2006年4月12日

『会計学入門』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
本日の一冊は、神戸大学大学院経営学研究科教授の、桜井久勝さんによる、会計学の入門書です。

桜井さんの本は、大学時代に買った財務会計の本がとても良かったので、その後もしばしば読んでいるのですが、今回は、定評のある日経文庫から出た入門書、ということで、BBMでもご紹介することとします。

ちょうど新会社法に完全対応ということもあり、これから財務会計の基本を学ぼうとする方には、適した一冊ではないでしょうか。

内容的には、会計の意味や、利益計算の仕組み、売上高と売上債権、棚卸資産と売上原価、固定資産と減価償却、負債と他人資本まで、必要な内容はひと通りカバー。

最終的には、連結財務諸表の話まで、さらりとですが言及しています。

実務家にとっては、「資本の充実と剰余金の分配」あたりが役に立つのではないでしょうか。

決算書の読み方をさらりと書いた入門書では、決して得ることのできない、財務諸表の作り手の視点が盛り込まれており、じつに示唆に富んだ一冊です。

四季報を読んで安直な投資をする前に、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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■ 本日の赤ペンチェック
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財務会計は企業外部の利害関係者を会計報告の受け手として行う会計

現在、企業の会計実務に規制を加えている法律として、わが国では会社法、証券取引法、および法人税法の3つがあります

◆企業会計原則が掲げる一般原則
1.真実性の原則
2.正規の簿記の原則
3.資本と利益の区別の原則(資本取引と損益取引を明瞭に区別)
4.明瞭性の原則
5.継続性の原則(処理の原則及び手続きを毎期継続して適用)
6.保守主義の原則(将来の危機に備えておく)
7.単一性の原則(二重帳簿はダメ)

◆重要性の原則
ある項目が性質や金額の大小からみて重要性が乏しいと判断される場合には、理論的に厳格な会計処理や表示の方法によらず、事務上の経済性を優先させた簡便な方法を採用することが是認される

◆収益認識基準の適用(収益はいつ認識されるのか)
・委託販売:受託者が委託品を販売した時点
・試用販売:得意先が買い取りの意思を表示した日
・予約販売:前もって受け取った代金のうち、決算日までに商品の
 引き渡しやサービスの提供が完了した部分だけを当期の売上高に計上
・長期請負工事:工事完成基準および工事進行基準の2通りから選択
・割賦販売:通常の販売基準を原則としつつ、回収基準を採用する
 ことも認められています

◆棚卸資産の原価配分方法
個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法

各期の減価償却費を実際に計算するには、取得原価、残存価額、耐用年数や利用度のような原価配分基準、および減価償却方法の4つを具体的に特定しなければなりません

◆固定資産の減価償却の方法
定額法、定率法、級数法、生産高比例法
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『会計学入門』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111064
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■目次■

1 会計の役割
2 利益計算のしくみ
3 利益計算のルール
4 売上高と売上債権
5 棚卸資産と売上原価
6 固定資産と減価償却
7 金融活動の資産と損益
8 営業上の負債と他人資本
9 資本の充実と剰余金の分配
10 財務諸表の作成と公開
11 連結財務諸表
資料 財務諸表の実例
次に読むべき本のリスト
用語索引
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