2012年10月8日

『かつての超大国アメリカ』ル・マンデルバウム・著 Vol.3002

【『ワーク・シフト』に次ぐ働き方のヒント】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532168457

『かつての超大国アメリカ』。

こんなタイトルを見れば、誰だって「アメリカの窮状を書いた本にお金など払いたくない」と思うことでしょう。

では、この本が今話題の『ワーク・シフト』同様、みなさんの雇用や働き方の未来を示唆する本だったらどうでしょうか?

※参考:『ワーク・シフト』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833420163

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『フラット化する世界』の著者トーマス・フリードマンと、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院教授のマイケル・マンデルバウムによる共著。

※参考:『フラット化する世界』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532316332

中流階層の消滅、借金漬けの財政、国民の危機感・競争意識の欠如など、ゆるやかに衰退する超大国の現状を、ピュリツァー賞3度受賞の著者が書いたもので、なぜアメリカがダメになったのか、その本質と構造的変化をまとめています。

『ワーク・シフト』のなかでリンダ・グラットンは、<仕事のやり方に革命的変化が起きるとき、その中核には必ずエネルギーの変化がある>と述べましたが、本書でも、エネルギー問題、IT、グローバリゼーションなどに紙数が割かれています。

これから有望な産業は何なのか、そこで活躍できる人材の条件は何か、今後、どんな教育が必要とされるのか。

ブルーカラー、ホワイトカラーという区分が消滅し、クリエイターと仕える人(サーバー)に変わるという話、「ワグナーの3つのC」の話(クリティカル・シンキング、口頭と文章での効果的なコミュニケーション、コラボレーション)などは、じつに参考になりました。

<政府のサービスが終わるところと、消費者がはじめるところのあいだにギャップがある>など、新しいビジネスの創出という点でも、ヒントが多い一冊です。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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工学、教育、科学、テクノロジーが、やらなければならない事柄の中心であることはたしかだ。つまるところ、これは知識の時代なのだ

“新アメリカ人”すべてに電力を供給するために、豊富で安くてクリーンで信頼できるエネルギー源を見つけないと、アル・ゴアが予想したよりもずっと早く、この惑星が燃えあがり、息苦しくなり、熱くなり、煙に巻かれてしまう危険を冒すことになる

グローバリゼーション、IT革命、抑えられない財政赤字と負債、エネルギー需要の急増と気候変動はすべて、徐々に進む変化だ。これらの難題のもっとも厄介な特徴は、危機的な
段階になるまで察知が難しいことだ

◆アメリカ繁栄の五本の柱
1.国民向けの公共教育の充実
2.インフラ
3.移民への門戸開放
4.基礎研究・開発への政府の支援
5.民間経済活動への必要な規制の実行

規制や監督機関は、信頼という重要な基盤も提供し、それがイノベーションやリスクテーキングを育む

シンハ兄弟は名案を思いついた。インドの町や村には、飲み物やタバコやお菓子や食料品を売る家族経営の小規模な小売店がある。それを仮想銀行にしたらどうか、と考えたのだ

アブヒシェクによれば、ビジネスの核をなしている発想は、「最後の一キロメートルを縮めることだ──政府のサービスが終わるところと、消費者がはじめるところのあいだにギャップがある」。何百万人もの貧しいインド人のためにその一キロメートルの差を縮めることが、巨大なビジネスになる

ブルーカラー、ホワイトカラーという区分は捨てよう。私たちの経済には二種類の労働者しかいない。クリエイターと仕える人(サーバー)だ

“トップダウンで発生するイノベーションは、整然としているが愚かしい。ボトムアップで発生するイノベーションは、混沌としているが賢い”(カールソンの法則)

◆ワグナーの3つのC
・批判的思考(クリティカル・シンキング)
・口頭と文章での効果的なコミュニケーション
・共同作業

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『かつての超大国アメリカ』ル・マンデルバウム・著 日本経済新聞出版社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532168457
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◆目次◆

第1部 診断
第1章 異変に気づいたら、ご一報を
第2章 自分たちの問題から目をそむける
第3章 自分たちの歴史を顧みない
第2部 教育という難題
第4章 戻らない雇用
第5章 応援求む
第6章 宿題×2=アメリカン・ドリーム
第7章 平均は終わった
第3部 数学と物理学に対する戦争
第8章 これはわれわれが当然受け取るべきものだ
第9章 数学(と未来)との戦争
第10章 物理学やその他のすばらしいこととの戦争
第4部 失政
第11章 魔の二歳児
第12章 「なにがなんでも反対」
第5部 アメリカ再発見
第14章 俗言に惑わされない人々
第15章 ショック療法
第16章 アメリカ再発見

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