2016年10月10日

『大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる』 高橋伸夫・著 vol.4464

【経営の基礎を学びたい方へ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4046017651

本を読んでいると、昔、学んだ常識や知識が今は違っていることがわかり、驚くことがあります。

地理の勉強のように、生産量やランキングが変わったりするものが多いですが、なかには、考古学や歴史、実験のように、新事実が発見されたことによって、教科書が書き換わってしまうものもあります。

本日ご紹介する一冊は、大学4年間で学ぶ経営学の知識をダイジェスト版でまとめた一冊。

人気シリーズの経営学バージョンで、著者は東京大学経済学部教授の高橋伸夫さんです。

『大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる』というタイトルですが、実際には2時間もかかわらずに学べると思います。

テイラーの考えた差別的出来高給制度や、フェッファーとサランシックの資源依存理論、ハナンとフリーマンの「新しさの不利益」仮説、ホーソン実験での生産性向上のカラクリなど、押さえておくべき経営学の基礎が書かれており、勉強になります。

経営の現場でまことしやかに説かれる「コア・コンピタンス」論への警鐘が鳴らされていたり、「古い組織よりも新しい組織の方が失敗する割合が高い」という、意外な実証研究の結果が示されていたりと、読んでいて新しい発見があるのが面白い。

経営者、マネジャー、経営コンサルタントは、ざっとでも目を通しておくと、参考になるでしょう。

さっそくいくつか、気になる部分をピックアップしてみます。

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大きな組織を効率的に動かすために、社会・経済学者のマックス・ウェーバーはさらに、(1)職務を専門化することで分業し、(2)担当者が変わることで対応が変わらないように規則を明確化し、(3)文書によって記録すること……というような特徴を挙げました。これが官僚制の組織です

テイラーの考えた成果給的な差別的出来高給制度は失敗してしまいました。成果主義は100年前にも失敗しているのです

今、抱えている問題が大き過ぎると、そもそも合理性に限界があるので解決できません。しかし問題をやり過ごしていれば、そのうちその問題の方が立ち消えになるかもしれません。嵐が過ぎ去るのを待つ。これがやり過ごしです

相手組織がパワーを持っているのは、簡単に言ってしまえば、自分たちが相手組織に資源を依存しているからです

ハナンとフリーマンは、生態学的観点から、環境による組織の淘汰を考えます。組織にはそもそも構造的慣性があるので、組織の環境適応には限界があり、環境に合っていない組織は淘汰されてしまうのだという割り切った考え方です。つまり適応と淘汰を比べれば、淘汰が勝るというわけです。その上で、慣性の高い組織の方が生き残ると主張したのです。たとえば、「新しさの不利益」仮説です。要するに、古い組織よりも新しい組織の方が失敗する割合が高いというのですから、ちょっと驚きでしょう。ところが、実際、半導体製造企業、地方新聞社、全国的労働組合組織など、多くの実証研究で、新しさの不利益が確認されています

◆ホーソン実験での生産性向上のカラクリ
実験は最初の年である1927年に、5人中、反抗的な作業者番号1番と2番の2人が解雇されました。代わって1928年1月からは、(1)その者たちと同程度ないしはそれ以上の技能をもち、(2)経済的な問題で仕事を必要としていた2人の女性が入ってきて、同じ番号を引き継ぎました。今では、新規に加入した2人の努力と刺激が集団の生産性向上をもたらしたと考えられています

コア・コンピタンスは大きな強みもありますが、既存のコア・コンピタンスにしがみつくことになるので、硬直化と背中合わせです

「代わりが簡単に見つかるか否か」で生産方法を変える

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変にカジュアルな文体や、ある程度経営学を学んでいる前提での書きぶりが本書の価値を落としていると思いますが、経営学の基本をざっとおさらいし、アップデートするのに適した一冊です。

ぜひ、チェックしてみてください。

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『大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる』高橋伸夫・著 KADOKAWA

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◆目次◆

第1部 経営組織論
第2部 経営戦略論
第3部 技術経営論

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