【マッキンゼーに入社して高給取りになるために知っておきたいこと】
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最近、ビジネス書の世界では、マッキンゼーの大売り出しが展開されていますが、その本質は、マッキンゼーというコンサルティングファームが、そもそも「謎めいた」存在だから。
「秘密」というのは、PR資産のなかでもとりわけ重要なものですが、ここまでたくさん本が出されてもなお、手に取ってしまうのは、やはり同社の「秘密」のなせるワザでしょう。
本日の一冊は、マッキンゼーの採用マネジャーとして12年務めた著者が、門外不出の同社の「採用基準」について書いた、じつに貴重な一冊。
とはいえ、「はじめに」で著者も書いているように、著者には今も守秘義務があるため、あまり具体的かつきわどい話は書かれていません。
その分、歯切れの悪さは感じるわけですが、それでも読んでいて、得られるところはありました。
特に、マッキンゼーに入社したい就活生・転職組には有用な情報が載っていると思います。
まず、よく言われる採用試験について。
外資系コンサルティングファームの面接では、「マンホールのふたはなぜ丸い?」だの、「日本に電柱は全部で何本ある?」だのといったことを聞かれ、フェルミ推定で答える、などという噂がありますが、じつは、ここで本当に見られているのは、「その候補者がどれほど考えることが好きか」「どんなタイプの思考プロセスをもつ人なのか」だそうです。
だから、「フレームワーク」を使ってサクサクとケース問題に答えを出してしまう人よりは、その場で本気で考える人の方が評価が高い。
さらに興味深かったのは、マッキンゼーでは、どうせ入社直後に自信を粉々に打ち砕かれるから、面接時には自信過剰なぐらいの人の方が望ましいという話。
さすが当事者が書いているだけに、面接や採用に関する「誤解」を、とことんまで払拭してくれています。
最近は、京都大学からの採用が厳しいなど、採用担当の本音が聞けるのも、本書の魅力だと思います。
ただ、本書で書かれているのはあくまでマッキンゼーの採用基準であり、汎用性が低いのは否めません。
外資系コンサルティングファームを目指す方、あるいはマッキンゼーの教育システムに興味のある方は、読んでおくと参考になると思います。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「頭の中から、解法という知識を取り出すこと」と「考えること」がまったく異なる行為であることを、コンサルタント、すなわち面接担当者は日々、徹底的にたたき込まれています。このため、候補者が目の前で「頭の中に保存してある解法を探す」プロセスに入った瞬間に、「この人は、考えるより知識に頼る人だ」と判断してしまうのです
構築型の能力とは、「独自性があり、実現した時のインパクトが極めて大きな仮説を立てる能力」(仮説構築力)であり、「ゼロから、新しい提案の全体像を描く構想力や設計力」です。私は日本人にこういった能力をもつ人が少ないと言っているわけではありません。日本ではこういった能力が、「頭がいい」ことをイメージさせる要素として認識されていないと言っているのです
マッキンゼーでは、バランスが崩れていてもよいので、何かの点において突出して高い能力をもっている人が高く評価されます。ある一点において卓越したレベルにある人を「スパイク型人材」と称し、採用時も入社時も「彼・彼女のスパイクは何か」という視点で人材を評価しているのです
◆マッキンゼーの採用基準
1.リーダーシップがあること
2.地頭がいいこと
3.英語ができること
近年は特に京都大学からの採用が難しいと感じます。同等の基礎学力をもつと思われる東京の国立大学、私立大学と比べて、関西でのトップ大学である京都大学に、採用したくなる学生が
少ないのです。この理由も英語とリーダーシップのふたつです
成果主義を原則とする環境でなければ、リーダーシップは必要とされません
リーダーとは和を尊ぶ人ではなく、成果を出してくれる人だ
会議で発言ゼロの人はバリューゼロ
「舞台をつくり上げ、成功させる」ことについて主導し、責任をとるべきは監督、すなわち自分である、ということです。だから「上司をどう使うか考えるのも、あなたの仕事だ」となる
わけです
日本に不足しているのは「リーダーシップ・キャパシティ」
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『採用基準』伊賀泰代・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
序章 マッキンゼーの採用マネジャーとして
第1章 誤解される採用基準
第2章 採用したいのは将来のリーダー
第3章 さまざまな概念と混同されるリーダーシップ
第4章 リーダーがなすべき四つのタスク
第5章 マッキンゼー流リーダーシップの学び方
第6章 リーダー不足に関する認識不足
第7章 すべての人に求められるリーダーシップ
終章 リーダーシップで人生のコントロールを握る
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