2012年10月14日

『グローバル思考の英会話』ウィリアム・A・ヴァンス・著 Vol.3008

【これぞグローバルエリートの表現力】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887245335

ビジネス書、実用書を読んでいると、「こんな本が欲しかった!」と叫びたくなる一冊があるものですが、この『グローバル思考の英会話』は、まさにそんな一冊。

著者は、このBBMでも何度か取り上げた、イェール大学ビジネススクール・コミュニケーションセンターの創設者、ウィリアム・A・ヴァンス氏です。

氏はイェール大学エグゼクティブMBAコースや次世代リーダー育成のためのワールドフォロープログラムで教壇に立つほか、フォーチュン500企業を含む複数の企業、研究機関、国際機関などにビジネスコミュニケーションを教えるプロフェッショナルですが、本書には、そのエッセンスが、贅沢に盛り込まれています。

まず、スピーチの際、ノンネイティブが聴衆の集中力をキープするために前段で行う「利益の陳述」ですが、これは“WIFM”という略語で説明されています。

What
Is In It(your talk)
For
Me?

つまり、スピーチを聴くことが何のメリットにつながるか明示できれば、人はあなたの話を聴いてくれる、ということです。

著者の言葉を借りるなら、<「利益の陳述」が相手のスウィートスポットに当たれば英語のハンデをより楽に乗り越えられる>ということで、ノンネイティブのわれわれには、心強い話です。

本書には、この「利益の陳述」の英語例が、バッチリ載っています。

続いて本書が提供してくれるのは、話をする前のロードマップの示し方。ご丁寧に、英語プレゼンのテンプレートまで用意してくれています。

触りだけ見ると、こんな感じです。

My talk is divided into three parts. First we examine (Message 1 Title), where we will see that(message 1 summery).(私の話は3つの部分から成ります。最初に[メッセージ1のタイトル]を吟味し、[メッセージ1の要約]がお分かりいただけるでしょう)

そして本書で最も注目したいのは、第2章で示される「ピンポイントする単語」。

ビジネスにおいてあいまいさはNG。そして今日の企業環境が急速な変化にさらされていることを考えれば、ビジネスパーソンには当然、変化・数値を表す「ピンポイントな表現」が求められます。

そのために本書が提示するのは、グラフや数値、状況などの変化を表す「ピンポイントする動詞」、そして変化の度合いを示す「ピンポイントする形容詞」です。

急激な増加を示す“soar”や“surge”“skyrocket”、反対に急激な減少を示す“plunge”“plummet”“tumble”。

これらがグラフと併せて説明されており、どんな変化の時にどの語を用いるのが良いか、視覚的にわかるよう工夫されています(一部、グラフで説明されていない語もあり、そこは残念)。

さらに、変化の度合いを3段階で説明できれば、情報は正確性と同時に信頼性も増す、ということで、こんな形容詞の例が載っています。

例)sluggish  gradual  rapid
遅い←────────────→速い

例文)We are seeing a sluggish rise in home prices.(住宅価格に緩慢な上昇が見られる)

この「ピンポイントする動詞」と「ピンポイントする形容詞」こそ、凡庸な英語とデキるビジネスパーソンの英語の違いと言っていいでしょう。

本書にはほかにも、相手の言ったことを確認するための「セイバック技法」や優れた質問をするための「IQR戦術(=I(Issue) Q(Question) R(Resoltion) )」など、使えるメソッドがすべて例文入りで示されています。

タイトルの『グローバル思考の英会話』は、ダテじゃない。

ワンランク上のビジネス英語をマスターするために、ぜひ押さえておきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「利益の陳述」を冒頭で使うと、聞き手の関心のエネルギーは最後まで流れる

◆「利益の陳述」の例
I’ll be suggesting an approach that will help us to…
(…に効果のあるアプローチを提案しようと思います)
…reduce our travel expenses.
(旅費を削減する)
…finish the project more quickly.
(プロジェクトをもっと早く終わらせる)
…use fewer staff on projects.
(より少ないスタッフでプロジェクトを行う)

“skyrocket”は“soar”や“surge”よりも大きな上昇に対して用いますし、“tumble”は“plunge”や“plummet”よりも小さな不規則な減少に対して用います

変化の度合いを3段階で説明できれば、あなたの情報は、正確性と同時に信頼性も増す
例)sluggish  gradual  rapid
遅い←────────────→速い

例文)We are seeing a sluggish rise in home prices.(住宅価格に緩慢な上昇が見られる)

◆直接的な因果関係を表す「ピンポイントする動詞」
caused
resulted in
led to
brought about
produced

◆伝達を確認する「セイバック技法」の3ステップ
STEP1.合図する
例)I see. So let me put it this way.
(分かりました。ではこういうことでしょうか)
STEP2.要約する
例)You mentioned that…
STEP3.確認する
Did I get your key concerns?
(あなたの重要な事柄は押さえておりますでしょうか)

優れた質問をするための3ステップは、I(Issue) Q(Question) R(Resoltion)である

“I”ばかりを主語として選ぶと、ネガティブな印象を与えることがある

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『グローバル思考の英会話』ウィリアム・A・ヴァンス・著 DHC

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887245335
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◆目次◆

第1章 これから話すことが100倍よく理解される技術
第2章 優れたビジネス英会話は、ピンポイントする単語から生まれる
第3章 スピーキング上達の基本は、スタイルだ
第4章 感謝される最高の聞き手になろう
第5章 英語の選び方であなたとあなたの会話は成功へと導かれる

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