本日の一冊は、地味ながらロングセラーとなっている、行動分析学のテキストです。
もともと、大学の授業で使うためだけに自費出版したものを再編集したようですが、内容は登場人物の対話を中心に構成されており、大変読みやすく仕上がっています。
職場での問題解決や、自分の行動をマネジメントするための知識がまとめられている、ということですが、具体的にどんな内容か、さっそく見て行きましょう。
—————————————–
■ 本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
—————————————–
仕事や人間関係がうまくいかないとき、我々はその原因を他人や自分の性格や能力、やる気や適性のせいにして、問題解決のためのアクションをとらないことが多い。これを個人攻撃の罠という。上司として仕事をしていると、特に陥りやすい罠である。自分の責任ではなく人の責任とする方がたやすいからだ。でも、この罠にはまっている限り問題は解決しない。また、罠にはまった上司の元では部下が育たない。
■ABC分析
「先行条件」「行動」「結果」、3つの関係(行動随伴性)を分析し、問題の原因を推定する
■弱化の原理
行動することで、何か悪いことが起こったり、良いことがなくなったりすると、その行動は繰り返されなくなる。
■復帰の原理
行動は弱化されないと、元通りに起こりやすくなる。
■消去の原理
行動は強化されないと、元通りに起こりにくくなる。
■弁別の原理
行動は先行条件によって起こったり、起こらなかったりする。具体的には、強化の先行条件によって引き起こされ、弱化の先行条件によって抑えられるようになる。
■派生の原理
好子や嫌子が現れると、そのとき、そこにいた人やそこにあった物、状況などが、好子化したり、嫌子化したりする。
※好子=行動を強化する”何か良いこと”、嫌子はその反対
■部分強化の原理
いつも強化される行動よりも、たまにしか強化されない行動の方が消去されにくい。
■反発の原理
嫌子が出現したり、急に行動が消去されると、反発したり、相手を攻撃する行動が起こりやすくなる。
叱咤激励は、具体的な行動目標を設定したときに有効になる。無条件に誉めずに、目標達成を具体的に誉めること。
—————————————–
紹介されている理論や指針だけをまとめてみましたが、本書の良さは、ABC分析の事例をたくさん紹介して、どんなケースをどう分析し、解決するか、といった実践的なアドバイスにあります。
マネジャーなら、一度は学んでおきたい内容です。
というわけで、本日の一冊は、
『パフォーマンス・マネジメント』
http://tinyurl.com/6h6o4
です。色気のない本ですが、内容は参考になります。人間行動を科学的に分析する方法を学びたい方、仕事・プライベートの人間関係で悩んでいる方には、おすすめの一冊です。
■目次■
はじめに
第1章 部下のマネジメントI
第2章 部下のマネジメントII
第3章 安全のマネジメント
第4章 体重のマネジメント
第5章 恋愛のマネジメント
第6章 スポーツのマネジメントI
第7章 スポーツのマネジメントII
第8章 道徳のマネジメント
第9章 病院のマネジメント
第10章 品質のマネジメント
第11章 知識のマネジメント
第12章 学校のマネジメント
第13章 組織のマネジメントI
第14章 組織のマネジメントII
第15章 人生のマネジメント
クイズの解答
おわりに
━━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
→ eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
→ http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━━
この書評に関連度が高い書評
お知らせはまだありません。