【全米ベストセラーの口コミ研究】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319080
本日の一冊は、ペンシルベニア大学ウォートン校ジェームズ・G・キャンベル記念マーケティング准教授で、名著『アイデアのちから』のチップ・ハースの弟子でもある著者が、「伝染するクチコミ」の仕組みを明かした、注目の全米ベストセラー。
最新のクチコミ研究の成果を惜しみなく公開し、なぜ人が特定商品、サービスに関して「しゃべって」しまうのか、その秘密を紹介しています。
著者によると、<ネット上で発生しているクチコミは全体の七%にすぎ>ず、<ユーチューブの動画の五〇%は、再生回数が五〇〇回に満たない>。
われわれは FacebookやTwitter、そしてそれを広めようとしている人々のおかげで惑わされがちですが、相変わらず多くのクチコミは対面で生まれているのが現実なのです。
本書では、このクチコミが生まれる原理を、<STEPPS──クチコミを生む6つの原則>としてまとめ、それぞれ丁寧に解説しています。
◆STEPPS──クチコミを生む6つの原則
1.ソーシャル・カレンシー(Social Currency)
2.トリガー1(Triggers)
3.感情(Emotion)
4.人の目に触れる(Public)
5.実用的な価値(Practical Value)
6.物語(Stories)
解説によると、人間が話したくなるのは、話すことで自分の印象が良くなるもの。だから、人は自分しか知らない秘密を話してしまうし、希少価値や限定価値に弱い。
また、長く売れるものを創るためには、金曜日になる度に売れた曲「フライデー」のように、想起させるもの(=トリガー)がなければいけない。
本書には、これらの原則に加え、実践して大ヒットとなった商品・サービスの例が登場し、読ませてくれます。
ビー玉、ゴルフボール、熊手の柄を破壊することでミキサーのパワーをアピールしたブレンドテック、キャップの裏に雑学「本当の話」を載せて話題となったスナップル、100ドルのチーズステーキ…。
豊富な事例で学べる、クチコミ学の良質なテキストです。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ビー玉は、すべて小麦粉のようなさらさらの粉に変わっていた。ミキサーは過酷な仕打ちにも耐え、パワーを見せつけたのだ。ゴルフボールは粉々に、熊手の柄は細かい破片の山になった。ライトはユーチューブにこれらの動画を投稿し、成功を祈った。ライトの直感は当たった。動画は視聴者の度肝を抜き、熱い支持を集めた。そのパワーに圧倒された人々は、ブレンドテックのミキサーを「常軌を逸したすごさ」「究極のミキサー」などと、あらゆる言葉で評した
結局のところ、秘密にすべきことほど、人は話してしまう傾向が強いのだ。その理由は、ソーシャル・カレンシーにある。人は、自分の印象が良くなるものを他者と共有するのだ
本当の話#12は「カンガルーは後ろ向きに進めない」、#73は「人は人生のうち、平均二週間を信号待ちに費やしている」である(中略)スナップルの「本当の話」は大衆文化の一部になるほどの伝染力を持っていた。この豆知識を羅列したウェブサイトは数知れず、コメディアンはお約束のようにちゃかす
一年後、フィッシュマンは新しいウェブサイト<ルーララ>を開設した。高級デザイナー品を扱うサイトだが、二四時間~最大で数日の期間限定で販売を行う「フラッシュセール」に特化した。そしてファッション業界のサンプル品セールと同じように、招待者しかアクセスできないしくみにした。既存会員から招待されなければ、同サイトで買い物できないようにしたのだ
学校の投票所で投じられた賛成票は、その他の投票所の場合と比べて一万票以上も多かったのである。投票所が投票行動に劇的な影響をおよぼしたのだ。そして増税案は可決された
どの曜日に聴いてもひどい歌であることに変わりはないが、金曜日が来るたびに強力なトリガーの後押しを受け、大ヒットしたのである
科学関連の記事は政治やファッション、ビジネスに関する記事よりも、よく「最もメールされた」記事リストに入るのだ。どうしてなのか? それは科学関連の記事の多くが、革新的な話や新たな発見を紹介するものであり、読者にある一定の感情を引き起こさせるからだ。その感情とは畏敬である
前向きな内容の記事は、後ろ向きな内容の記事よりも盛んに共有される傾向がある
今度、ランニングマシンでのトレーニングを終えたときや、かろうじて自動車事故を起こさずに済んだとき、あるいは飛行機で乱気流に巻き込まれたときには、気をつけたほうがよい。こうした体験は生理的覚醒を引き起こすため、その直後に他人と行きすぎた情報共有をしてしまう恐れがあるのだ
人間が模倣できるのは、他人のしていることが目に見えるときだけ
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『なぜ「あれ」は流行るのか?』ジョーナ・バーガー・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
はじめに なぜ流行りは生まれるのか
1章 ソーシャル・カレンシー
2章 トリガー
3章 感情
4章 人の目に触れる
5章 実用的な価値
6章 物語
むすびに
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