2013年12月28日

『円安シナリオの落とし穴』池田雄之輔・著 vol.3448‏

【円安シナリオ、どこまで信じるか?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532262267

本日の一冊は、野村證券でチーフ為替ストラテジストを務める著者が、為替相場を動かすロジックと現実をわかりやすく解説した一冊。

東日本大震災後のドル/円の動きと、アベノミクスによる影響、エネルギー価格の影響を整理し、今後、円相場がどうなるのか、指標を含めて丁寧に解説しています。

著者によると、為替相場を見極めるための一番のポイントは、<相場の担い手を(1)投機(ヘッジファンド)、(2)貿易収支などの円需給、(3)日米金利差、という「三層の波」に分けて考えること>。

この3つのうち、現在はどの影響が強いかを考えつつ、相場を見ていくのが大切だそうです。

また、需給を評価する際に確認する3つのチェックポイント、野村が提供している「野村需給インデックス」なども紹介されており、投資家が自分の力で需給を判断できるよう、指針を示しています。

◆需給を評価する際に必ず確認する3つのチェックポイント
1.一方通行か
2.積極的なフローか
3.為替取引/リスクを伴うか

◆野村円需給インデックス
日本の対外取引のうち、為替取引を伴う5つのフローを抽出し、合計したものだ。具体的には、(1)貿易・サービス収支、(2)所得収支、(3)対外直接投資(海外M&Aなど)、(4)投信フロー(投資信託経由の外貨買い)、(5)生保フロー(生保の外貨買い)である

貿易収支と投信フローが、互いに打ち消し合う関係にあることや、日本の貿易赤字の正体(=エネルギー価格の高騰)、円安が今後も続くかどうかを判断する基準である「3つの落とし穴」など、興味深いトピックが満載で、じつに勉強になりました。

◆3つの落とし穴
1.米国金利の低下、貿易黒字の復活(2017年から円高方向?)
2.中国経済失速(中国経済が崩壊したら、最悪の円高シナリオ)
3.シェール革命の功罪(円高・円安どちらもあり得る)

今後は、この「3つの落とし穴」がどうなるか、警戒するのが正解ということで、投資の指針が明確になりました。

ぜひ一読をおすすめしたい一冊です。

—————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
—————————————————

一番のポイントは、相場の担い手を(1)投機(ヘッジファンド)、(2)貿易収支などの円需給、(3)日米金利差、という「三層の波」に分けて考えること

◆需給を評価する際に必ず確認する3つのチェックポイント
1.一方通行か
2.積極的なフローか
3.為替取引/リスクを伴うか

◆野村円需給インデックス
日本の対外取引のうち、為替取引を伴う5つのフローを抽出し、合計したものだ。具体的には、(1)貿易・サービス収支、(2)所得収支、(3)対外直接投資(海外M&Aなど)、(4)投信フロー(投資信託経由の外貨買い)、(5)生保フロー(生保の外貨買い)である

5つの需給バランスの中でもとりわけ重要で、紙飛行機でいえば「主翼」に相当するのが貿易収支と投信フローである。この両者には不思議な関係がある。お互いが打ち消し合う方向になることが多いのだ。つまり、貿易黒字が大きく、稼いだ外貨をもとにした円買い需要が強いときには、逆に個人投資家の外貨投資意欲も旺盛で、それを打ち消すように円売りの力になる、という関係である(中略)背後にあるのは海外景気のサイクルである。海外経済が力強く加速している際には、輸出が伸び、貿易黒字が拡大する。一方、海外景気が強いほど、外国株式は上昇が見込まれるし、外国債券の金利も魅力的な水準に高まっていく

日本が貿易赤字に転落したのは、震災後の輸出急減と、原子力発電所停止によるエネルギー輸入量の拡大だった。しかし、その後、貿易赤字を定着させた最大の理由は、エネルギー価格の高止まりである

原発が今後10基、20基と再稼働していっても、日本の輸入は1兆円ないし2兆円しか減らすことはできない。これは、現在10兆円にまで膨らんでいる貿易赤字に比べれば、焼け石に水

仮にエネルギー価格が4割低下すれば、それだけで輸入金額を10兆円以上縮小させ、貿易赤字を解消できることを意味する。しかし、シェール革命の影響で日本のエネルギー輸入コストが低下するのは、2017年以降との見方が定説

◆3つの落とし穴
1.米国金利の低下、貿易黒字の復活
2.中国経済失速
3.シェール革命の功罪

————————————————

『円安シナリオの落とし穴』池田雄之輔・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532262267

————————————————-

◆目次◆

プロローグ 投機が崩壊する恐怖
第1章 ヘッジファンドの行動パターン
第2章 紙飛行機理論と円需給
第3章 日米金融政策とドル円
第4章 ドル円のメインシナリオと落とし穴
第5章 為替相場という小宇宙の法則

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー