【スタンフォード大学dスクールの空間論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484121263
本日の一冊は、スタンフォード大学dスクール(ハッソ・プラットナー・デザイン研究所)の「環境コラボティブ」共同ディレクターの2人が、創造性を最大化する「場」の作り方を指南した一冊。
序文を、IDEO創設者であり、dスクール共同創設者のデイヴィッド・ケリーが執筆、ビジュアルもふんだんに使用しており、まさに夢の「ワークスペース構築マニュアル」となっています。(IDEOは、アップル、P&G、プラダ、ペプシ、マイクロソフトなどをクライアントに持つ全米有数のデザイン会社)
人間がどんな環境で創造性を発揮するか、という考察に加え、具体的な空間の提案、さらには有用なツールの紹介まで盛り込んでおり、これからオフィス作り、レイアウト作りを考える経営者にとっては、有用な内容です。
元トーキング・ヘッズのリーダー、デヴィッド・バーンが言うように、<どんな音楽が生まれるかは、だいたいコンテクストで決まる>わけですから、やはりワークスペースは重要です。
ではさっそく、本書のなかからいくつかスペース作りのヒントを抜き出してみましょう。
<何かについてじっくり考えたりアイデアを交換するときは、キャンプファイヤーの形になろう>
<手すりやバーカウンターを設置すると、見学者と参加者を分ける明確な境界線になる一方で、必要に応じて見学者が会話に加わることもできる>
<安価な材料を使えば活発で型破りな創作活動ができる。材料が「気軽に使っていいよ」というメッセージを発しているから>
<コーナーがあると、オープンスペースでも「自分の場所」と思える>
序文でIDEO創設者のデイヴィッド・ケリーが指摘しているように、<ほとんどの会社の空間は、「工場労働モデル」に基づいて設計されている>。
知的生産で力を発揮するなら、ここにメスを入れなければなりません。
自社の創造性を高めるために、ぜひ一読したい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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どんな音楽が生まれるかは、だいたいコンテクストで決まる(元トーキング・ヘッズのリーダー、デヴィッド・バーン)
何かについてじっくり考えたりアイデアを交換するときは、キャンプファイヤーの形になろう
特定の態度を促すための第一歩は、どんな態度を強化したいのか定義することだ
手すりやバーカウンターを設置すると、見学者と参加者を分ける明確な境界線になる一方で、必要に応じて見学者が会話に加わることもできる
個室やネームプレートなど、職場で自分の存在を示すものを手放すと、人間はちょっと弱気になるものだ
人間はそこで過ごすのが楽しいという以上に、自分のスペースを見せびらかし、家族や友達と共有したいと思うものだ
クルドサック(袋小路)としてうまくいくのは、人通りのある場所もしくはその近くのオープンスペースに魅力的なモノがあり、それを意識せずに使える(そして離脱できる)場合だ
安価な材料を使えば活発で型破りな創作活動ができる。材料が「気軽に使っていいよ」というメッセージを発しているからだ
ワークスペースが陽気で社交的であるほど、開放的で明るい「陽」のなかに、受け身で薄暗い「陰」のスポットが必要になる。こうした秘密の隠れ家を用意している会社や組織はほとんどない
コーナーがあると、オープンスペースでも「自分の場所」と思える
誰でも歓迎──イスは人数より多めに用意する
どんなにすばらしいスペースをつくっても、コラボレーションを離れて一息つく場所がなければ、人は疲れてそこから去っていく
ちょっとくらいの傷や割れ目には耐えられる作業台を使おう。これは試行錯誤や実験の途中で多少は汚しても構わないというサインになる
あなたの目標は、そのコミュニティで重要だと考えられている振る舞いを誘発する空間をつくることだ
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『MAKE SPACE メイク・スペース』スコット・ドーリー、スコット・ウィットフト・著 阪急コミュニケーションズ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484121263
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◆目次◆
※多すぎるので省略します
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