2014年5月6日

『キーパーソン・マーケティング』 山本晶・著 vol.3577

【これぞ最新版クチコミマーケティング】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492557423

本日の一冊は、外資系広告代理店、東京大学大学院助手を経て、現在、慶応義塾大学大学院経営管理研究科准教授を務める著者が、キーパーソンを使ったクチコミマーケティングの理論を語った一冊。

どんな時、人はクチコミを求めるのか、どうやってキーパーソンを見つければいいのか、人はどんな人の影響を受けるのか…。

最新の理論がズラリと並んでおり、じつに興味深い内容です。

まずわかるのは、製品のリスクが高いほどクチコミが重視される、という点。本書では、このリスクを「機能的リスク」、「社会的リスク」、「金銭的リスク」、「精神的リスク」、「身体的リスク」に分類しています。

機能リスクとは、パンフレット通りの機能かどうかわからないリスク、社会的リスクとは、買って身につけた場合、周囲の人間がどう思うか、金銭的リスクはそのままの意味、精神的リスクは買うことによるいら立ちやストレス、身体的リスクは薬・化粧品などに見られる身体へのリスクです。

また、人は購買において「メジャー感」を重視することがわかっており、そのメジャー感を高める方法は、以下の通りだそうです。

◆メジャー感を向上させる要因トップ5
1.「売上ランキング1位であること」
2.「注目ランキング1位であること」
3.「検索ランキング1位であること」
4.「クチコミランキング1位であること」
5.「顧客満足度ランキング1位であること」

そして、クチコミサイトでの人気を見た場合、人気を集めるメンバーには、ある特徴がある。

それは、「専門的知識型」と「便益強調型」なのだそうです。

このことを踏まえて、先を読み進めると、そこに書かれていたのは、こんな事実です。

<一般消費者は高度な専門知識を持つインフルエンサーのクチコミを求めているのではなく、「少し上」の人の意見を』聞きたいことが明らかになりました>

このように、クチコミに対するこれまでの思い込みを破壊し、本当に効くやり方を指南してくれるのが本書。

著者が元広告代理店ということもあり、学者が書いた本にしては、実践的な内容です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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クチコミを伝えるカテゴリーは国内海外旅行、本・雑誌・映画がトップ3でした

クチコミを求めるカテゴリーをみると、PC・周辺機器が旅行を抜いて1位、国内海外旅行が2位、化粧品が3位にランクインしています

高価格のPCや旅行に関してクチコミを求める消費者のインサイトは「めったに買わない買物で失敗したくない、損したくない」というものでしょう。過去の研究においては、製品のリスクが高いほどクチコミが重視されることが指摘されています。具体的には機能的リスク、社会的リスク、金銭的リスク、精神的リスク、身体的リスクを指します

◆キーパーソンの見つけ方 AKB48の中で誰がリーダーか見つけるには?
(1)ソシオメトリ法
メンバー全員に、AKB48内で誰にアドバイスを求めるかを聞く
(2)インフォーマント(情報通)による評価法
オピニオン・リーダーを特定できそうな人を数人選び、集団内で誰がオピニオン・リーダーであるかを聞く、という方法
(3)自己指名法
「最近AKB48のなかで誰かからXについて助言を求められましたか」、「Xについて、AKB48のほかのメンバーと比較して助言を求められるほうですか」といった質問を投げかけることによって、回答者がオピニオン・リーダーかどうかを自己申告で答えてもらう
(4)観察法
分析者が観察・記録することによって発見する方法

メジャー感を向上させる要因のトップ5は「売上ランキング1位であること」、「注目ランキング1位であること」、「検索ランキング1位であること」、「クチコミランキング1位であること」、「顧客満足度ランキング1位であること」

いくらマーケターが金銭的なインセンティブを提供しようと、消費者は自分が所属する社会集団で受け入れられないような発信はしません

人気を集めるメンバーには、専門的知識型と便益強調型の2タイプがある

同じ製品を持っている人が多いほど効用(嬉しさ、喜び)が高まる効果は「バンドワゴン効果」、逆に同じ製品を持っている人が多いほど、その効用が低下する効果は「スノッブ効果」と呼ばれ、近年再注目されています

一般消費者は高度な専門知識を持つインフルエンサーのクチコミを求めているのではなく、「少し上」の人の意見を』聞きたいことが明らかになりました

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『キーパーソン・マーケティング』山本晶・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492557423

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◆目次◆

第1部 影響力を及ぼすキーパーソン
序 章 影響力のプラットフォームが変わる
第1章 影響力を及ぼす人々
第2部 キーパーソンをビジネスに活用する
第2章 キーパーソンを動かして話題をつくる
第3章 キーパーソンを動かしてヒットをつくる
第4章 キーパーソンとコ・クリエーションを実践する
第3部 キーパーソンにまつわる理論と課題
第5章 キーパーソンと消費者行動のメカニズム
第6章 影響力があるのは、似ているふたりか、似ていないふたりか
第7章 ソーシャルメディアを活用したマーケティングの課題

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