http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
本日の一冊は、通信と放送の融合を推進する、注目の経営者、USEN
の宇野康秀さんの評伝です。
著者は、過去に企業再生モノ、買収モノなどを手掛けたことのある、
フリーのジャーナリストです。
サイバーエージェントの藤田氏も慕っているという辣腕経営者が、
いったいどんな人物で、どんなことを企んでいるのか。それを知る
だけでもワクワクしますが、じつはこの本、リーダーシップに関し
ても学ぶべきところが多い本です。
ちょうど昨日読んだ『MBAリーダーシップ』に、「4つのリーダ
ーシップ行動が「相互補完的でかつ相反する」構成要素を持ってい
る」という話があったのですが、宇野社長はまさに、この4つのバ
ランスを取るセンスに長けた方だと思いました。
※参考:『MBAリーダーシップ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
ほかにも、放送とメディアの融合が持つ今後の可能性、コンテンツ
ビジネスで成功する考え方など、参考にする部分は数多くあります。
ただ、本人の言葉も交えながら書かれているとはいえ、やはりジャ
ーナリストが書いたもの、という印象は否めません。次回はぜひ、
ご本人の手による著書を期待したいと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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光ファイバー事業を始めた当時から、宇野はずっとコンテンツに目
をつけてきた
菊地(フジテレビ出身)が考えたのは、GyaOを「音楽と映画を存分
に見せる総合エンターテインメント」にしたいということ。これは、
エイベックスとGAGAという音楽と映画配給の有力会社と深い協力関
係を持つUSENの強みを生かすことであり、他社が類似の情報メディ
アを作っても、真似できない部分である
GyaOのようなブロードバンド放送なら、放送時間枠の制約を受けな
いため、ノーカット・ノー編集で流すインタビュー番組が可能になる
GyaOはネット上のサービスなのでバナー広告が利用できる。さらに、
潜在的な視聴者が多いため、テレビCMに似た広告も使える
インフラとコンテンツは、理論的なビジネスと感情的なビジネス
現在に至るまで、宇野は、社員の給料に対してシビアな態度を維持
している。「給料というのは市場原理で決まるんだ」と社員に言い、
給料は、その人の働いた価値に見合う水準に合わせようとしている
起業を目指した理由の一つは、宇野や鎌田たちに学生時代のイベン
ト業を通じて、いろんなことを商売として成立させることができる
という感覚があったのだと思う。もう一つには、宇野たちが「何を
やるか」よりも「誰とやるか」を大事にしていたことがある。才能
と意欲のある人を仲間として、このメンバーで何ができるかと考え、
実行する。それは、インテリジェンスを経て、USENでも、宇野が続
けている経営チームの作り方だ
◆宇野氏にみられるアンバランス
1.起業や再生を実現した有能な社長でありながら、チーム経営を重視
2.スピード経営を標榜しているのに、長い会議が当たり前
3.事業をまじめにコツコツとやっているが、非連続性の決断・行動も
ある
4.ソフトな人当たりとハードな内面を併せ持つ
「カリスマ性だけが成功するスタイルではないんじゃないか。自分
に能力がないなら能力のある人と一緒にやればいいじゃないか」
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『USEN宇野康秀の挑戦!カリスマはいらない。』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
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■目次■
プロローグ
第1章 ネットテレビ「GyaO」への挑戦
第2章 高くて遅い日本のインターネットを変える GyaOへの道I
第3章 コンテンツへの傾斜 GyaOへの道II
第4章 大阪有線からUSENへの革新
第5章 イケメン社長のアンバランス経営
沿革
エピローグ
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