【スイスIMD教授が教える、アイデアの創り方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453231822X
みなさんは、コーヒーショップで、異なるサイズのカップに、同じフタが使われているのをご存じでしょうか?
<つい最近まで、コーヒーショップでは、客がカップにぴったり合うフタを探して、よくカウンターのまわりをうろうろしていた。Mサイズ用のフタはLサイズのカプチーノには使えなかったからだ。そんな状況は、あらゆるサイズに仕える万能フタの登場によって一変した。紙コップの縁のデザインを少し工夫するというアイデアの産物である>
これは、『アイデアハンター ひらめきや才能に頼らない発想力の鍛え方』からの引用ですが、実際にどうなのか、近所のタリーズコーヒーに確かめに行ってきました。
タリーズでは、ホットドリンクの場合、大中小で異なるフタを使っていましたが、確かにコールドドリンクの場合、2つのサイズで同じフタを使っていました。
ちょっと形状を変えただけで、驚くほど便利になる。これぞまさにアイデアの力です。
『アイデアハンター』は、このアイデアの力を高めるための方法を、世界最高峰の企業幹部養成機関、スイスIMDで教鞭をとる二人が伝授する一冊。
自らの<技>を知り、4つのルール(1.とことん興味を持つ、2.間口を広げる、3.トレーニングを欠かさない、4.しなやかさを保つ)を守れば、誰でも「すごい発想」ができるという、何とも心強い一冊です。
本書のなかで最も印象的だったのは、自分の<技=人生をかけた仕事>に目覚めれば、アイデアハントを続けるエネルギー源が手に入る、という視点。
著者はその証拠として、大衆車をつくることを天職としたヘンリー・フォードや、家族連れに娯楽を提供することを天職としたウォルト・ディズニーの例を挙げています。
自分のやろうとすること(技)が定まっているから、それがフィルターとなり、異質なものを含む情報収集が始まる。
これが、アイデア体質の人の共通点なのです。
であれば、われわれが手に入れるべきは、アイデア発想術ではなく、自らの天職とビジョン。
本書には、この天職にどうやって出合うか、そのためのヒントも示されています。
◆ボストンカレッジ教授、マイケル・ハイムズの3つの質問
1.それは私に喜びを与えてくれるだろうか
2.それは私の資質や才能を引き出してくれるだろうか。もてる能力すべてを最大限に生かせるものだろうか
3.それはまわりの人々、そして社会全体にとって真に有益なものだろうか
自分の天職と、アイデア体質になる方法が、同時に学べる本。
これは文句なしに「買い」の一冊でしょう。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「君と私がリンゴを一つずつもっていて、それを交換したとしよう。お互いのリンゴはまだ一つずつだ。でも、君と僕がアイデアを一つずつもっていて、互いのアイデアを交換したとしよう。すると、私たちは互いに二つのアイデアをもつことになる」
(ジョージ・バーナード・ショー)
そもそも「idea」(アイデア)という言葉は、ギリシャ語の「idein」(見る)が語源である
アイデアは新たに生み出されるケースより、だれかが埋もれているアイデアを見いだし、それを使って何か有益なものを生み出すケースのほうが多い
自分が興味をもちたいのか、それとも単に興味をもってもらえればいいのか
アイデアハントを続けるエネルギー源とは何なのか? それは自らの<技>である(中略)<技>とは、人生をかけた仕事、より正確にいえば職業人生をかけた仕事である。つまりここで問題にしているのは<天職>なのだ
ディズニーの関心は家族連れに最適な娯楽を提供することにあったので、当時のアメリカのみすぼらしい遊園地にアイデアを求めようとはしなかった。そのかわりにデンマークに足を運び、花が咲き乱れ、幅広い年代の観光客が幸せそうな顔を浮かべているチボリ公園の光景を観察したのだ
◆マイケル・ハイムズの3つの質問
1.それは私に喜びを与えてくれるだろうか
2.それは私の資質や才能を引き出してくれるだろうか。もてる能力すべてを最大限に生かせるものだろうか
3.それはまわりの人々、そして社会全体にとって真に有益なものだろうか
さまざまな情報源から新しいアイデアを手に入れる
グラノヴェッターは、最も重要な情報はある人物がふだん接触する人々のネットワークの外から、「弱い絆」を通じてもたらされることを示した
「私たちは歴史を通じて、発明者や優れたアイデアを生み出した人間を称賛してきた。『境界のない状態』にすることで、優れたアイデアを思いついた人だけでなく、それを見いだし、発展させた人々も英雄になれる」(ジャック・ウェルチ)
スペースは大切だ。組織内のスペースに関する研究では、ほんの数メートルの差が、異なる部門の人々が交流する回数を大きく変えることが明らかになっている
質の高い会話を生むもう一つの重要な手段を使いこなせるようになるには、少し努力が必要だ。それはよい質問をすることである
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『アイデア・ハンター』アンディ・ボイントン、ビル・フィッシャー、ウィリアム・ボール・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453231822X
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◆目次◆
はじめに なぜ、狩りなのか
序 章 特別な才能なんていらない
第1章 自らの<技>を知る
第2章 ルール1 とことん興味をもつ
第3章 ルール2 間口を広げる
第4章 ルール3 トレーニングを欠かさない
第5章 ルール4 しなやかさを保つ
第6章 有意義な会話をしかける
おわりに 『アイデアハンター度診断』
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