【「視覚」がわかればチャンスが見える】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480095039
本日の一冊は、1986年にPARCO出版より刊行され、ロングセラーとなっていた視覚文化論の古典を、文庫化した一冊。
情報過多になると、人間は読むことを諦め、インプットを視覚に頼るようになるらしいですが、最近、ビジネスの世界でも、「見る」ことが大事になってきている気がします。
認知心理学をふまえて作られたアップルの商品群、ユーザビリティで勝利を収めるウェブサイトの数々…。
これからのビジネスマンは、もはや「視覚オンチ」では務まらないようです。
個人的にもビジュアルに弱いので、ちょっと勉強しようと思っていたところ、うってつけの入門書が見つかったので、本日はこの『イメージ 視覚とメディア』を紹介します。
芸術作品から広告まで、大量に写真を使い、ものを見る行為の本質を論じており、じつに参考になりました。
著者によると、<イメージは最初、何か不在のものを呼びだそうとする目的からつくられた。そしてしだいにイメージが、それがあらわすものを永続させうることが明らかになり、いつのまにかある物や人がどのように見えたかを、またその対象が他の人の眼にどのように映っていたのかを、示すようになった>。
この変化が理解できると、イメージが現在のわれわれに、どんな影響を与えているのかがわかってきます。
ビジネスマンの視点からわかりやすいのは、広告イメージに関する以下の論考でしょう。
<広告は、変身して人もうらやむほどになった人々を登場させることで我々自身にもその変身を迫る。他人をうらやましがらせる状態、それが魅力をつくっているものである。広告とは、つまり魅力をつくりだすプロセスなのであ>
他人の眼差しを意識させることで、魅力を作り出し、売るという手法。これが広告の本質であり、そのためにさまざまなイメージの技法が用いられているのです。
スマートフォンの登場で、携帯電話は、聞くものから見るものへと大きく変容しました。
視覚優位の今後のビジネスで勝利を収めるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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見ることは言葉よりも先にくる。子供はしゃべれるようになる前に見、そして認識する
我々のものの見方は、我々が何を知っていて、何を信じているかに深く影響される
見ることは選択である。この選択行為によって、我々の見るものは我々の理解の範囲内に置かれる
イメージは最初、何か不在のものを呼びだそうとする目的からつくられた。そしてしだいにイメージが、それがあらわすものを永続させうることが明らかになり、いつのまにかある物や人がどのように見えたかを、またその対象が他の人の眼にどのように映っていたのかを、示すようになった
歴史は常に現在と過去の関係からなるのだ。結局は現在に対する恐れが過去の神秘化につながっていく
絵画の複製可能な時代では、絵の意味はもはや絵とともにない。それらの意味は移動が可能になった。つまり絵の意味は情報の一種となり、すべての情報と同様に、利用されるか無視されるかのどちらかであり、情報そのものとは特別な威厳を持たない
自らのヴィジョンを伝統に縛られながら、徒弟や学生として少年の時から絵の勉強をしてきた画家が例外的な作品を生みだすためには、まず彼のヴィジョンそのものがいったいどういうものなのかを認識する必要があり、それを伝統の慣習から引き離さねばならなかった
広告イメージは決して現在については語らない。過去に言及することもあるが、いつもは未来について語っている
広告は、変身して人もうらやむほどになった人々を登場させることで我々自身にもその変身を迫る。他人をうらやましがらせる状態、それが魅力をつくっているものである。広告とは、つまり魅力をつくりだすプロセスなのである
近代のテクノロジーが人間の肉体の仕事をしだいに排除し、その結果、人間を“つくる人間”から“見る人間”“感覚する人間”へと移行させていった
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『イメージ 視覚とメディア』ジョン・バージャー・著 筑摩書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480095039
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◆目次◆
1.イメージの変容
2.社会空間になったイメージ
3.「見ること」と「見られること」
4.見られる女たち 取り囲む女たち
5.所有するタブロー
6.「見ること」のなかの「所有すること」
7.広告の宇宙
<見ることのトポロジー> 伊藤俊治
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