2013年1月16日

『知の逆転』ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、 オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、 ジェームズ・ワトソン・著 vol.3102

【現代を代表する知性6人が語る未来とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140883952

ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソン…。

本日の一冊は、現代を代表する知性6人がオムニバス形式で、これからの国家や社会、科学について語った、じつに贅沢な新書。

トップバッターのジャレド・ダイアモンドは、『文明崩壊』のなかで挙げた「文明が崩壊する際の5つの要素」に触れながら、これから世界が向かう方向性を論じています。

◆文明が崩壊する際の5つの要素
1.環境に対する取り返しのつかない人為的な影響
2.気候の変化
3.敵対する近隣諸国との対立
4.友好国からの疎遠
5.環境問題に対する誤った対処

氏によると、<消費量の格差がある限り、世界は不安定なまま>であり、<安定した世界が生まれるためには、生活水準がほぼ均一に向かう必要がある>。

これは、今後の中国や発展途上国の未来を考える上で、じつに参考になります。

続くノーム・チョムスキーは自国産業保護の有効性を謳い、マービン・ミンスキーは、「集合知能」ではない「個人知能」の重要性を語り、ジェームズ・ワトソンは、これから生物科学分野で最重要となる研究テーマを挙げています。

◆将来、生物科学の分野における研究の最も重要なテーマ
1.発生生物学(特に脳の発達とその機能について解明すること)
2.老化の問題
3.メタボリズムの問題

読者が研究者であれビジネスマンであれ、今後の世界を考える上でヒントとなる一冊です。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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リーダーが大衆から隔離されると国が滅びる

消費量の格差がある限り、世界は不安定なままです。ですから安定した世界が生まれるためには、生活水準がほぼ均一に向かう必要がある

歴史上、自己保存の道を選ばずに自滅した社会の例は、枚挙にいとまがありません

<ノーム・チョムスキー>

アメリカが一九世紀に発展を遂げたのは、より優れた英国製品の流入を制御すべく、世界一高い保護関税をかけていたからです

歴史上、侵略者がなんらかの人道的な活動に従事していなかったためしはほとんどありません

インターネットはカルトを生む土壌になる

<オリバー・サックス>

「個人物語」というものが、それぞれの個のアイデンティティ確立のためにいかに重要か

人間の神経系は、音楽のビートに思わず反応してしまいます

<マービン・ミンスキー>

科学の歴史を振り返ってみると、叡智というものは、アイザック・ニュートンやジョン・フォン・ノイマン、アラン・チューリング、アルバート・アインシュタインなどの、「個人知能」によってもたらされているのがわかります。わずか一〇〇人の個人が、知的革命によって西欧の科学というものを形作ってきたわけで、大衆の「集合知能」のほうは、逆に科学を何百年も停滞させてきたのです

本来「思考」と「感情」を分けて考えるべきではないと思います。「思考」というのは非常に複雑で、われわれは実に多様な物事の理解の仕方をする。一方、わずか一〇~二〇くらいの別のやり方でも物事を理解していて、これらを「感情」と呼んでいるわけです

<トム・レイトン>

将来全ては携帯型機器に移行する

教育はオンライン化を避けられない

<ジェームズ・ワトソン>

◆将来、生物科学の分野における研究の最も重要なテーマ
1.発生生物学(特に脳の発達とその機能について解明すること)
2.老化の問題
3.メタボリズムの問題

教育の基本は「事実に基づいて考える」ということ

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『知の逆転』ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソン・著 吉成真由美・編 NHK出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140883952

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◆目次◆

第一章 文明の崩壊(ジャレド・ダイアモンド)
第二章 帝国主義の終わり(ノーム・チョムスキー)
第三章 柔らかな脳(オリバー・サックス)
第四章 なぜ福島にロボットを送れなかったか(マービン・ミンスキー)
第五章 サイバー戦線異状あり(トム・レイトン)
第六章 人間はロジックより感情に支配される(ジェームズ・ワトソン)

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