2012年9月19日

『コカ・コーラ 叩き上げの復活経営』 ネビル・イズデル、デイビッド・ビーズリー・著 Vol.2983

【コカ・コーラを復活させた男】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152093196

5年ほど前、冒険投資家ジム・ロジャーズ氏の講演を聴いて、痛く感銘を受けました。

通常、ビジネス関連の講演というと、心構えとノウハウだけの無機質なものが多いのですが、氏の講演は、まったく違っていました。

氏は、かつて黄色のベンツで世界中を視察して回った体験を、徒然なるままに語り、時折、こう言うのです。

「投資家の教訓~」

その講演によると、彼がベンツを選んでいるのは、世界中どこでも部品が手に入り、修理が可能だから。

これを株に当てはめると、いつでもどこでも売買できるものでなければ、価値がないということです。

単にエピソードを語っているだけと思わせておいて、じつはビジネスの教訓がびっしり詰まっている。

本日ご紹介する『コカ・コーラ 叩き上げの復活経営』も、そんな一冊です。

著者は、ザ コカ・コーラカンパニー前CEOで、大物CEO、ロバート・ゴイズエタの没後低迷していた同社の立て直しに成功したネビル・イズデル氏。

本書には、氏の生い立ちからコカ・コーラ再生にいたるまでの半生が書かれており、合間にビジネス訓が登場する、そんな内容になっています。

ケープタウン大学の寮生だった三年間、ペプシを飲んでいた話を引きながら、<商品が手の届くところにあることがいかに大切か>を説いたり、ペプシが支配するフィリピンで首位を奪回したエピソードを引きながら、<儲からないビジネスを利益の出るものに変えることほど、ビジネスマンにとってやりがいのある仕事はない>と言ってみたり。

氏の半生のストーリーを楽しみながら、ビジネス訓が学べる、じつに興味深い読み物です。

ちなみに豆知識ですが、いまでは当り前になっているコーラの1.5リットルのペットボトルは、氏が導入したようです。

経営者はもちろんのこと、大企業でキャリアを作ろうと頑張っている人にも、おすすめの内容。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ケープタウン大学の寮生だった三年間は、ペプシを飲んでいた。当時のケープタウンは、南アフリカで唯一ペプシが先行している地域だった。大学のキャンパスにはペプシしか置いていなかった。ルサカではコークしか飲まなかったわたしだが、人生の中でこの時期だけはやむをえずペプシを飲んでいた。しかし、そのころでも大学の外でソフトドリンクを飲むときにはコークを選んだ。このことは、商品が手の届くところにあることがいかに大切かを示している

優秀なボトラーとは「一セントをどこまでも追いかける」

成功には多くの父がいるが、失敗は孤児である

コカ・コーラの強さはそのブランド力にあると思っている人は多い。だが、本当のヒーローは巡回セールスマンであり、彼らは重量挙げ選手のような体躯の男たちだ

自分が心底好きでないものを他人に売るべきではない

儲からないビジネスを利益の出るものに変えることほど、ビジネスマンにとってやりがいのある仕事はない

ドイツのボトリングシステムは、各工場が小規模で地元資本に所有されていたからこそ、日本とアメリカに次ぐ世界最高レベルに達したのである。ボトラーの所有者には有名人も多く、ヘビー級元世界チャンピオンのマックス・シュメリングもそのひとりだった

わたしのキャリアにひとつだけ共通項があるとすれば、不必要なコストを削り、それをマーケティングにまわしてきたこと

「君はこの会社の未来を背負う人材のひとりだ。とどまるべきだ」と彼は言った。彼は正しかった。そしてここにビジネスの教訓がある。神経質になりすぎるとキャリアを損いかねない。出世の階段をのぼるうち、いつもだれかが自分の裏をかこうとしていると思い込む。だがそれはほとんどの場合、被害妄想にすぎない

それはキーオがよく使う手だった。大規模な投資をする前にいつも厳しい質問をぶつけることで、計画の中にある疑いや欠陥を表に出そうとするのである

八月三一日にヘイヤーは去り、スターウッドホテル&リゾートのCEOになった。彼がスターウッドで最初にしたことのひとつが、ペプシとの五年契約だったことは、この男の本性をよく表している

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『コカ・コーラ 叩き上げの復活経営』ネビル・イズデル、デイビッド・ビーズリー・著 早川書房

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152093196
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◆目次◆

第一章 アルスターからアフリカへ
第二章 ヨハネスブルグ──グローバルなキャリアのはじまり
第三章 フィリピン──ペプシとの闘い
第四章 西ドイツ──成長路線への復活
第五章 ベルリンの壁、崩壊
第六章 インドへの帰還
第七章 CEO就任
第八章 つながりあう資本主義

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