【生理学でわかった?稼げる人稼げない人】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415209351X
どんなに数学ができても、どんなに金融知識があっても、それだけで稼げるわけではない。
これは、投資の世界の常識だと思いますが、では、投資で稼ぐ人は、一体、他の人と何が違うのでしょうか?
本日の一冊は、投資の世界において長年謎だったこの疑問に、何と「生理学」の立場から切り込んだ一冊。
著者は、かつてドイツ銀行でトレーダーを務め、現在はケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネススクールのシニア・リサーチ・フェロー、2012年度には、「フォーリン・ポリシー」誌が選ぶ「世界のトップ思想家100人」に選出された人物。
本書には、われわれの心と身体がどうつながっているのか、投資をする時、あるいはリスクを冒すとき、体内でどんな反応が起こるのか、そのメカニズムを明かした一冊。
既に多くの脳科学本で有名になった「ドーパミン」の働きをはじめ、テストステロンが勝負に与える影響と弊害、リスクを取る人と取らない人の違いまで、すべて生理学から解き明かしています。
これによると、稼ぐトレーダーが明らかに違うのは、テストステロンの量。
これが増えることによって、人はリスクを冒すようになり、結果、大勝ちするのです。(ただし、これは結果が裏目に出れば、大負けすることにもつながります)
このテストステロンを増やすには、競争やライバルなど、いくつか条件があり、それが整えば誰でもリスクを取るようになるはず。
一方、テストステロンの量が少ない女性にアドバイスしてもらって、リスクをコントロールすることも大事かと思われます。
古代ギリシャは競争社会でしたが、ひょっとしたら、彼らは競争がもたらす効果を知っていたのかもしれません。
いずれにしろ、興味深い内容で、本気で能力開発したい人は、ぜひ読んでおくといいでしょう。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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金融市場にあるすべての情報を人間の脳に写し取ろうとしたら、すぐさま極度に疲労し、崩れ落ちてしまうだろう。たぶん、航空管制官や、戦時中の軍人などの例外を除き、即時に取捨選択して処理すべき情報の量が金融業界と同程度ある職業はほとんどない。でも、有能なトレーダーや投資家にはそれができる
側坐核へと放出されるドーパミンの量は、報酬の絶対的な量ではなく、報酬をどのくらい期待していなかったかで変わってくるということだ。ここから、思いがけない報酬が得られるような環境を、私たちは喜び、欲するのではないかと考えられる
豊かな環境は、薬物の代わりになる魅力があるので、コカイン依存症になった動物を豊かな環境に戻すと、実際に依存症の習慣がなくなることがわかっている
競争を前にしてテストステロンが急増する
この他にテストステロンの濃度に影響を及ぼすものとして、ライバル関係がある
私はトレーダーたちのテストステロンを採取し、二週間にわたって損益金額を記録した。すると、利益が平均を上回った日には、テストステロンの濃度が著しく向上していることがわかった
テストステロンでシャープ・レシオが向上することはなかったが、トレーダーが冒すリスクの量は増えた
テストステロン濃度が上昇し続けると、どこかの時点で、自信を持ってリスクを取ることが、自信過剰と向こう見ずな行動へと変わってしまうのだ
テストステロンの濃度が高いと、さらなる犠牲がつきまとう。テストステロン濃度が上昇することで身体が大きくなったり、装飾されたりすると、エネルギーをたくさん食うことになり、ひいてはその動物の身体が疲労する。去勢された雄は、三〇パーセントも長く生きることができる。したがってテストステロン濃度の高い雄は、力と勝利を見せつけることに対して、高い死亡率という大きな代償を支払うことになる
つねに冷たい天候のもとにいたり、冷たい水のなかを泳いでいたりする人は、効果的な訓練方法を実践していることになり、長期的なストレスに直面したときに、情動面で安定性が増しているのかもしれない。一部の科学者は、急激な体温調節の必要性を組み込んだ運動をするだけで、ストレスと回復の好ましいパターンを身につけることができるのではないかと推測している
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『トレーダーの生理学』ジョン・コーツ・著 早川書房
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◆目次◆
第1部 金融市場における心と身体
イントロダクション
1章 バブル市場の生物学
2章 身体で考える
第2部 勘を働かせる
3章 思考のスピード
4章 金融市場で働く勘
第3部 市場の波
5章 探索のスリル
6章 熱狂を煽るもの
7章 ウォール街でのストレス反応
第4部 回復する力
8章 精神を鍛える
9章 化学物質と金融市場
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