【感動。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862761577
先日、母校の140周年記念イベントで、元国際連合事務次長の明石康氏に、「グローバル人材の条件」を伺ったところ、次のような答えが返ってきました。
「一番大切なのは、異文化に対するリスペクトでしょうね」
この、異文化に対するリスペクト。言うは易し、行うは難しですが、これが一体どういうことなのか、教えてくれるのが本日の一冊。
本書『日本人が海外で最高の仕事をする方法』は、ソニーで20年にわたり9カ国に海外赴任し、3カ国で販売会社社長、欧州本社のマネジメントも歴任した著者が、グローバルビジネスで「もっとも大切なこと」をエピソードたっぷりに伝えた一冊。
現地の社員、取引先、支援者たちと著者との心の交流に、思わず涙する、感動のエピソード集です。
ちょっとしたプレゼントでキーパーソンの心を開いたクウェートでの経験、「もう日本に帰ってくれ」と言われながらも「映画」に詳しくなることで難局を打開したインドでの経験、寒さに凍える従業員に電気ストーブをプレゼントしたルーマニアでのエピソード、ベトナムの美しさをCFにし、大成功したキャンペーン…。
いずれのエピソードにも、現地の文化をリスペクトする著者の真摯な姿勢が表れており、じつに好感が持てます。
寝る間も惜しんで映画や音楽、現地語を学び、溶け込もうとした著者に、現地の人々が心動かされる様子は、感動すら覚えました。
グローバルビジネスに携わる方の仕事術としても有用で、とくに以下の2点は参考になりました。
<現地の文化で何か一つでも気に入ったものを「極めてみる」>
<メッセージは現地に合わせた象徴・比喩など伝わりやすい形で伝える>
この2つに関して言うと、著者は、インドで映画を極め、そこからさまざまなビジネスを展開しました。また、韓国では、韓国人になじみのある焼酎「真露」の進化を題材に、変化することの大切さを訴えています。
通読すると、結局ビジネスで大切なのは、人を動かす「情熱」と、自分だけの「武器」を持つことであるとわかります。
本書を通じて、ビジネスを通じた人間交流の素晴らしさを再認識しました。みなさんにも、ぜひ一読いただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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強烈な「違い」を前にしたとき、嫌悪して顔をそむけてしまうか、それとも違いを楽しみ、おもしろがることができるか──。それが大切なのです
人は、自分に関心を持ってくれる人に対して好意を持つものです。
(中略)あなたが相手について何の関心も持てない、持とうとしないようなら、その人と良い関係を築くのは難しいでしょう
人にはさまざまな面があります。ビジネスにおいて、「人」を単なる交渉相手とか、乗り越えるべきハードルとか、単なる労働力とか、単なる役職というような、無機質なとらえ方をしてしまっていることが、ないでしょうか
日本に帰れと言われ、現地志向の姿勢が足りなかったと反省した後、マデューリ・ディクシットの美しさを思い出しました。あの代理店の社長は、ディクシットの映画を観たことがあるだろうか。そんな話をしたら、もう少し親しくなれるだろうか。「よし、インド文化の理解にもなるし、彼女の映画を全部観てみよう」
ルーマニア人の大半は、共産主義政権の時代に建てられた国営のアパートに住んでいました。家賃は安いのですが、いろいろと制約があります。そのひとつが暖房です。(中略)自分だけ会社が用意した赴任者用の高級住宅でぬくぬくと過ごし、人々のそうした状況を知らなかったことに、なんとも言えない後ろめたさと恥ずかしさを感じました。そこで、社員皆に電気ストーブを配ろうと思い立ったのです
現地社員の人たちの冷ややかな視線の裏には不安がある
韓国人にとってなじみ深い焼酎を例に「変化」の必要性を語る
外国人がその国の文化に関心をもち、探求しているということは、どこの国でも現地の人の興味と好意を呼ぶものです
会社に貢献している有能な現地の人材が、その働きや能力に見合った昇格のチャンスを得られないのだとすれば、現地社員の士気は損なわれ、ひいてはその現地組織の活力も失われてしまいます
現地の文化で何か一つでも気に入ったものを「極めてみる」
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『日本人が海外で最高の仕事をする方法』糸木公廣・著 英治出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4862761577
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◆目次◆
序章 どこの国でも相手は人
第1章 現地に飛び込む
失敗からのスタート、助けてくれたのは映画だった
第2章 「違い」を活かす
わかったと思うと裏切られ…外国人としての強みとは
第3章 逃げずに向き合う
ヨーロッパでの大仕事で大失敗。さあ、どうする?
第4章 文化を知り、人を知る
ベトナム人の心をつかんだ広告はこうして生まれた
第5章 自分を見せる
「三重苦」の国・韓国へ…コミュニケーションで会社を変える
第6章 誇りと喜びを育む
ついに熱狂する社員たち。信じてきたことは正しかった
終章 異なるものに出会う意味
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