【社長のための会計書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/475691229X
本日の一冊は、難しい税務会計を小学生に教え、簿記2級講師の時代には、受講生の合格率を4倍に引き上げたという個性派税理士、ウエスタン安藤さんによる一冊。
自身が専門とする、中小企業向けの会計指南を書いたもので、もともと債権者向けに作られた財務諸表を、中小企業社長がどう活用すればいいか、そのポイントをズバリ書いています。
入門書の体裁をとってはいますが、おそらくタイトルにあるような、「数字を見るとおなかが痛くなる社長」が読んだら、さらにお腹が痛くなってしまうと思います。つまり、やや解説がわかりにくいところがあります。
ただ、本気で数字を理解し、そこから読み取った情報を経営に生かそうとするなら、これぐらいのことは学んでおいた方がいいと思います。
本書の優れた点は、中小企業の経営者に関係のないことはすべて割愛し、必要最低限の知識をどうやって経営に生かすかを論じている点。
「売上総利益が赤字である企業は今すぐ事業をやめたほうがいい」
「営業利益が赤字になるなら必要経費の見直し」
「貸借対照表に社長への貸付金があったら、金融機関はまず融資してはくれません」
など、具体的なアドバイスが参考になります。
また、中小企業経営者がやりがちな間違った経費の落とし方も指摘されており、かなり実践的です。
どうすれば金融機関を口説けるのか、どうすれば税務署に突っ込まれるのか、どうすれば健全な経営ができるのか。
中小企業の経営者が最低限知っておきたい知識が、この一冊に詰まっています。ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「会計取引」が発生したら、それを「仕訳」という形に翻訳して「仕訳帳」に記帳します。次に「仕訳帳」から「勘定科目」ごとに区分して「総勘定元帳」に転記します
貸借対照表と損益計算書もその関係を理解したければ、それが一つになっているところから、つまり試算表から見たほうがいいに決まってるんですっ!
試算表の中から「資産、負債、純資産」の3つを抜き出して一つの表にまとめたものが貸借対照表です。同じように、試算表から「収益、費用」の二つを抜き出して一つの表にまとめたものが損益計算書
貸借対照表に計上されている金額は実際の市場価格(時価)を反映していないという大きな問題がある
負債の部の合計は、そのまま企業が将来支払わなければならない金額を表している
貸借対照表の右側は、そのお金をどこから調達したかと、いくら調達して現在いくら残っているのかが載っている
売上総利益が赤字である企業は今すぐ事業をやめたほうがいい
営業利益が赤字になるなら必要経費の見直し
営業利益が黒字でも経常利益で赤字になってる企業は、資金繰りが厳しいんだなってことがわかる
貸借対照表に社長への貸付金があったら、金融機関はまず融資してはくれません
「10万円を超えると単年度の費用とすることができない」というところを利用して粉飾しようとする人がいる
金融機関が知りたいのは、その不良在庫が現金化できるものかどうかってことです。もし現金化できないのであれば、多額になる前に廃棄損を計上しましょう
作業くずでも買い取ってもらえるようなものは、やはり期末在庫に計上
実質的に従業員が使えないようなものは福利厚生施設としては認められない
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『数字を見るとおなかが痛くなる社長のための決算書の読み方』ウエスタン安藤・著
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◆目次◆
はじめに
第1章 小さな会社の決算書
第2章 貸借対照表って、こんなもの
第3章 損益計算書って、こんなもの
第4章 小さな会社のバレバレ粉飾
第5章 小さな会社のバレバレ脱税
第6章 社長たちよ、強くなれっ!
おわりに
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