【海外投資、海外移住を考えるための究極マニュアル】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775991183
本日の一冊は、日本で初めてPT(Permanent Traveler=終身旅行者)の概念を打ち出し、話題となった著者が、世界の最新動向を踏まえ、海外投資、海外移住の情報をまとめた一冊。
おさらいをしておくと、PTとは、用途別に国を使い分け、さまざまなリスクを分散すると同時に、節税も可能にする生き方。
本書では、そのPTを実践するために、さまざまな国の税制と居住権・永住権獲得の条件、不動産の相場、日本人学校の有無、さらには出国の各種手続きについて、フォーマットも含めてまとめています。
紹介されている国は、アンドラ公国、英領アンギラ、バハマ、バルバドス、ベリーズ、英領バミューダ諸島、ボリビア多民族国、英領バージン諸島、ケイマン諸島、クック諸島、キプロスなど、マニアックな場所ばかり。
ほかにも、お金持ちの定番として知られるモナコ、シンガポール、香港などについても書かれており、これらすべての国に関して、国の概要と地図、税制、居住権の取得方法、不動産情報が掲載されています。
一例として、本書で紹介されているモナコの例を挙げてみましょう。
内容を箇条書きでまとめると、
【税制】
・モナコには、所得税、譲渡税はない
・相続税は存在するが、モナコにある資産に対してのみ課税(税率は0~16%)親、配偶者、子供に対する相続は税金がかからない
・法人税は原則33%だが、初年は税率が低く、またモナコでの売上が75%以上の会社は減免になるなどの優遇策がある
【居住の条件】
・無犯罪であること
・純資産で50万ドル程度であることを証明
・地元の有力コンサル会社を使えば、30万ユーロの資金を定期預金に預け、居住権を得ることが可能
【不動産】
・モナコの不動産は欧州の中でも最も価格が高い
・スタジオタイプのアパートでも100万ユーロから
こんな調子で、著者が注目するすべての国について書かれているので、資料価値は抜群です。
なかでも、ドミニカ国とセントクリストファー・ネヴィスの情報は、本気で海外移住を考える人には有用でしょう。
著者によると、2012年現在、世界で政府公認の短期市民権取得プログラムを実施しているのは、この2カ国のみ。
本書には、これら2カ国の市民権獲得プログラムの詳細も書かれており、まさに海外移住の決定版と言っていいでしょう。
仮に海外移住や投資、資産保全を考えていないとしても、さまざまな国の税制や通貨、居住の条件を知ることは良い勉強になります。
これから海外投資の中心となる、新興国やフロンティア国の経済の見通しが得られるのも、メリットでしょう。
本書の値段は2800円ですが、調べる手間を考えたら、28000円払っても惜しくないほど。
海外投資、海外移住を考える人は、ぜひ買って、じっくり検討してみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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何かが起きたときに取れる行動は、一つは「危険から逃げること」、次に「分散すること」の2点につきます
一番好ましくないことは、居住、事業、財産をすべて一カ所にまとめてしまうことです
持ち運びと保管のことを考えると、金はほんの一部であれば有効ですが、大量に持つには適切な資産ではありません
サブプライムに関連して2007年に600%以上の成績を上げたジョン・ポールソン氏のファンドは2011年には9カ月でマイナス47%となり、運用の中止・中途償還の話も浮上しました
まずBRICsの中国、インドは言うまでもありませんが新興国として有望でしょう。それ以外の新興国では、これからの大きな成長が期待できるインドネシアは魅力的でしょう
仮に2006年の段階でモンゴル株式を購入していたとすると、急激な円高にもかかわらず、この6年間の為替の変動を考慮した資産価値は12倍になっています
ケイマン諸島の居住権は、まず6カ月の短期滞在ビザを取得することが可能です。その後、永住権の申請が可能となります(中略)ケイマン諸島の不動産については、近年、値段が下落しており、海沿いの4ベッドルームの住宅が29万ドルから購入できます
クック諸島の永住権は、50万~100万ニュージーランドドルの投資を行うかまたは、5年間の居住で可能となります
ドバイは、完全無税タックス・ヘイブンに分類されます。所得税、譲渡税、相続税、売上税がありません
2012年現在、世界でも政府公認の短期市民権取得プログラムを実施しているのは、カリブ海に位置するドミニカ国とセントクリストファー・ネヴィスの2カ国しかありません
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『終身旅行者PT』木村昭二・著 パンローリング
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775991183
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◆目次◆
はじめに
第1章 世界と比較する日本のリスク
第2章 「悲観シナリオ」をもとにした資産分散
第3章 PTとはなにか
第4章 PT実践編
あとがき
付録 PTに必要な日本の税務法令(各法令より抜粋)
1.所得税法令
2.相続・贈与税法令
3.租税条約等
4.タックス・ヘイブン対策税制
5.国外送金等調書制度
6.国外財産調書制度
著者より
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