【外資の真実──就職・転職から評価まで】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106104857
本日の一冊は、東大、NHK、コロンビア大学MBAを経て、外資系企業(BCG、外資系テレビ局)に勤めた経験を持つ著者が、外資の実態と、そこで生きるための作法を紹介した一冊。
土井も元外資系企業なので、楽しく読ませていただきました。
冒頭は、昨今の外資系人気の状況を、ハーバードビジネススクール卒業生のデータ、東大生のコメントを交えながら紹介しており、多くの人が外資系企業に興味を持っていることをうかがわせる内容です。
では、その実態はどうなのか。
本書では、著者が人脈を駆使してさまざまな外資系企業OB、OGに取材し、データやぶっちゃけ話を紹介しています。
ユニークなところから紹介すると、歯並び、肥満、薄毛がどう採用や評価に影響するか? という話。
どうやら外資系、とくにアメリカでは「歯並びが悪い人は自己管理ができない人、親の愛を受けないで育った人」という判断をされるらしく、歯列矯正は必須のよう。
肥満に関しては、「太っている人は統計上、病気になりがち」とのことで、医療費の高いアメリカでは敬遠されるそうです。
そして最後の薄毛ですが、意外なことに、これはむしろ高評価につながることもあるのだとか。
「USAトゥデイ(電子版)」が調査したところによると、<「ハゲ」または「ハゲかかっている」CEOを対象に、「どのくらいハゲを気にしているか」>を調査したところ、こんなアンケート結果が返ってきたそうです。
「ハゲは、CEOとして頭をフル回転させている象徴」
「親しみやすくていいだろう?」
「パーソナルブランディングにつながり、かえって長所にもなる」
ほかにも、英文履歴書はフォーマットが大事(フォントは10~12ポイントが望ましい)という話や、<職歴はブレットポイント(・)で、箇条書きにする>などといった就職・転職に関するノウハウ、「秘書を大事にする」「会社の悪口は言わない」「メールは全部会社に見られていると思って書く」などの処世術がまとめられており、読み応えがあります。
実利的なノウハウから、給料・結婚事情などの下世話な話まで、じつにバランスよく書かれており、楽しく読ませていただきました。
外資経験者なら「あるある」と楽しみながら、未経験者は驚きを持って読める内容だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ハーバードビジネススクールの公式ウェブサイトによれば、卒業生の就職先累計人数ランキングの一位はマッキンゼー・アンド・カンパニー、二位がゴールドマン・サックス、三位はボストンコンサルティンググループ、四位ベイン・アンド・カンパニー、五位にモルガン・スタンレーと続く
外資系企業は人を育てる場所ではなく、ある程度育った人が「経験という貯金」を持って働く場所
外資系企業の日本法人の求人に特化すると、最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)、それに準じる役員クラスの求人は、世界五大ファームと言われるヘッドハンティング会社の日本支社に集中している。五大ファームとは、コーン・フェリー・インターナショナル、ハイドリック・アンド・ストラグルズ、スペンサースチュアート、ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ、そして、エゴンゼンダーインターナショナル
欧米、特にアメリカはフォーマット文化。右揃え・左揃え、フォントの大きさ・種類、大文字・小文字など、フォーマットが整っていて、初めて中身を読んでもらえる。フォントは、十から十二ポイントが望ましい
職歴はブレットポイント(・)で、箇条書きにする。具体的な数字を入れて、実績を簡潔に書くのが望ましい
ハリウッドのプロデューサーが最初にチェックするのは、歯並びだ。書類選考の写真を見て、歯並びが悪い順から落ちていく
外資系企業と日本企業の採用で最も違うのが、誰が採用する権利を持っているのか、という点だ。日本企業では「人事部」が一括して採用するのが一般的だが、外資系企業では「上司になる人」が採用する
外資系企業の日本法人の採用は、実は昇進を想定していない専門職採用が多い
メールは全部会社に見られていると思って書く
外資系企業では、噂話まではいいけれど、会社や上司の悪口を言ってはいけないというルールがある
外資系企業の日本支社長の年収の幅は、三千万円から二億円ぐらい。平均して四千万円から五千万円が相場ではないかという(複数のヘッドハンターの話)
体が弱い人は、残念ながら外資系には向かない。「弱肉強食」の外資系企業に、弱者を思いやる余裕はない
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『外資系の流儀』佐藤智恵・著 新潮社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106104857
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◆目次◆
I 扉はどこにあるのか
II こういう人が選ばれる
III 企業カルチャーに染まれ
IV 生存するための戦術
V トップダウンのマネジメント
VI エグゼクティブへの第一歩
VII 成長なき者は辞めよ
VIII 成功のカギは「心技体」
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