2011年10月29日

『日本人にしかできない「気づかい」の習慣』 上田比呂志・著 Vol.2656

【これは必読】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844371339

本日の一冊は、総理大臣も通ったという老舗料亭で生まれ育ち、その後、三越、ディズニーで活躍した著者が、日本人の「気づかい」を語った一冊。

マナーやホスピタリティに関する本は山ほどありますが、その多くは、マニュアルか感動のエピソード、両極端に傾いています。

それに対し、本書には「教え」があります。

祖母の教え、三越、ディズニーでの気づき、そしてスパイスとして効いているのが、各項目の最後に付されている、先人たちの名言。

3つの「教え」が、「気づかい」の本質とは何かに気づかせてくれるのです。

まずは、料亭の創業者だった、祖母の教えから。

「ひろ坊、周りの人に何かしてもらうのを待っていてはいけないよ。まず自分から動くんだよ。自分から動いて、できることはとにかく自分から進んでやってあげなさい。そうしたら本当に困った時に、その人たちが必ず助けてくれるよ」(祖母の教え)

次に、著者が小さい頃の、酉の市のエピソードを見てみましょう。

私がまだ小さな時、橘家のお客様(旦那様)と芸者さん衆と女将とで、新宿の花園神社へ酉の市に出かけました。酉の市というのは関東で秋に行われているお祭りなのですが、ここで売られている熊手が縁起熊手といって商売繁盛のアイテムなのです。この熊手を、その年一番ごひいきにしてくれた旦那様がプレゼントしてくれます。
(中略)
熊手を買う時も、普通には買いません。芸者さんと熊手屋さんとで値引き合戦がはじまるのです。これも旦那様への気づかいで、高いお金を払わせるのは申し訳ないからと、できるかぎり値引きをしていきます。芸者さんが「まだまだ!」と言いながら、女将がはやして、旦那さんが笑う。見ているだけで、楽しい空間ができあがっています。聴衆の中で、「じゃあいくらでもいいや、もってけ泥棒!」と熊手屋さんが折れる。旦那様に熊手のお代を払ってもらうのですが、ここで女将が粋な計らいをします。「ご祝儀に」と、熊手屋さんに値切った分のお金を渡すのです

これぞ日本人の気づかい! なわけですが、本書にはこのように気づきを与えてくれる教訓やエピソードがたくさん出てきます。

さらに、スパイスとして効いている名言の一部を紹介すると、

かけた情けは水に流せ
受けた恩は石に刻め
(前山寺の石碑より)

甘柿も渋柿もともに役立てよ(武田信玄『甲陽軍艦』)

といった感じで、これがまた本文を読んだ後にはよく効くのです。

これは、最近読んだホスピタリティ本のなかでは、ベストの一冊。

マネジメントや子育てに関する教訓も多く、サービス業に携わる人に限らず、ぜひみなさんに読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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気づかいとは、他者を慮ることです。相手が「欲しい」と言う前にその気持ちを汲みとり、さりげない行動で示す。相手のことを思い、自分がしたいからそうする。これが、日本人にしかできない気づかいだと思うのです

自分が大切だと思っている人に対して、「この人は何が好きなんだろう?」「何をしたら喜んでくれるんだろう?」と考え、実際にしてあげること。これが気づかいの本質です

衣を染めんよりも心を染めよ

気づかいに必要なことは意識です。意識を持つと、身につけたスキルは他のあらゆる物事と結びついてきます

「ひろ坊、周りの人に何かしてもらうのを待っていてはいけないよ。まず自分から動くんだよ。自分から動いて、できることはとにかく自分から進んでやってあげなさい。そうしたら本当に困った時に、その人たちが必ず助けてくれるよ」(祖母の教え)

かけた情けは水に流せ
受けた恩は石に刻め
(前山寺の石碑より)

私がまだ小さな時、橘家のお客様(旦那様)と芸者さん衆と女将とで、新宿の花園神社へ酉の市に出かけました。酉の市というのは関東で秋に行われているお祭りなのですが、ここで売られている熊手が縁起熊手といって商売繁盛のアイテムなのです。この熊手を、その年一番ごひいきにしてくれた旦那様がプレゼントしてくれます。
(中略)
熊手を買う時も、普通には買いません。芸者さんと熊手屋さんとで値引き合戦がはじまるのです。これも旦那様への気づかいで、高いお金を払わせるのは申し訳ないからと、できるかぎり値引きをしていきます。芸者さんが「まだまだ!」と言いながら、女将がはやして、旦那さんが笑う。見ているだけで、楽しい空間ができあがっています。聴衆の中で、「じゃあいくらでもいいや、もってけ泥棒!」と熊手屋さんが折れる。旦那様に熊手のお代を払ってもらうのですが、ここで女将が粋な計らいをします。「ご祝儀に」と、熊手屋さんに値切った分のお金を渡すのです

三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理で末決まる

甘柿も渋柿もともに役立てよ(武田信玄『甲陽軍艦』)

きのふの我に飽べし(松尾芭蕉『俳諧無門関』)

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『日本人にしかできない「気づかい」の習慣』上田比呂志・著 クロスメディア・パブリッシング
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844371339

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◆目次◆

第1章 料亭と三越とディズニーで学んできたこと
第2章 日本人にしかできない「気づかい」の心意気
第3章 人と関わり合う上で欠いてはいけないこと
第4章 気づかいが気づかいのできる人を育てる
第5章 周囲の誰をも満足させるプロとしての気づかい

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