2014年5月2日

『経済は世界史から学べ!』 茂木誠・著 vol.3573

【良書です。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478023646

本日の一冊は、駿台予備学校世界史科講師の茂木誠さんが、世界史から経済を学ぶという切り口で作った、斬新な一冊。

世界最初の紙幣を作った北宋の話に始まり、なぜ中央銀行が生まれたのか、なぜ政府が中央銀行を支配すると危ないのか、どうやってアメリカが世界の基軸通貨になったのか、そして最近話題のTPPまで、その本質を「ズバリ」解説しています。

現在の日本政府と日銀の関係、強者に有利な自由貿易の本質と、それを迫るアメリカ、さらに日本が戦後、国民の預金を没収した事実…。

世界の経済史を学んでいるうちに、なぜわれわれの経済がこうなったのか、これから何が起こるのか、ぼんやりながら、見えてくる気がします。

本書を読むと、かつて事実を丸暗記させられていた世界史が、じつにリアルな政治・経済の話として浮かび上がってきます。

株式会社ができた理由、保険業ができた理由、少数民族が金融を発展させた理由…。

これまでに見えなかった歴史の「真実」が見えてきて、じつに知的刺激あふれる読み物です。

GWを使って、ぜひじっくり読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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世界最初の紙幣は北宋の「交子」です。内陸の四川で発行されました。当時、中国で広く流通していたのは銅銭ですが、銅の産出が少ない四川では鉄銭を使用していました。しかし鉄銭は重く、高額の取引には向きません。そこで金融業者は商人から鉄銭を預かり、引換券として紙幣を発行したのです。北宋政府は商人からこの権利をとり上げ、交子を発行します。政府が保有する銅銭を準備金(担保)として、発行額には上限が定められました。ところが、政府というのは無駄遣いに走りがちです。戦争や公共事業、宮廷の浪費を賄うため、上限を超えて紙幣を乱発し、信用が一気に失われます。紙幣乱発による通貨価値の下落──すなわちインフレが起こるわけです

国の借金ともいえる国債を引き受けることが、中央銀行設立の動機だった

日銀の出資者は、半分は政府、半分は民間(三菱・三井・安田財閥)です。その結果、日銀総裁には大蔵官僚か、三菱財閥や三井財閥の出身者が就任しました

イギリスをはじめとする連合国は、軍事費を捻出するため戦時国債(戦債)を発行します。その多くが販売されたのもアメリカの証券市場でした。ドル建ての英仏共同国債の発行を引き受けたのは、ニューヨーク最大の金融資本であるJPモルガンです。戦中、戦後を通じて莫大な貿易代金と戦債の償還金(返済金)がアメリカに流れ込んだ結果、アメリカは世界最大の債権国となり、米ドルが国際通貨となったのです

米軍占領下の1946年2月、幣原内閣はインフレ抑制のため、旧円の流通停止と新円への切り替えを発表します。パニックを防ぐため、預金の引き出しを制限したうえで、次のような宣言をします。「旧円を2週間以内に銀行で新円と交換すること。ただし交換限度は100円までとする」この結果、100円以上の預金は没収されます。ちなみに1945年の大卒初任給が150円でしたから、多くの国民が財産を失いました。某国なら暴動が起こっているところですが、お上に従順な日本人は耐えました

グローバリズムは常に、経済的強者に恩恵をもたらします

発展途上国は保護主義をとるべき

次にアメリカが狙うは、医療と保険

預金通帳やキャッシュカードは、宗教騎士団が作った

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『経済は世界史から学べ!』茂木誠・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478023646

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◆目次◆

第1章 お金(1)円・ドル・ユーロの成り立ち
第2章 お金(2)世界経済と国際通貨
第3章 貿易 経済の自由化
第4章 金融 投資とバブル
第5章 財政 国家とお金

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