【やっぱり強いトヨタの秘密】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022510471
「トヨタ自動車、5年ぶりの単独決算黒字に」(読売新聞)
2/5の発表を受けて、株価が大きく上がったトヨタ自動車。
本日紹介する一冊は、そのどん底からの復活劇を、朝日新聞名古屋本社経済グループの記者らが追った一冊。
もともと新聞の連載企画だったのを、単行本としてまとめたもので、トヨタ復活の舞台裏、現社長・豊田章男氏の横顔、トヨタのこれまでの軌跡を知るのに、ピッタリの一冊です。
最近こそ円安で輸出産業は儲かっていますが、ここに至るまでのトヨタは、リコールや震災、金融危機、円高などで、散々でした。
それでも復活できた理由は、一体何だったのか。
本書には、豊田章男社長の独占インタビューを含め、いくつか証言が紹介されています。
「乾いたタオルをなお絞れと教えてきたが、トヨタのタオルはズブズブでした」
これは、トヨタ生産方式の父、大野耐一から指導を受けた最後の直弟子、林南八による言葉です。
そう、トヨタほどの組織でも、初心を忘れてしまうことがあるのです。
この林南八氏には、故・大野耐一氏から耳にたこができるほど聞かされた話があるそうです。
「凧々あがれというが、天まであがった凧はない。必ず落ちてくる。落ちてきたときの備えが大事なんだ」
本書には、「いつのまにか高コスト体質になっていた」トヨタがどうやって変わったのか、その軌跡が書かれています。
日本車で唯一、人気スパイ映画「007シリーズ」に登場した名車、2000GT誕生の物語をはじめ、白洲次郎と当時開発責任者だった岡田稔弘の交流から生まれた「2代目ソアラ」、トヨタのマスタードライバーだった成瀬弘が遺したスピリッツ、名著『トヨタ生産方式』発刊の裏にあったゴーストライター三戸氏の不退転の決意など、読み物としても感情移入できる内容です。
ビジネスノウハウが書かれた本ではありませんが、未来へ進むのに必要な「志」や「教訓」を教えてくれると思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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社長就任は09年6月。創業家出身の社長は、叔父の豊田達郎(現相談役)以来、実に14年ぶり。リーマン・ショック後の世界不況で赤字決算に転落した経営の立て直しを託された。ところが、米国で8月、高級車レクサスが暴走。乗っていた家族ら4人が事故死し、米運輸当局が調査に乗り出した
「最初に言わせてほしい。私は誰よりも車を愛し、誰よりもトヨタを愛している。すべてのトヨタ車には私の名前が入っている。車が傷つくことは、私自身の体が傷つくことに等しい」考え抜いた声明を、英語で淡々と、しかしながら、力強い声で読み上げた。創業家でなければ語れない言葉だった
1週間の米国滞在中、豊田は何度も涙を見せた。
「従業員を守ろうと思ったら、実は守られているのは自分だった」
豊田は、成瀬に「それならば運転を教えてほしい」と頼み込んだ
世界一より町一番でありたい
章男は重要な決断をする際、悲しむ人の顔を頭に浮かべるという。その顔が見えるよう、「現場に一番近い社長でいたい」と考えている
「テスラのチャレンジ精神を学ばせてほしい。トヨタも数十年前はベンチャーだった。再びその精神を思い起こし、挑戦していきたい」
「君のやっている車は、普通じゃない。No substitute(代わりがない)な車にすれば、うまくいくよ」白洲は岡田に助言した
正子は2代目ソアラを買った。白洲の一周忌には豊田親子とともに墓に参った。岡田は後年、白洲が「研究用に」と愛車のポルシェをトヨタに置いていったことを知った
「凧々あがれというが、天まであがった凧はない。必ず落ちてくる。落ちてきたときの備えが大事なんだ」(大野耐一の言葉)
三戸は出版社を退社。1週間のうち3日は愛知県豊田市に滞在。週末は東京に戻って執筆する生活が5週間続いた
「お客様のほうを向いてきたことと、設立のときの思いですよ。単に車づくりというのではなく、自動車工業を興すんだ、それで国に貢献したいんだという創業者らの意志がものすごく強いんでしょうね」(トヨタ世界一の理由を聞かれて──豊田章男社長インタビューより)
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『トヨタ新現場主義経営』朝日新聞社・著 朝日新聞出版
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◆目次◆
第1章 創業家社長の挑戦
第2章 走りの頂点めざせ
第3章 ものづくりの心
第4章 もう一つの母国
第5章 スポーツの王国
第6章 車工場がきた
第7章 復興への決意
付録 豊田章男社長独占インタビュー
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