歩は次の挑戦をクリアすることだ。人が(最もなじみのある)自分の殻から大きな一歩を踏み出して、(自分を落胆させる恐れのある)より大きな何かに加わる気を持たせること。飴(その気にさせる褒美)と鞭(不正行為の処罰)を使って、人の意識を「わたし」から「わたしたち」へと変えようとする不器用な方法なら、いろいろな本に書いてある。でもどちらを使うにせよ、飴はその香りを感じられる範囲でしか効果はないし、鞭もそれが届く範囲でなければ効果がない。言い換えるなら、チームを発足させるとは、各人に、チームのために自発的に動くという選択をしてもらうことから始まるのだ>
先日お会いした、日本No.1の美容室チェーン、アースホールディングス代表取締役の國分利治さんは、「100人いれば100通りのコミュニケーションがある」といった趣旨のことをおっしゃっていましたが、だとすれば、アーティスト集団にはアーティスト集団のリーダーシップがあってもいい。
デザイナー、アーティスト、クリエイター…。呼び名はさまざまですが、要は職人魂を持ったチームを導くための原理原則が、本書には書かれています。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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準備ができているかどうかは、練習量の問題じゃない。たとえ失敗しても諦めない気持ちを持つことだ
僕には、父がそこまで身を粉にして働く理由がわからなかった。それがわかったのは、お客さんが、「日本ではもう見られなくなった職人の技(クラフツマンシップ)で豆腐を作ってくれてありがとう」とお礼を言いに訪ねてきたときだ。父は感情をほとんど表に出さない男だったけれど、立ち去る客に対して、一瞬、微笑んでいたのを僕は見た。それで本人に「クラフツマンシップとはなんだ」と聞いたところ、「愛しむように仕事をすることだ」という答えが返ってきた
これが「手を汚すリーダー」の負の側面だ。あまりに下のほうまで下りて自らの手を汚すことは、自分の指揮下にある人の仕事を奪うことになる
よい批評は自らの盲点を明らかにしてくれるが、そこから立ち直るのが困難なものでもある。だから、誠実な批評には広い心で向き合うことが何より大事だ
ザイナブ・サルビさんが特に忘れられないコメントを残してくれたのだ。「物語は統計データに勝る」。言い換えると、複雑な数値を伝えるより、なぜその数値を伝えたいのかという理由
を訴えるほうがずっと重要だということだ
大きくジャンプして、ちゃんと着地できると信じること。アーティストはいつもそれを実践している。僕たちは失敗を恐れていない。僕たちが恐れるのは、なにかを試すときに自分の手を
汚すことを嫌がる人間になり果てることだ
どんなチームであれ、チーム作りの最初の一歩は次の挑戦をクリアすることだ。人が(最もなじみのある)自分の殻から大きな一歩を踏み出して、(自分を落胆させる恐れのある)より大
きな何かに加わる気を持たせること
飴はその香りを感じられる範囲でしか効果はないし、鞭もそれが届く範囲でなければ効果がない
適切な人材が適切な場所に適切なタイミングで集まれば……すぐに適切な決断を下せる
リーダーとして常に正しくある必要はないけれど、常に偽りなくあれということだ
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『リーダーシップをデザインする』ジョン・マエダ、ベッキー・バーモント・著
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◆目次◆
日本語版への序文
まえがき
1.ここから始まる
2.クリエイティブとして
3.技術者として
4.教授として
5.人間として
6.ありがとう
謝辞
訳者あとがき
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