2012年7月29日

『なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編』 山田英夫・著 Vol.2930

【いちおし!珠玉のケーススタディ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318211

先日、「ケーススタディが充実」ということで、『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』を紹介しましたが、本日の一冊は、その共同執筆者の一人、山田英夫さんによる一冊。

※参考:『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/482224900X

前述の書籍に書かれていたケーススタディが良かったので、同著者の書籍を探していたところ、さらにケーススタディ満載の本書にたどり着きました。

「ビジネスモデル編」と銘打っているだけあって、ビジネスモデルがてんこ盛りで、しかもビジネスモデルを創出するための体系、方法論も、丁寧に説明しています。

自社がチャレンジャーだった場合、どんな打ち手があるのか、参入障壁を築くためにどんな視点を用いればいいのか。ライバルのいないブルーオーシャンを開拓し、また競合まで顧客にしてしまう貪欲なビジネスモデルがずらりと並ぶ、珠玉のケーススタディ集です。

登場するのは、文具の通販で成功したアスクル、業界で嫌われている「オーナーチェンジ」物件を買い取って成功したスター・マイカ、ライバルの遊休資産活用、さらにはレベニューマネジメントの支援を通じて稼いでいる楽天バスサービス、対個人サービスだけで利益の上がるモデルを創ったスルガ銀行、狭い土地を活用して24時間パーキングを展開しているパーク24、マイナスの差別化によって成功したサウスウエスト航空、QBハウス、カーブス、西松屋など。

こんなに充実したケーススタディが読めるのは、本書をおいて他にないでしょう。

ビジネスに変革を起こすなら、異業種のビジネスモデルを学び、応用するのが一番。

ビジネスが創れる人になるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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スルガ銀行は、(1)他行が貸したくない人にも貸す、(2)他行にはない基準で商品を開発して貸す、という二つの方針を打ち出した(中略)スルガ銀行が住宅ローン専門拠点を首都圏に設置しているのは、首都圏に転職の多いSEや外資系企業のビジネスマンが多いからである。(2)に関しては、定期借地権付き住宅ローン、健康上の不安を抱える人向けローンなど、他行にはない商品がある。その極めつけは「銀行員向け限定カードローン」であり、この融資対象は他行の行員である。銀行員は、記録が残ってしまう自行からは借りたくない。しかしながら、消費者金融からは借りたくないという心理を突いた見事な商品である

パーク24は、相対的に狭い土地を数多く調達してきたが、これによって固定費を小さくすることができ、かつマンション等への転用の可能性が低いことから、駐車場オーナーの解約率を低くすることに成功してきた

◆ビジネスモデルを見る七つの視点
1.顧客の再定義
2.顧客価値の再定義:主にメーカー用:サービス・ドミナント・ロジック
3.顧客価値の再定義:主にサービス業用:マイナスの差別化
4.顧客の経済性
5.バリューチェーンのバンドリング/アンバンドリング
6.経営資源の持ち方
7.定番の収益モデル

サービスの中から必要なものだけに絞る、“マイナスの差別化”を行うと、ビジネスモデルを転換せざるをえなくなるケースが多い。マイナスの差別化に対しては、とりわけ業界のリーダー企業は同質化をしかけにくい。リーダーが持っている経営資源が使えず、かえって“負債”となってしまうからである

◆劇団四季の成功要因
1.欧米でヒットした演目を厳選して、日本で上演
2.研究生からの一貫育成体制を持っており、それにオーディションによる人材を加え、劇団員の質を維持
3.従来の劇団では当り前であった「スター主義」をとらなかった

アニタ・エルバースは、「ロングテールの嘘」という論文の中で、音楽サイトやビデオレンタルなどの売上パターンについて調査し、証拠を挙げてロングテール論に反論した。彼女によれば、ビジネス的にはマイナー商品の需要に焦点をあてるのは得策ではなく、ロングテールから利益を上げることは難しい

債務に計上したポイント引当金は、他社ポイントに交換されれば、その分削減され、バランスシートが改善される。言い換えれば、ポイント交換サービス業者は、“負債を買い取ってくれる有り難い業者”とも言える

ジレットモデルで利益を上げるためには、後から必要となる補完製品に競合企業と互換性がないことが重要である。そのため、ジレットでは他社の追随を許さない替刃の開発を今でも続けており、キヤノンはプリンター用のインクカートリッジの再生インク詰め替え販売業者を訴え、知財高裁から勝訴の判決を得た

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『なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編』山田英夫・著 日本経済新聞出版社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318211
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◆目次◆

第1章 ビジネスモデル構築の方法
第2章 イノベーションを異業種に学ぶ
第3章 異業種のビジネスモデルを見る視点
第4章 ビジネスモデル変革の課題

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