2012年7月21日

『グローバル経済に殺される韓国打ち勝つ日本』 三橋貴明・著 Vol.2922

【サムスンに学べ。は間違い?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198634068

以前、仕事で韓国に行った時、現地で会った日本語のできる男性が失業中と聞いて、違和感を覚えました。

大卒で、日本語がペラペラ。人柄も良く、決して能力的には問題ないはずの若者が、なぜ失業中なのだろう? と疑問に思ったのです。

韓国と言えば、今をときめくグローバル経済の覇者。サムスン、現代自動車の商品は、世界のいたるところで見ることができますし、エンタメ分野における「韓流」ブームも、アジア中に広がっています。

日本でも、あらゆるメディアや知識人が韓国を礼賛する状況。にもかかわらず、なぜエリートが失業する状況が生まれるのだろう…。

そんな疑問をずっと解決できずにいたのですが、本日の一冊で、その謎が解けました。

『グローバル経済に殺される韓国打ち勝つ日本』は、中小企業診断士、経済評論家、作家の肩書を持ち、韓国経済に詳しい三橋貴明さんが、韓国経済の実態と、日本が模倣した場合のリスクを説いた一冊。

著者によると、<現在の韓国は、2012年3月に米韓FTA(自由貿易協定)が発効したことにより、あらゆるものがグローバル資本にむしり取られていく動きに拍車がかかり、国民は誰も潤うこともなければ、幸せにもつながらない状況に陥っている>。

そんな韓国を日本がマネした場合、<一部のグローバル企業だけが勝ち残り、格差が広がり、一般人はますます不幸になっていく。肥え太るのは、一部の富裕層と外国資本だけ>という状況が生まれるというのです。

国内の賃金を抑え、国民の不幸の上に成り立つ輸出、潜在失業率20%超の現状など、知られざる韓国経済の実態を浮き彫りにし、日本のグローバリズム礼賛の傾向に、待ったをかけようとする著者。

そんな著者が訴えるのは、デフレ脱却の政策と、大きな政府、協調的な保護主義です。

主張があまりに明確なため、賛否両論ある一冊だと思いますが、日本の供給能力を低下させてはいけないという主張、デフレ下で法人税減税をやっても意味がないという主張、若者の未来が奪われているという主張には共感できました。

個人や一企業にとっての正解が、必ずしも国全体の正解ではないことを、お隣・韓国の例を挙げながら、丁寧に教えてくれる一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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構造改革というのは、
「公営、国営企業を民営化し、競争激化で供給能力を引き上げる」
「規制緩和による競争激化で供給能力を引き上げる」
「外資系企業を国内市場に参入させ、競争激化で供給能力を引き上げる」
などなど、ことごとくが供給能力を引き上げるインフレ対策

韓国の3大輸出企業であるサムスン電子、現代自動車、ポスコ(韓国最大の製鉄会社)の売り上げ規模を合計すると、約356兆9240億ウォンになる。たった3社で、韓国のGDPの30%を占めているのである

韓国の貿易依存度は異常に高く、輸出と輸入の合計をGDPと比較した数値が96%を超えているのだ(2011年)。“輸出大国”のイメージがある日本でさえ27%である

韓国国民の人件費を引き上げ、国内需要を盛り上げようとすると、グローバル競争のうえで不利になってしまう。だからこそ、韓国の大企業の経営者や、株主である外国人投資家にとって、貧富の格差の拡大は非常にすばらしいことなのである

2011年10月27日付の「東亜日報」の記事によれば調査方式を変えると潜在失業率は21.2%

韓国の若者で一流企業の社員になれるのは、わずか5%。就職先が見つかっても7割が非正規雇用で、月収88万ウォン(約6万円)が平均という労働環境

「海外に打って出る」ことが大好きな日本のグローバル企業の意図は、結局は、必ず「デフレ容認」に行き着く。というのも、輸出で稼いでいる日本の大企業にとっては、日本のデフレはウェルカムなのである。すなわち、日本市場に見切りをつけてデフレを深刻化させ、国民の所得を下げたほうが、彼らのビジネスにとって有利なのだ。賃金を下げ、非正規雇用を増やすことで、人件費を圧縮し、そのぶん、純利益を捻出できるためである

所得格差が大きいと、高所得者層が完全に既得権益化し、政治家とがっちり結びついてしまう。一度、この手の新自由主義に染まってしまうと、構造を打破するのは至難の業である

法人税の引き下げというのは、基本的にはインフレ対策だ。法人税を引き下げ、企業の投資余力を増やし、国内の投資に向かわせるところに減税のねらいがある

グローバリズムが恐ろしいのは、供給能力を高めることができない国は、未来永劫、外資系企業に頼ることになってしまう点

フィリピンのマニラ市は、水道サービスの民営化のため、フランスの水企業大手と契約した。結果、水道料金が5倍に跳ね上がり、貧困層が水道を使えなくなってしまった

デフレ下の日本がとるべきは「協調的な保護主義」

年金をもらった受給者は、それを全額、使ってもらわなければ困る。所得が十分で、年金を貯蓄にまわしているような人については、年金支給額を削ったほうがいい

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『グローバル経済に殺される韓国打ち勝つ日本』三橋貴明・著 徳間書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492044612
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◆目次◆

Chapter1 プロフェッショナルの資料に求められるもの
Chapter2【意義がわかる資料の作成方法】
    「目的」「ターゲット」「メッセージ」の明確化
Chapter3【意味がわかる資料の作成方法】
     資料の構成を考える
Chapter4【意味がわかる資料の作成方法】
     情報の質と量を最適化する
Chapter5【意味がわかる資料の作成方法】
     ビジュアルオブジェクトのテクニック
Chapter6【意味がわかる資料の作成方法】
     ビジュアルエフェクトのテクニック
Chapter7 資料のクオリティを高めるヒント

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