2014年11月12日

『ニコニコ哲学』川上量生・著 vol.3767

【川上量生氏が考えるコンテンツビジネスの未来とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822250512

本日の一冊は、新生KADOKAWA・DWANGOのトップとなった川上量生(かわかみ・のぶお)会長が、コンテンツビジネスの本質と未来を語った一冊。

もともとはウェブメディアcakes(ケイクス)に連載されていたものを書籍化したもので、インタビュー形式で川上氏の考えがまとめられています。

インターネットビジネス、コンテンツビジネスの世界は、概念やビジネスモデル、つまり抽象的なアイデアの戦いが鍵を握るため、経営者がビジネスの本質をどう捉えているのか、というのは未来に関わる一大事です。

本書には、KADOKAWA・DWANGOの舵取りをする川上氏のメディアの捉え方、コンテンツの捉え方が書かれており、同業者にとっては、気になる内容だと思います。

<コンテンツビジネスをしていないプラットフォームというのは、とにかくコンテンツの値段を下げようとする>

<任天堂のような自分でコンテンツをつくっているプラットフォームは、コンテンツの値段を下げません>

など、本質を突いた議論は、読んでいて目からウロコが落ちます。

コンテンツがこれからどうなっていくのかについては、以下の2点がじつに参考になりました。

<オープンなマーケットで、みんながコンテンツをつくれるようになるほど、コンテンツの実質的な多様性は減る>

<インターネットが多様性を破壊して、世界が完全に均質になっていくのかというと、そこはみんなが一生懸命抵抗するでしょうね。そうして、細かい世界をつくろうとするっていうのが、これから起こることだと思います。お山をどうつくるのか。それが次のネットのテーマですよ>

競争に対する考え方もユニークなため、興味深く拝読することができました。

ぜひみなさん、チェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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コンテンツビジネスをしていないプラットフォームというのは、とにかくコンテンツの値段を下げようとする

任天堂のような自分でコンテンツをつくっているプラットフォームは、コンテンツの値段を下げません。むしろ、ゲーム機本体を安く売って、ソフトの売上で回収しようとする。だから、任天堂のゲームのソフトは値崩れが起きなかったんです

UIの変更って必ずユーザーの反発を呼ぶんですよ。それがわかっているから、事前にUIだけ変えておこうと思ったんです。先にひどいUIにしておけば、機能ができたときに改善することになって、受け入れやすくなるでしょう

長期的にニコ動が自由な場であるためには、会社がクレームに対して鈍感である体質をつくることが重要

おそらく、多くの人は少ない理屈でビジネスをしようとするから、競争相手がたくさん現れてうまくいかないんじゃないでしょうか。普通は正しい前提の上で、少ない理屈で儲けの仕組みを考えようとしますよね。でも僕は、間違っている前提に立っているので、たくさんの理屈が必要になるんですよ

ネットで起こるほとんどのことは、現実社会のタブーとなっているニッチな部分に、エネルギーが流れ込むという現象だと思うんですね。右傾化もそのひとつ

メディアの使命が「批判」である時代は終わった

オープンなマーケットで、みんながコンテンツをつくれるようになるほど、コンテンツの実質的な多様性は減る

ピラミッドの上にいて、ブランドがたまると、プラットフォームに対して交渉できるようになりますよね。そういうクリエイターが現れない仕組みになっていると、プラットフォーマーに搾取されやすい構造になるんです

インターネットが多様性を破壊して、世界が完全に均質になっていくのかというと、そこはみんなが一生懸命抵抗するでしょうね。そうして、細かい世界をつくろうとするっていうのが、これから起こることだと思います。お山をどうつくるのか。それが次のネットのテーマですよ

大事なことを軽々しく言うと、人は安くなる

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『ニコニコ哲学』川上量生・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822250512

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◆目次◆

1.KADOKAWA・DWANGOはこうつくる
2.ニコニコ動画のつくり方
3.ニコニコはこう動かす
4.バカにはバカと言い、計算ずくでバカをやる
5.論理をとことん考える
6.1億年先を考える

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