2012年7月19日

『プロの資料作成力』清水久三子・著 Vol.2920

【一瞬で伝えるプロの資料作成とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492044612

──「シンプリシティはきっと成長産業になる」。

こう述べたのは、『シンプリシティの法則』の著者ジョン・マエダですが、人材に関しても、この「シンプリシティ」を極めた人は、今後引っ張りだこになるでしょう。

※参考:『シンプリシティの法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492556079

iPhoneを世に送り出したスティーブ・ジョブズ、わかりやすい解説で一世を風靡した池上彰氏…。いまさら例を挙げるまでもないと思います。

シンプリシティについて学ぼうと思った時、達人たちの著書は、とても役に立ちます。

なかでも、池上彰氏のベストセラー『伝える力』は、氏が伝えるためにどれだけ事前に考え抜いているかがわかる、素晴らしい一冊でした。

※参考:『伝える力』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569690815

やはり、わかりやすいかどうかは、事前にどれだけ考えたか、工夫したかで決まっているのでしょう。

本日ご紹介する一冊は、日本IBMグローバル・ビジネス・サービス事業部、ラーニング&ナレッジ部門リーダーで、社内外ののべ1500人のコンサルタントに指導してきた清水久三子氏が、プロの資料作成ノウハウを説いた一冊。

プレゼンの本にありがちな、テクニックやテンプレートの羅列ではなく、事前にどうプレゼンの戦略を立てるか、どうやって人を動かすロジック作り、ストーリー作りをするか、根本のところがよく書かれた一冊です。

ロジックエラーがないかどうかをチェックする、5回以上のなぜに耐えうるメッセージを作る、情報量を適切にするために因数分解するなど、わかりやすいメッセージ作りのノウハウが、丁寧に説かれています。

また、実際に資料作成、プレゼンに携わる人のために、メッセージを整理するストーリーボードや聞き手を分析するプロファイリングシート、チャート・グラフの見本など、ツールもたくさん掲載しています。

【Before】【After】の形式で、良い資料と悪い資料の実例も載っているので、理解が深まるでしょう。

人前でしゃべる方、資料作成を頼まれることが多い方は、読んでおくと役立つと思います。ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「意味を理解」してもらうためには、情報の量と質が適切で脳の本棚にちゃんと収めやすいような塊になっており、適切なインデックスが付いて引き出しやすい状態にする必要があります

「意義を納得」してもらうには、まず内容に論理的にエラーがないことが必要です。しかし、ただロジックが通っているだけでは不十分で、感情的にもそれが受け入れられるかどうかがキー

資料作成のスタート地点は、「相手にどんな行動をとってもらいたいか」という、資料の目的と達成すべきことを明確にすること

期待を把握した上で、それを裏切る、つまり期待を超える必要があります

相手の使用言語にあわせる

モノを買ってもらうプレゼンテーション資料の場合には、子どものおもちゃに見られるように、実際にモノを使うユーザーとお金を払うスポンサーが別という場合が意外に多く見られます。この場合、ユーザーである子どもがメインターゲットになり、スポンサーである親がサブターゲットになります

相手が「Why」つまり「なぜやるのか」について腹落ちしていない場合には、滔々と具体的な「How」を語っても、無駄な時間になってしまいます

◆メッセージの要件
1.ロジックエラーがない
2.5回以上の“なぜ?”に耐えうる
3.感情に染み入る
4.前面に感情を出さない

「相当な」「非常に」といった形容詞や副詞を使うより、「平均は1日だが3日以上」や「東京ドーム○個分」と数値を入れて具体化したほうが、イメージがわきやすくなります

情報量を適切にするテクニックの1つに、「因数分解」があります

◆表の加工のチェックリスト ※一部紹介
罫線
・枠線は実線、セルの区分けは点線
・色は原則グレー
・太さは原則1ptsセルの表記
・文字は左詰、数値は右詰、評価は中央

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『プロの資料作成力』清水久三子・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492044612
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◆目次◆

Chapter1 プロフェッショナルの資料に求められるもの
Chapter2【意義がわかる資料の作成方法】
    「目的」「ターゲット」「メッセージ」の明確化
Chapter3【意味がわかる資料の作成方法】
     資料の構成を考える
Chapter4【意味がわかる資料の作成方法】
     情報の質と量を最適化する
Chapter5【意味がわかる資料の作成方法】
     ビジュアルオブジェクトのテクニック
Chapter6【意味がわかる資料の作成方法】
     ビジュアルエフェクトのテクニック
Chapter7 資料のクオリティを高めるヒント

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