2016年10月23日

『さらば価格競争』坂本光司、坂本光司研究室・著 vol.4477

【非価格経営で成功する21社の事例集】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4785505095

先日、フランスで流行のショップをいくつか見学してきて、価格競争の時代は終わった、と心から思いました。

代わって、大事になっているのは、「誠意」と「品質」です。

このことを、明確に意識して書かれた日本のケーススタディがあったので、本日はそちらをご紹介します。

本日の一冊は、大ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』の坂本光司教授と、坂本光司研究室が協力してまとめた、日本の優良中小企業のケーススタディ集。

著者は、冒頭で<人件費を抑える企業はもはや限界にきている><消費者も価格より「本物」を求める時代>と、近年のトレンドを明らかにした上で、新たな価値を実現して成功している21社を紹介しています。

1本数千円の傘や1本数万円の万年筆、さらには1本1万円以上する包丁が飛ぶように売れる状況をレポートし、その裏にどんな企業努力と理念があるのか、限られた紙数でまとめています。

世界で初めてビニール傘を開発したホワイトローズや、「1秒タオル」で大ブレイクしたホットマン、高糖度トマト「アメーラ」で有名なサンファーマーズなど、個性派企業がズラリと並び、読んでいてワクワクします。

どんなことが書かれているのか、さっそくチェックしてみましょう。

———————————————–

◆ホワイトローズ
世界で初めてビニール傘を開発し、人の安全を守る高付加価値のビニール傘を提供しているのがホワイトローズ株式会社

直営店の店内に掲げられている、会長・三男さんが書いた「社針」に、「新製品の発売はピラミッドの頂点から」という言葉があります。商品に関して一番こだわりを持っている人をまず想定して商品を作れ、そうすれば顧客はだんだんと広がっていくもの、という意味です

◆盛髙鍛冶刃物
「ウォール・ストリート・ジャーナル」で「有名シェフおすすめ包丁」として取り上げられて以来、海外からの注文が増え、現在は売上高の4割が輸出

◆三和建設
同社が他社と競争したある食品工場の建設では、他社が8億5000万のところ、9億5000万と1億円も高くても受注したという例もあります。これは、食品工場に絞り込んだブランディング効果もありますが、決定的な要因は明らかに提案力の差でした

◆ホットマン
2013年にブランド強化のため、上質で吸水性が高いタオルを「1秒タオル」として表現してプロモーションを推進。その結果、主要タオルの売上げが1年で約1・5倍に増加しました

一度洗うと柔軟剤を使わなくても柔らかく、使うたびに吸水性と風合いが上がり、長期間使えると愛好者からは絶大な人気

◆サンファーマーズ(高糖度トマト「アメーラ」を販売)
安定供給もブランド化の重要な鍵の一つです。定番の贈答品にするなら、いつでも必要なときにデパートに並んでいる必要があります。全国チェーンの店舗なら、全店舗に流通させる必要があります。しかし多くのトマト生産者は、一年のうちトマトを作りやすい半年間に集中して生産します。効率は良くても競合が多く、価格競争になります。稲吉さんは、アメーラを「一年中出荷する」と決めました

大手ショッピングセンター、コンビニエンスストア、ファミリーレストラン、パン製造会社、外食大手などから直販のオファーが来て、どんなに高値で有利な条件を出されてもすべて断っています。直販した瞬間から市場バイヤーの決定権が失われてしまうからです。市場を守り、裏切らないことが、同社の戦略上重要なポイント

◆トランスフォーム
アレルギーのある人でも安心して通える美容室

———————————————–

昨日ご紹介した『マーケティングのすゝめ』で、共著者の高岡浩三さんが、<マーケティングの出発点になるのは「顧客の特定」と「顧客の問題の特定」>とおっしゃっていましたが、この21社は、いずれもその基本が徹底していると思いました。

※参考:『マーケティングのすゝめ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121505670/

顧客のことを真剣に考え続けていたら、気がつけば超個性的な企業になっていた、そんな感じの21社です。

限られたページ数でやや慌ただしい感はありますが、興味深いケーススタディ集です。

ぜひ読んでみてください。

———————————————–

『さらば価格競争』坂本光司、坂本光司研究室・著 商業界

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4785505095/

<楽天ブックスで購入する>
http://bit.ly/2eGmAcK

———————————————–

◆目次◆

第1章 価格競争型経営の終焉
第2章 非価格経営に挑む中小企業21社
1.ニッチな分野で非価格経営
・ホワイトローズ
・盛髙鍛冶刃物
・万年筆博士
・ビクセン
・宇野企画
2.お客様の声を徹底的に聞いて非価格経営
・ふらここ
・ベル
・三和建設
3.ブランディングで非価格経営
・ホットマン
・サンファーマーズ
・HITOYOSHI
4.こだわりぬいて非価格経営
・シャボン玉石けん
・太子食品工業
・トランスフォーム
・秋山木工
5.市場創造で非価格経営
・しもきた茶碗大山
・ワイズティーネットワーク
・プラスアルファ
6.社会貢献に取り組んで非価格経営
・パーソナルアシスタント青空
・パン・アキモト
・丸吉日新堂印刷
第3章 非価格経営実現のための8つのポイント

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー