2006年1月3日

『場の論理とマネジメント』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521585

本日の一冊は、一橋大学大学院商学研究科教授の、伊丹敬之さんによる、注目の新刊です。

著者はこれまでにも、マネジメントにおける「場」の重要性を説いていますが、本書はその理論を本格的に体系化したものです。

ともすれば曖昧になりがちなテーマを、さまざまな企業の実例を入れることによって、具体的な施策にまで落とし込んでいます。

多くの企業では、ガイドラインも何もなく、レイアウト変更や組織変更を行っていると思いますが、本書に示された視点できちんと考えれば、アイデアが創発される「場」のマネジメントが可能になると思います。

ちなみに、事例として挙げられているのは、ソニーやセイコーエプソン、キヤノン、セブン-イレブン、トリンプ、その他アメリカ企業など。

2次情報が多いのが若干気になりますが、非常によくまとめられており、読み応えがあります。

みなさんも新年を機に、「場」の作り方やマネジメントについて、考えてみてはいかがでしょうか。
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■ 本日の赤ペンチェック
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「焦点装置」があると、「自然に」あるいはそこをきっかけに情報が交換されるようになる

マネジメントとは「管理すること」ではない。人々の間の情報と心理の相互刺激の舞台づくりをすること、なのである

タテも大切、ヨコも大切。その両方の働きかけを共に行うのが、経営の働きかけなのである。組織のマネジメントとは、他律と自律のミックスからなるものなのである

個々の小さな職場の人間集団の舞台だけが、経営者というリーダーが考えるべき舞台ではない。企業の空間は、じつはあちこちに広がっている。工場があり、開発センターがあり、営業部がある。工場の現場にも、販売の最前線にも、「情報と感情の満ちた」空間があちこちに生まれうる

◆場の基本要素
1.アジェンダ(主題) 
2.解釈コード
3.情報のキャリアー  
4.連帯欲求

◆場のマネジメントにおいて大切な「仕事構造」の要素
1.仕事の内容そのもの
2.仕事を一緒にするメンバー
3.メンバー間の関係や接触のパターン

◆場の相互作用へメンバーが参加意欲をもつための3つの要因
1.メンバー個人の裁量行動が正当だと組織の中で考えられていること
2.メンバー間で共通理解が生まれる可能性がかなり高いとメンバーが考えていること
3.場での相互作用のアジェンダへの信認がメンバーにあること

情報共有を進めようとしない経営者には、場のマネジメントはできない

◆かじ取りの基本ステップ
1.かき回す 
2.切れ端を拾い上げる 
3.道をつける
4.流れをつくる 
5.留めを打つ
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『場の論理とマネジメント』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492521585
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■目次■
序章 空間は情報に満ちている
第1章 場の論理
第2章 経営組織の中の場
第3章 場のメカニズム
第4章 場のマネジメントとは
第5章 場の生成のマネジメント
第6章 場のかじ取りのマネジメント
第7章 場における情報蓄積
第8章 マネジメントのパラダイム転換
第9章 場の中のマネジャー
終章 経営を超えて、ダイコトミーを超えて
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