【注目です。】
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本日ご紹介する一冊は、ハーバード・ビジネススクールやケネディスクールで教授を務め、「パワーと影響力(Power and Influence)」コースを担当するジュリー・バッティラーナと、トロント大学ロットマン経営大学院教授で組織行動論を専門とするティチアナ・カシアロによる共著の邦訳。
これからリーダーとなる若者たちや、エグゼクティブに、権力や影響力について教えた人気授業の講義録で、なるほど権力、影響力の基本原理がよくわかる内容です。
今は、インターネットでにわかインフルエンサーが大量発生する時代ですが、このことについて著者らは、ジャーナリストで学者のモイセス・ナイムの言葉を引用し、こう言っています。
<21世紀は、パワーを手に入れるのは簡単に、使いこなすのは難しくーーそして、失うのは簡単になる>
また、インターネットを通じて広がりつつある社会運動についても、その限界を指摘し、こう述べています。
<社会学者のゼイナップ・トゥフェックチーはこう指摘している。「ネットワークを活用した現代の社会運動は、初めての抗議デモや行進を実施する以前の段階で、実質的な組織の運営能力がないまま、急速に大規模化してあらゆるタスクをこなしてしまう。しかし、そのスピードが弱みでもある」面倒で地道な努力を積み重ねなければ、参加者同士は浅い関係にとどまり、集団としての意思決定や戦略の立案、コミュニケーション、組織づくりなど回復力と強さを備えた社会運動の実現に不可欠な経験を積むこともできない>
本書が秀逸なのは、権力や影響力が発生する原因を明確に述べ、それに翻弄される人々に対抗策まで示した点。
内容は実践的で、企業リーダー、政治家はもちろん、社会活動家にとっても役立つ内容だと思います。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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他者に影響を与える能力は相手が重視するリソースへの支配権から生じることを理解しよう
◆パワーバランスを変える4つの戦略
・「引き寄せ」あなたの持つリソースについて、相手から見た価値を高める
・「連携」相手の持つ、あなた以外の入手経路を減らす
・「撤退」相手の持つリソースへの関心が薄らぐ
・「拡大」あなたの持つ、相手以外の入手経路を増やす
どの文化でも、どんな状況であっても、私たちが人や組織について評価を下す際には2つの基準を利用している。「優秀さ」と「温かみ」である
「風見鶏」の人々との接近には状況を一変させる力がある
多人数と直接つながっていなくても、ネットワーク同士を媒介する「情報ブローカー」になればパワーを保持できる
人はパワーを手にすると、共感力が低下する一方、自ら行動を起こす意欲が高まり、特権意識も強くなりやすい
◆変革を促進する3つの条件
・危機
・歴史の浅い仕組みほど変わる余地も大きい
・変革のリーダーが旧体制を手厳しく批判するだけでなく、パワーの分配方法について新たな対案を提示すること
社会運動にとっては、「扇動者」に負けず劣らず、「革新者」と「調整役」の存在が不可欠だ
パワーの一極集中への処方箋が、パワーの共有と説明責任にあることは明白だ。組織であれ、社会全般であれ、パワーを共有できず、強者に説明責任を負わせられなくなると、権力の濫用と独裁が入り込む余地が生まれる
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権力が発生する原理や、パワーバランスを変える4つの戦略などが示されており、これから権力を握りたい人、誰かの影響力から脱却したい方にもおすすめの内容です。
ぜひ読んでみてください。
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『ハーバード大学MBA発 世界を変える「権力」の授業』ジュリー・バッティラーナ、ティチアナ・カシアロ・著
井口景子・訳 CCCメディアハウス
<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆
はじめに パワーは誤解されている
Chapter1 パワーの基本原理
Chapter2 パワーは汚らわしいとは限らない
Chapter3 人は何に価値を見出すのか
Chapter4 「大切に思うもの」へのアクセス権は誰の手に?
Chapter5 凝り固まったパワー構造を壊す
Chapter6 扇動・革新・調整
Chapter7 パワーは不変でも、パワーの保有者は変わる
Chapter8 パワーを監視する
おわりに すべては私たち次第
付録 社会科学におけるパワーの定義
謝辞
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